|
去る1月17日〜18日に行われた大学入試センター試験の「日本史」の設問の中に不適切なものがあることが判明しましたので、当会は試験を管理・運営する独立行政法人大学入試センターに対し、その見解を質す質問状を本日(2月12日)付で送付しました。
大学入試センターは、いわゆる南京虐殺事件や張作霖爆殺事件について、特定の見解を確定した史実であるとする前提に立って設問しており、この認識を受験生に強要することは当会として断じて看過できるものではありません。
申し入れの詳細につきましては、下記をご参照下さい。
平成21年2月12日
独立行政法人大学入試センター
理事長 吉本 高志 殿
新しい歴史教科書をつくる会
会長 藤岡信勝
本年度大学入試センター試験の「日本史」設問の問題点について
去る1月17日〜18日、全国一斉に実施された本年度の大学入試センター試験の「日本史」の設問に関し、看過できない問題点がありますので、以下に提起し、回答を求めます。
「日本史A」では第5問、「日本史B」では第6問で、近現代史に関する同じ問題が出題されています。それは外交官幣原喜重郎に関わる政治・外交の諸問題を解答させる形になっているものです。
その設問の中に、
「1920年代から30年代にかけての日本軍の国外活動に関」する次の三つの文章、
T 日本軍が中国の都市南京を占領するに際して、捕虜や非戦闘員を殺害する事件がおき た。
U 中国東北部での日本軍の活動に対して、国際連盟からリットン調査団が派遣された。
V 関東軍参謀河本大作らが、中国軍閥の一人である張作霖を、奉天郊外において爆殺し
た。
を示し、年代順に配列せよというものがあります。
出題者は「V→U→T」を正解としています。
この設問形式では、南京ではいわゆる「虐殺事件」が起こり、「関東軍参謀河本大作ら」が張作霖爆殺の実行犯であることが完全に正しいとしなければ、解答しようのない性格の問題です。しかし、これらは歴史学界でも異説があるところであり、設問として不適切です。
小中学校や高等学校における歴史教育においては、正確な歴史事実を重んじなければならないのは言うまでもありません。従って評価が定まらないもの、説の分かれているものは、極力取上げないのが定石です。ところが、この設問は一切の異説を排して、満洲某重大事件の犯人は「河本大作」、中支那派遣軍は南京入城に際して「虐殺事件」を起こしたと断定しています。
また、この設問には別の問題もあります。リットン調査団が調査したのは満洲事変であり、当時満州は中国の一部とは見なされておらず、したがって当時は「中国東北部」なる呼称に該当する地域は存在しておりません。ここで、第二次世界大戦後に中国共産党が好んで呼称する「中国東北部」をわざわざ使用するのは、偏向した歴史感覚といわなければなりません。また、出題形式としても、幣原喜重郎に関わる問題でありながら、その在任期間を越えた事件を2つもとりあげているのは問題として不整合です。
これは明らかに次世代の日本を担う多数の青年男女に対して、ある特定の歴史認識を強要、あるいは誘導する設問になっており、遺憾な問題であると言わねばなりません。
以上のことから、この設問は、入試問題としては不適切であると考えますが、2月末日までに貴センターの見解をお聞かせください。
(以上)
|