第217号 平成19年 12月14日(金)

「沖縄集団自決」検定に文科省が妥協的な「指針」
異例の再検定で反日・反軍記述がさらに詳細になる危険!
政治介入の誤り認める以外に問題の解決はない

 
 (1)「沖縄戦集団自決」教科書検定問題は、大詰めを迎えています。全国紙はほとんど報道しなくなり、現状がわかりにくくなっています。そこで、今、どういう事態が進行し、どんな危険が新たに生まれているかについてお知らせし、併せて最後の行動を要請します。
12月4日午前、つくる会の東京支部と東京三多摩支部が中心となり、文科省前で「文科省を叱咤・激励する統一行動」を行いました。9日付けの沖縄タイムスによれば、まさにその4日に、文科省は訂正申請した教科書会社6社の担当者を個別に呼び、検定審議会がまとめた「指針」を口頭で伝達しました。なお、文科省は「指針」の存在は否定し、口頭の伝達は認めています。
その内容は、検定意見は撤回しない、「軍の命令」といった断定的な記述は認めない、とするものです。私たちの要請行動が大きなブレーキとなったことは確実で、運動の成果と言えます。

 (2)しかし、その先が問題です。教科書会社による訂正申請の内容は、検定に提出したものよりももっと「軍の強制」を明示した反軍的記述になっているのですから、文科省は上記の方針を受けて、ただちに訂正申請を「不承認」とすべきです。それで一件落着するはずです。
それなのに、「指針」は、集団自決の背景に当時の「教育訓練」や「感情の植え付け」などがあるとして、「複合的な背景、要因」によって住民が「集団自決」に追い込まれていったという視点に立って、それらの背景、要因を詳しく書けと教科書会社に指示しているのです。
それを受けて教科書会社の中には、「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓の言葉を追記して再申請するところも出ています。8日付け琉球新報は社説で、「これらの背景を羅列することで軍のみに焦点が当たるのを避けようとしている」と文科省の意図を推測しながらも、「だが、それはまったく逆だろう。むしろ軍の強制を根拠付けるものとなる」と喝破しています。

 (3)本来、訂正申請は「承認・不承認」のどちらかの結論を下すことがルールです。6日に私は文科省の布村審議官に面会して、このルールの存在を確認しましたが、実際にはそれを裏切って、文科省は教科書会社に、書き直し・再訂正申請を求める指導を行っていたのです。
これは結局、もう一度教科書検定をやり直していることと同じであり、背景を詳しく書けば反軍記述に道を開くことができるという抜け道を教科書の著者たちに与えて、左翼勢力をなだめようとする妥協的な解決を文科省は目指したのです。
なぜ、こういう異例の再検定という事態になったかといえば、福田首相と渡海文科相が政治介入をやめていないからです。官僚は沖縄に向けて盛んにリップ・サービスをした政治家の顔を潰さないために、本心は別として、苦肉の策を弄し、全てを満足させる解決策を考えたつもりなのでしょう。

(4)文科省の「指針」は、全てを満足させるどころか、私たちとしては到底納得できない教科書が出現する可能性が高く、一層の警戒が必要な状況となっています。12月20日ころには最終決着を付けなければ来春使用の印刷に間に合わないと言われており、今一度文科省に対し、「政治介入に屈するな」、「筋を通して訂正申請を却下せよ」という要請を行う必要があります。
つくる会は、来る18日に文科省に4度目の申し入れを行う予定です。また、20日には、「教科書検定への政治介入に反対する会」が午後1時半から緊急集会を衆議院第二議員会館内で行う予定です。会員の皆様の最後の行動をお願いいたします。

沖縄タイムス 12月9日(日)付報
「文部科学省「指針」
「集団自決」について

「集団自決」は太平洋戦争末期の沖縄で、住民が戦闘に巻き込まれるという異常な状況下で起こったものであり、その背景には当時の「教育訓練」や、「感情の植え付け」など複雑なものがある。
また、「集団自決」が起こった状況を作り出した要因にもさまざまなものがあると考えられる。
二〇〇六年度検定で許容された記述に示される「軍による手りゅう弾の配布」や「壕の追い出し」など、軍の関与はその主要なものととらえることができる。ただ、それぞれの「集団自決」について、直接的な軍の命令に基づいて行われたということは、現時点では確認できていない。
一方で、住民側から見れば、当時のさまざまな背景や要因によって、「集団自決」せざるを得ない状況に追い込まれたとも考えられる。
よって、「集団自決」が起こった背景・要因について、過度に単純化した表現で記述することは、「集団自決」についての生徒の理解が十分にならない恐れがある。
沖縄の戦時体制、さらに戦争末期の限定的な状況下で、複合的な背景、要因によって住民が「集団自決」に追い込まれていったととらえる視点に基づく教科書記述が望ましいと考える。

 

杉原誠四郎副会長が文部科学省へ意見書を提出
学習指導要領改定に向けた「審議のまとめ」に対して

 文部科学省は、現在、教育基本法の改正に伴い学習指導要領の改定作業を進めています。去る11月7日に「これまでの審議のまとめ(中間報告)」を発表、これに対する国民の意見を募集しておりましたが、当会の杉原誠四郎副会長が教育学者の立場から12月6日、「審議のまとめ」全般に関して文部科学省に意見書を提出しました。
 その中で、とくに、「道徳教育」「宗教教育」「愛国心教育」「歴史・公民・地理教育」「地理」における「竹島」記述、「高校日本史の必修化」等に言及しています。
文部科学省は、明年3月までには新学習指導要領をまとめるとしております。

以上

 

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