平成19(2007)年4月2日(月)
第191号
政府が「教育3法案」を国会に提出
衆議院では特別委員会で審議


 政府は3月30日、教育基本法の改正に伴う「教育3法案」を国会に提出しました。安倍首相は、「教育3法案」を今国会における最重要法案と位置づけており、最優先で成立をめざすために、衆議院では「特別委員会」を設置して審議することとしています。今国会は6月23日までが会期となっていますが、早ければ5月中にも成立するものとみられています。
 国会に提出された「教育3法案」とは、@学校教育法の一部改正法案 A地教行法の一部改正法案 B教育職員免許法等の一部改正法案の3本です。教科書改善の視点から見た場合、「義務教育の目標」を見直す @学校教育法の改正と「教育委員会の責任体制の明確化と充実」をはかる A地教行法の改正が直接関係する法案ということになります。「学校教育法」の改正は、その後に策定される「新学習指導要領」に反映され、学習指導要領の改定は「検定」に影響を及ぼすことになります。また、「教育委員会」のあり方に関連する「地教行法」の改正は、「教育委員の委員数の変更」も含んでいるため、「教科書採択」に関連することになります。
 当会としては、今回提出された「教育3法案」については基本的に支持します。「つくる会」としては教科書関連法規を集大成した新たな「教科書法」の制定等を提起して行く方向で検討を進めています。
 教育3法案のうちとくに注目すべきは、「学校教育法案」の中で義務教育の目的及び目標の見直しを行っている点です。法改正の概要ではつぎのように記載されています。
 
 
    各学校種の目的及び目標の見直し等

改正教育基本法の新しい教育理念を踏まえ、新たに義務教育の目標を定めるとともに、幼稚園から大学までの各学校種の目的・目標を見直す。
○ 改正教育基本法を踏まえ、義務教育の目標に次の事項等を規定(する)
・ 規範意識、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度
・ 生命及び自然を尊重する精神、環境の保全に寄与する態度
・ 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度、
他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度

新学習指導要領の策定は20年1〜3月頃か?
 
 教育3法案が今国会において成立した場合、その後の教科書検定、採択のスケジュールがどのようになるのか考えておかなければなりません。教科書作成・検定に関係する「新学習指導要領」の策定は、教育再生会議の第2次報告(5月)を踏まえて、平成20年1月〜3月頃になるのではないかと見られており、その場合20年4月からと予定されている中学校教科書の検定時期が1年先送りされ、21年4月からとなる可能性も出てきています。また、教育再生会議第二次報告(5月)を作成するための第二分科会の「検討のためのたたき台・素案」の中で「3 学力に結びつく、より良い教科書の作成と導入」の項目で「学習指導要領と教科書検定との連携のミスマッチングをなくす」と記してあり、これが実現すれば、検定のあり方も変更されてくるものと思われます。当会としては、この様な動きを注意深く見守って対処して行くこととしています。
【高校教科書検定】
沖縄戦・集団自決「軍命令」を検定で修正

 
  文科省は3月30日、20年4月から使用される高校教科書の検定結果を発表しました。第2次大戦末期の沖縄戦で起きた住民の集団自決について、「軍の命令によるものであった」とする記述すべてに初めて検定意見が付き、出版社が修正して合格となったことが明らかとなりました。「軍命令」説については、昨年の『史』9月号でも紹介した通り、遺族年金受給のための口裏あわせだったとする証言が相次いでおり、当然の修正と言えるしょう。この結果は、中学校教科書の検定にも影響することは間違いなく、現行版で「軍の命令」と記述している日本書籍新社の教科書がどのように記述変更されるのか注目されます。
 しかし、今回発表された検定結果、「慰安婦」や「南京事件」の記述に関して問題を残していることも明らかとなっています。「慰安婦」に関しては、「日本軍兵士の性の相手として…連行された」「連行され、耐えがたい苦痛を受けた」との記述が検定を通過しています。「南京事件」については、文科省が付けた「諸説配慮」の検定意見を逆手に取って、犠牲者数について「中国政府は30万人以上を主張している」との「30万人説」も再登場する一方、不法殺害を「ゼロ」「限りなくゼロに近い」とする最近の研究結果については「日本や東アジアの近現代史の専門家がおらず諸説には含めない」として記述されなかったことも明らかとなりました。これらの結果は、今後の検定のあり方に確実に問題を残しており、「つくる会」として、文科省に対して改善を求めて行くこととします。
 

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