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新しい歴史教科書をつくる会会長
藤岡信勝
中川昭一先生の訃報に接し、痛恨の極みです。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
中川昭一先生は、私たちが「新しい歴史教科書をつくる会」を立ち上げた最初の時期から、一貫してご支援・ご指導をいただいた特別の政治家であり、教科書運動にとってかけがえのない指導者でした。
平成8年6月、中学校歴史教科書の検定結果が公表され、全社の教科書に「従軍慰安婦強制連行説」という真っ赤な嘘が掲載されました。私たちは、何よりもまず、中学生が使う教科書に何が書かれているのか、心ある人々に事実を知ってもらう必要があると考えました。そこで、全社の歴史教科書の近現代史の全ページをコピーした資料を作成し、関係者に配布しました。
中川先生はそれを読んで、腹の底から激怒されました。そして、「議員バッジに賭けても」この現状を改めさせると決意して下さいました。ちょうどそのころ、お嬢様が中学生として歴史教科書を使う時期でもありましたから、一人の親としても子供の心の発達を歪める教科書の自虐的な内容を許せなかったのです。
中川先生は、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」という名称の自民党の議員連盟を立ち上げて会長となりました。事務局長は安倍晋三先生でした。会は焦点となった「従軍慰安婦」問題について専門家や関係者を招いた一連のヒアリングを行いました。私も招かれて、吉見義明氏と対決討論を行いました。それらの成果は『歴史教科書への疑問』(展転社)という報告書にまとめられました。
政権党の議員の先生方が動いたことは、世論を変える絶大な効果を発揮しました。本年まで3回の教科書採択を経て、「従軍慰安婦」の記述は中学校歴史教科書からはほぼ一掃され、極端に自虐的な写真などは大幅に淘汰されました。
さらに、自虐史観からも階級闘争史観からも完全に自由になった「つくる会」の歴史教科書は、今年の採択で、自由社版の1万4000冊と扶桑社版の6800冊をあわせて合計2万冊を超え、採択率で約1.7パーセントに達しました。
これらの変化は、紛れもなく中川昭一先生の偉大な功績であり、日本国民への大きなプレゼントです。先生が立ち上がって下さらなければ、このような成果は実現していません。心ある日本国民は、このことを長く記憶に留め、先生に感謝しなければならないと考えております。
私事にわたりますが、私は北海道の出身で、先生の活躍をずっと親しみをもって見つめてきました。個人的にもお近づきにさせていただき、台湾の蔡昆燦さんご夫妻を交えて拙宅で歓談した思い出もあります。
教科書問題は先生の業績のほんの一部にすぎません。財務・金融・農水などの要職にありつつ、拉致問題から領土問題にいたるまで、日本国家の基本問題での中川先生の見識と行動は、今の日本の政治家の中で抜きん出ていました。
先生が志半ばで倒れられたことはどんなに無念であったか、また日本にとってどんなに大きな損失であったか計り知れません。私たちは先生のご恩を忘れず、その遺志を引き継いで、それぞれの持ち場で微力を尽くします。
先生、ありがとうございました。安らかにお眠り下さい。
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