第204号 平成19年 9月10日(月)

【第10回定期総会の報告】
新しい出版社は「自由社」に決定!
 参加者全員で「反転攻勢」を誓う

  第10回定期総会は、快晴の9月9日(日)、東京・虎ノ門パストラルにおいて全国から146名の正会員が参加して開催されました。
 総会は定刻どおり13時に開会。冒頭、藤岡会長があいさつのなかで「つくる会教科書は、保守系出版社として由緒ある『自由社』から発行されることが決定しました」と発表すると、会場は大きな拍手につつまれました。「つくる会」の設立趣意書にもとづく『歴史』『公民』教科書の継続発行の新たな地平を切り開いた瞬間を参加者全員で喜びあいました。
 ご来賓のあいさつでは、外交評論家で「南京事件の真実を検証する会」会長の加瀬英明先生が登壇、福沢諭吉の「独立自尊」の話を例に「つくる会」運動の果たしてきた重要な役割を讃え、今後の発展に期待を寄せられました。
 続いて、議長に渡辺理事を選出、議事に入りました。
 第1号議案「役員承認の件」について高池副会長から提案、2名の質疑応答の後、藤岡会長以下12名の理事、2名の監事、2名の顧問が拍手で承認されました。
 第2号議案「前年度事業報告及び決算報告の件」では、前年度事業報告を福地副会長から、決算報告を鈴木事務局長から、監査報告を梅沢監事からそれぞれ提案し、8名から質問・意見が出されて、理事会側から答弁の後、拍手で承認されました。
 休憩を挟んで第3号議案「今年度事業計画及び予算の件」に入り、今年度事業計画(案)を藤岡会長、今年度予算(案)を鈴木事務局長が提案しました。今年度の事業計画(案)については、新出版社が決定したこともあって10名の会員から、積極的かつ建設的意見が出されました。理事がこもごも答弁した後、藤岡会長が総括的に答弁し、拍手で承認されました。
 続いて、第4号議案「日本国民へのアピール」が杉原副会長から提案され、満場の拍手で決定されました。
 最後に、福地副会長が閉会のあいさつをのべ、総会は16時25分に終了しました。

 

懇親のつどいで自由社・石原萠記社長があいさつ

乾杯の発声は加瀬英明先生、東中野修道、宮崎正弘、
ヴルピッタ・ロマノ、西川淳、西尾幹二各先生もスピーチ


 総会に続いて開催された「懇親のつどい」は、ご来賓を含め120名の参加を得て、盛大な催しとなりました。
「つどい」は、高森理事の司会ではじまり、高森理事は懇親会の名称を「つくる会・反転攻勢のつどい」とすることを提案、会場は大きな拍手に包まれました。
 はじめに,藤岡会長が開会のあいさつで、自由社とつくる会の奇しき縁についてのべるとともに、総会を経ての新たなスタートへの決意を表明しました。
 次いで、ご来賓として出張先からかけつけた自由社の石原萠記(ほおき)社長があいさつに立ち、自由社の設立の経過や「つくる会」との関わりについてのべ、「つくる会」教科書の発行についての力強い決意を表明されました。続いて日本「南京」学会会長で亜細亜大学教授の東中野修道先生、評論家の宮崎正弘先生からごあいさつがあり、加瀬英明先生の発声で「つくる会」の前進を誓って声高らかに乾杯、懇親に入りました。
 その後、京都産業大学教授のヴルピッタ・ロマノ先生、甲子園学院中学校の西川惇先生、当会初代会長の西尾幹二先生からスピーチをいただき、「つどい」の会場は大いに盛り上がりました。最後に高池副会長の閉会のあいさつで「反転攻勢のつどい」は終了しました。

新役員名簿

会 長 藤岡 信勝 (拓殖大学教授)
副会長 杉原誠四郎 (元武蔵野大学教授)
    高池 勝彦 (弁護士)
    福地  惇 (大正大学教授)
理 事 上杉 千年 (歴史教科書研究家)   九里幾久雄 (浦和大学名誉教授)
    小山 常実 (大月短期大学教授)    桜井 裕子 (ジャーナリスト)
    高森 明勅 (日本文化総合研究所代表)濱野 晃吉 (コンサルタント会社社長)
    吉永  潤 (神戸大学准教授)      渡辺  眞 (ソフトウェア関連会社社長)
監 事 平野 富國 (元・藤沢小田急代表取締役社長)
    梅澤 昇平 (尚美学園大学教授)
顧 問 井尻 千男 (拓殖大学日本文化研究所所長)
    田久保忠衛 (杏林大学客員教授)       

                           


日本国民へのアピール
 国民の皆さん
 平成九年に設立された「新しい歴史教科書をつくる会」は、設立趣意書で戦後の歴史教育の現状を分析し、「日本人が受け継ぐべき文化と伝統を忘れ、日本人の誇りを失わせるもの」であったとしました。そして、「特に近現代史において、日本人は子々孫々まで謝罪し続けることを運命づけられた罪人の如くに扱われています」と指摘しました。その上で、「私たちのつくる教科書は、世界的視野の中で、日本国と日本人の自画像を、品格とバランスをもって活写します。私たちの祖先の活躍に心躍らせ、失敗の歴史にも目を向け、その苦楽を追体験できる日本人の物語です」と宣言しました。
 つくる会は以来十年、その趣意書の理念を忠実に体現した『新しい歴史教科書』を世に送り出し、『新しい公民教科書』と合わせて普及する活動に取り組んできました。平成19年9月現在、『新しい歴史教科書』は5,400人、『新しい公民教科書』は3,100人の中学生が教室で学んでおります。この中には、昨年7月2日の総会以降新たに採択された、歴史の2校、280人、公民の4校、600人が含まれております。つくる会の教科書で学ぶ生徒は着実に増え、その評価も高まっております。
 かくして、つくる会は平成23年度より使用の次期教科書づくりに鋭意取り組み始めようとしていたところ、本年2月26日、出版元である扶桑社より、つくる会と扶桑社の従来の枠組みを解消し、扶桑社は子会社・育鵬社より独自の教科書を発行する旨の通告を受けました。つくる会は5月10日、あくまで趣意書の理念を守り、新たな別の出版社から教科書を継続発行する方針を決定いたしました。そしてこの度、伝統ある保守系の出版社・自由社が名乗りをあげ、つくる会の教科書を発行していただけることとなりました。従いまして、「扶桑社版・つくる会教科書」は、内容・理念を保存したまま、「自由社版・つくる会教科書」に移行することをご報告申し上げます。
 他方、育鵬社の教科書制作を支援する「教科書改善の会」(代表世話人・屋山太郎氏、事務局担当・八木秀次氏)が最近発表した教科書編集の基本方針によれば、「南京事件については、事件の存否・規模について学説上の対立があり、実態が把握できないことを明記する」とのことです。しかし、南京事件についてはこの10年で画期的な研究の前進があり、「実態が把握できない」どころか、虐殺はなかったという実態がほとんど余すところなく明らかになっています。また、基本方針は「いわゆる従軍慰安婦については、発達段階を考慮し記述しない」と書いています。裏返せば事実関係を争わないという宣言であり、つくる会の趣意書の精神とは正反対の執筆態度です。教科書問題の原点ともいうべき二つの歴史偽造を決して受け入れてはなりません。このことは、つくる会が扶桑社と袂を分かち、独自の道を歩むことの正しさをも実証するものです。
 我が国日本は戦後、ありもしない不当な非難を浴びせられても、国家として正しい主張を明確にしてきませんでした。その結果、日本の子供たちが学ぶ教科書は極めて憂うべき状態になりました。つくる会はこのような状況の中で立ち上がったのです。つくる会はいまこそ、設立趣意書の精神に立ち返り、我が国の歴史に愛情と誇りを持ち、新たな国家と国民の在り方を求める「自由社版・つくる会教科書」を一人でも多くの子供たちに手渡すべく、渾身の努力を続けて参ります。
国民の皆様の一層のご支援を、心よりお願い申し上げます。

平成19年9月9日          新しい歴史教科書をつくる会
                      第10回定期総会



保守言論誌の草分け『自由』と自由社のご紹介


 株式会社・自由社(東京都文京区)は月刊誌『自由』を発行している出版社です。雑誌『自由』の創刊は安保騒動のただ中の昭和34年(1959年)11月で、米ソ冷戦下、日本の現状に危機感を抱いた保守系の言論人が結集し、その発言の場としてつくられました。編集委員会には、竹山道雄・編集代表のほか、福田恒存、林健太郎、平林たい子、関嘉彦といった第一線の保守系知識人が参加し、当時唯一の保守系言論雑誌として大きな役割を果たしました。右手に『自由』、左手に『世界』を持ち歩くのが知識青年のファッションと言われたこともありました。つくる会の西尾幹二・初代会長は『自由』で論壇デビューし、昭和38年の「自由新人賞」を受賞しました。この雑誌が源流となり、その執筆者グループを中心に1970年代に『諸君!』、ついで『正論』が創刊されました。自由社社長・石原萠記氏は1260ページに及ぶ大著『戦後日本知識人の発言軌跡』(1999年、自由社刊)の中で、藤岡信勝・現会長の発言も二箇所にわたって引用しています。一つは湾岸戦争が日本の知識人に与えたインパクトの例として、もう一つは歴史をどう教えるかというテーマに関する発言です。つくる会と自由社は、不思議な因縁で結ばれていたことになります。
 
         

 

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