第275号 平成22年 6月10日(木)



横浜市における教科書不使用問題
浜教組のマニュアル回収と関係者の懲戒処分を請願
6月22日以降に横浜市教育委員会で審議

 

  FAX通信第274号(5月21日付)でお知らせした「浜教組による教科書不使用問題」に関し、当会はさる6月4日、横浜市教育委員会に対し、下記の「横浜市教職員組合(浜教組)の違法行為に関する請願」を提出しました。この請願については、正式に受理され、6月8日に開催された定例教育委員会に報告されて、次回(6月22日)以降の教育委員会において審議されることとなりました。
 請願のなかで求めたことは、(1)浜教組が配布した違法マニュアルの回収(2)違法マニュアルの作成、配布に関与した教員に対する懲戒処分(3)教員の教科書使用義務の周知の3点です。また、当会は、教育委員会における意見陳述も求めておりますが、意見陳述の日時については、次回の教育委員会で審議されることとなっています。
 当会は、本問題については今後も徹底して追及して参ります。

 
      
                                        平成22年6月4日
横浜市教育委員会
委員長 今田忠彦 殿

               横浜市教職員組合(浜教組)の違法行為に関する請願

                                  新しい歴史教科書をつくる会
                                          会長 藤岡信勝
 
1. 請願事項

 (1)横浜市教職員組合(浜教組)が、「学校ポスト」を不正に利用して、貴教育委員会管轄下の学校教員1万人以上に配布した違法文書、「浜教組ニュースNo.179 中学校歴史資料集」(4月1日発行、42ページ)と、これに密接に関連する文書である、横浜教科書研究会「自由社版『新編 新しい歴史教科書』でどう教えるか?」(4月1日発行、20ページ)を、貴教育委員会の権限と責任において、可及的速やかに回収・処分して下さい。

 (2)このような違法行為がくり返されないために、上記文書の作成と配布に関与した教員(企画立案者並びに実行行為者)を懲戒処分して下さい。
 (3)教員の「教科書使用義務」について、教員ならびに父母・住民に広く知らしめる措置をとって下さい。

2. 請願理由

 (1)横浜市では、昨年度の教育委員会による教科書採択で、中学校社会科歴史的分野の教科書として、自由社の『新編 新しい歴史教科書』が18行政区のうち8区において採用され、本年度から該当区において使用開始となっていました。ところが、この4月初めに、かねてから自由社教科書の採択反対・採択撤回運動を進めていた横浜市教職員組合(浜教組)が、自由社の歴史教科書の記述内容の問題点を指摘した上で、教科書にかわる教材を使用した「中学校歴史資料集」(42ページ)を、1万人を超える教員に配布しました。

 (2)この資料集は、室町時代の民衆と一揆、江戸時代の身分制社会、大日本帝国憲法、日清戦争、日露戦争、アジア太平洋戦争の6つの項目を立て、自由社の教科書からいくつかのパラグラフを引用して「問題点」なるものを指摘しています。その上で、「授業の展開例」と「資料」が掲載されていますが、資料はすべて、自由社以外の他社の教科書および一般図書からの引用で、自由社の教科書に掲載された資料は、ただの一つも使われていません。江戸時代の身分別人口の割合を示す円グラフは、同じ資料が自由社の教科書に掲載されているにもかかわらず、他社の教科書からわざわざ引用するなど、「自由社教科書を使わなくてもこのように授業ができる」という、具体的なマニュアルを示すものとなっています。さらにあとがきでは、「他の単元についても」同様の研究をすることを呼びかけており、6つの単元にとどまらず、今後すべての単元で自由社の教科書を使わずに授業をすることができる条件をつくろうとする意図が表明されています。

 (3)この資料集が意味するものは、文部科学大臣の検定を経て、横浜市教育委員会がその権限と責任に基づき、正規の手続きに従って、適正かつ公正に採択した教科書を、現場の教員に使用させまいとする、組織的で大がかりな「教科書不使用運動」であります。これが、教員の教科書使用義務を定めた学校教育法などの一連の法規に反する極めて重大な違法行為にあたることは明白です。

(4)さらに、このような違法行為を煽る労働組合の文書が、管理者である教育委員会の正規の運搬システムである「学校ポスト」を無断使用して教員らに配られていたことも発覚しました。「学校ポスト」は横浜市が年間5300万円の費用をかけているシステムで、公務以外の組合活動や教職員の私的利用は厳禁されているものです。これもまた、労働組合による公的制度の私的利用であり、横浜市民の利益を裏切る行為です。

 (5)貴教育委員会は4月28日付け山田巧教育長名で「横浜市教職員組合執行委員長柳井健一」宛てに「警告」文書を発信し、@教育委員会による適正・公正な採択を否定し、授業の中で資料集のみを使用して指導する展開例が示されており、「極めて不適切」である、A昨年8月に、業務外・私的利用を禁止する通知をしたにもかかわらず、学校ポストが使用されたことは「極めて遺憾」である、としたうえで、「今後、このような文書を教員に配布しないこと」、「学校ポストについて、職員団体活動に使用しないこと」の2点をもとめました。
 また、同時に学校長宛てに通知を出し、「各学校においては、文部科学大臣の検定を経て横浜市教育委員会が採択した教科書を必ず使用しなければなりません」とのべて、適切な教育課程管理を指示しました。

 (6)しかし、違法行為を教唆する資料集は、いまだ教員の手もとにあり、違法状態が放置されたままになっています。これを正し、原状を回復するためには、資料集の回収が不可欠です。浜教組への「警告」に留まって回収措置をとらなければ、違法行為によって生じた違法状態は今後も継続します。
 また、そのような資料の作成に関与した教員と、「学校ポスト」を不正に利用した教員を懲戒処分にすべきです。その措置がとられない限り、この種の違法行為が再発しないという保証はありません。裁判所の判例でも、「特定の教科書の内容が自分の考えと違うとの立場から教科書を使用しないのは、懲戒処分の理由に該当する」(平成2年1月18日、最高裁判決)とされています。浜教組の今回の行為は、教科書の不使用を教唆・扇動するものであり、観点を変えれば、個々の教員の違法行為よりも組織性、大量性が伴い、罪は大きいというべきです。

 (7)教員には、教科書採択について決定権はないものの、多くの自治体では意見を具申することが採択制度の一環として認められています。その正当な意思表明の枠を超えて、その外側から、日教組などの労働組合が自分たちのイデオロギーに合わない特定の教科書を公然と排斥したり、教育委員会が適正・公正な手続きで採択した教科書の撤回を求めたりする運動が、批判や厳罰に逢うことなく見逃されてきたことに、今回の問題の背景があります。
 浜教組は、採択期間中から「つくる会教科書」の不採択運動を進め、採択後は採択撤回運動に取り組み、503分会の署名を集約し、街頭で市民にまで署名を呼びかける行動に出ました。今回の「教科書不使用マニュアル」の配布は、単にその活動の延長であるにすぎません。教科書を使用して授業をする職務を遂行するために雇われている地方公務員が、その教科書を批判し、採択撤回を求める署名活動を展開し、教科書不使用運動を指示することは、教員組合による教育行政への「不当な介入」(教育基本法第16条)に当たることは明白です。
 横浜市教職員組合の今回の違法行為を放置するなら、教科書検定制度と採択制度の根幹を揺るがし、教育委員会の権限を否定するものとなります。それによって、教育現場は法を無視した教員組合の恣意やイデオロギーがまかり通る無法地帯となり、日本は法治国家の実を失うことになります。こうした事態を絶対に許してはなりません。

(8)以上の趣旨について、貴教育委員会において意見陳述の機会をお与えいただきますようお願い申し上げます。   (以上)


          上記誓願に対する回答 PDF
 

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