第267号 平成21年 11月06日(金)

つくる会「天皇論」シンポジウム成功裏に終了
小林よしのり・長谷川三千子・高森明勅三氏が熱弁
東京・星陵会館に350人が出席、熱心に聞き入る

 新しい歴史教科書をつくる会主催の「天皇論」を主題としたシンポジウムは、 11月3日、東京千代田区の星陵会館大ホールに350名が参加して開催されました。
 シンポジウムは、13時30分に芳賀優子さん(チャンネル桜キャスター)の司会で開会、主催者を代表して、当会藤岡信勝会長が挨拶に立ちました。藤岡会長は、登壇される3名の講師の紹介を行うとともに、「つくる会」の活動内容、とくに本年実現した横浜での歴史教科書の採択等を紹介し、参加された非会員の方々に対して当会への入会を呼びかけました。
 その後直ちに第一部「講演」に入り、三人の登壇者が約30分ずつスピーチしました。
 小林よしのり氏は、「わしが『天皇論』を書いた理由」と題し、23万部を突破した『天皇論』は『戦争論』を書いた折に特攻隊員の遺書をまとめて読んだ時から浮上した課題であったこと、「天皇なきナショナリズム」といった当時の批評にも刺激されて十数年がかりで勉強した成果であること、それはまた自身にとって「禊ぎの書」でもあることを、ユーモアを交えて語りました。
 「新しい日本の神学を目指して」と題して講演した長谷川三千子氏は、静かな説得力のある語り口で、『戦争論』と『天皇論』をつなぐものを思想的に分析し、その発展の必然性を指摘しました。そして、さまざまな宗教を分類し特徴づける宗教学とはことなり、「恐れかしこむ心」をもって神の側からも人間と世界をながめるとどうなるかを問う神学の立場から、戦時中の天皇神格化が果たしてひたすら非難されねばならないことだったのかとの問題を提起されました。
 高森明勅氏は、「世界に冠たる日本の皇室」と題して、@日本は世界で最大・最古の君主国であること、A天皇のあり方は歴史的に行政権を直接にぎる形を取らず、それは世界の元首概念の「象徴」化の先駆けであったこと、B三島由紀夫が天皇について独自の考察をおこなっていたこと、の3点にわたって講演しました。高森氏
の語り口は軽妙洒脱で、しばしば会場は笑いの渦につつまれました。
休憩を挟んで第二部の冒頭には、小林氏の『天皇論』をプロジェクターで映写しながら『天皇論』への読者カードが読み上げられました。中には外国人で『天皇論』を読んで日本への帰化を決意した読者もいました。
 第二部のパネル・ディスカッションは、講演者三人が登壇し、高森氏がコーディネーターとなって進められました。まず、第一部で長谷川氏が紹介した、「家族や国のためではなく天皇のためなら死ねる」と当時はリアルに考えていたという吉本隆明氏の証言に関わって、議論が深められました。ついで、ユダヤ=キリスト教と日本の神観念の違い、多神教の神はひたすら温和なのか、「国民主権」は国王をギロチンにかける革命思想である、などなど論点は多岐にわたりました。ただし、第二部は時間が不足気味で、同じメンバーで第二弾を開いてほしいなどの参加者の声もありました。
 最後に小林氏から、天皇についての正しい歴史知識を、「新しい歴史教科書をつくる会」が教科書などをとおして子供に教える仕事に取り組んでほしいとの期待が述べられました。シンポは和やかな雰囲気の中で進みましたが、参加者は真剣に耳を傾けていました。16時15分にシンポは終了。三氏の著書がほぼ完売したことからも、参加者の関心の高さがうかがえました。
 なお、4日夜のチャンネル桜の報道によれば、シンポの内容は増補されて単行本として出版される企画があるとのことです。

 
 


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