第271号 平成21年 2月12日(金)


大学入試センターに再質問書を送付

 当会は、去る1月29日、本年1月16日に実施された大学入試センター試験の「現代社会」の設問の中に、適切でないものがあるとして、同センター理事長あてに質問書を送付しました。2月10日にその返書(2月5日付)が届きました。しかし、その内容は別掲の通り全く回答になっておりませんでした。このため当会は2月10日付けで、大学入試センターに対し下記の通りの再質問書を送付しました。

 
                                           平成22年2月10日

独立行政法人大学入試センター
理事長 吉本高志 殿

                                     新しい歴史教科書をつくる会
                                             会長 藤岡信勝

    本年度大学入試センターの「現代社会」設問の問題点について(再質問)

 本日(2月10日)、貴センターからの返書を確かに受け取りました。しかし、残念ながら、貴センターの返書は、当会からの指摘に対して何ら答えるものとなっておりません。
 したがいまして、再度、次のとおり質問致しますので、早急に回答いただきますようお願い申し上げます。

1.「多くの『現代社会』の教科書で言及されている」と書かれていますが、これは事実に反します。
 1)現行の教科書を調査しましたところ、17種中で当該問題について設問に解答可能な記述となっているものは6件でありました。つまりわずかに35%であります。(別紙資料参照)「35%」しかないものを「多くの」というのは常識に反するのではありませんか。一体、何パーセントの教科書が記述していれば「多くの」と言い得、試験問題として作成可能なのでしょうか。明確な数値をご提示下さい。
 2)たとえば、一橋出版の103頁では、「日本に住む外国人が選挙権を求めた裁判で,最高裁判所は1995年2月に永住外国人にも地方参政権を認める余地のある判断を示したが,2000年6月の判決では,地方参政権を日本国民に限っている公職選挙法などを合憲とした。」と記述されております。この教科書を使用した受験生が当該設問に解答し得るとした理由をご回答下さい。

2.ご返事では「最高裁判決を、選択肢の一つとして取り上げた」とありますが、改めて下記の諸点について、貴殿のご見解をおうかがいいたします。
 1)「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではない」というのは傍論部分であり、判決として効力を有する本論部分の結論とは異なることを認識されていますか。
 2)この判決に加わった園部逸夫元最高裁判事による『日本自治体法務研究 第九号 2007年夏』で、この傍論を重視することは「主観的な評価に過ぎず、判例の評価という点では、法の世界から離れた俗論である」との記述が存在することを認識されていますか。
 3)さらに、外国人地方参政権許容の基となっている「部分許容説」を紹介した長尾一紘教授が、現在は「外国人への参政権付与は地方レベルでも違憲である」との立場であることを認識されていますか。

上記の疑問点につき、2月15日までに、文書でご回答いただきたくお願い申し上げます。

                                                      敬具

 


大学入試センターからの返書は次の通りです。

平成22年2月5日
新しい歴史教科書をつくる会
会長  藤岡信勝殿
                               独立行政法人大学入試センター理事長
                                                   吉本高志
                                                  (公印省略)
       平成22年度大学入試センター試験試験問題に関する照会について

      「現代社会」第1問問3の御質問について,下記のとおりお答えします。

                            記

    大学入試センター試験は,高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程
   度を判定することを主たる目的とするものであります。この目的を達成するた
   め,試験の問題は,「高等学校学習指導要領」に準拠している教科書を基礎とし
   て,出題されております。
    この設問は,日本における参政権に関する知識を問うものであり,その出題
   に当たり,多くの「現代社会」の教科書で言及されているこの最高裁判決を,
   選択肢の一つとして取り上げたものです。

    今後も当方に寄せられる様々な御意見を参考にしながら,良問の作成に努め
   てまいる所存です。

 

 


 

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