平成16(2004)年1月23日(金)
つくる会、文部科学省に要望書を提出!
大学入試センター試験の「強制連行」に関する設問を採点から除外することを求める
つくる会副会長・藤岡信勝氏と事務局長・宮崎正治氏 
 
 1月17日に行われた大学入試センターの試験の「世界史」に「強制連行」に関する問題が出題されていた件に関して、つくる会では、1月22日、藤岡副会長、宮崎事務局長らが文部科学省を訪れ、高等教育局大学入試室の松川室長ほか3名に会見、河村大臣宛の「大学入試センター試験の『強制連行』に関する設問を採点から除外することを求める要望書」(別掲)ならびに参考資料を提出し、大学入試センターに対して適切な指導を行うよう要請した。

 会見では、最初に藤岡副会長が要望書を読み上げた後、参考資料をもとに、問題の「強制連行」に関する設問は、いわば思想によって解答の正否が決まる思想チェックの問題であるとともに、強制連行があったと信じている生徒にとっても定義があいまいなため正解が得られないいびつな欠陥問題であるとし、本設問を採点から除外するよう訴えた。

 文部科学省の松川室長は最初に、「教科書にきちんと取り上げられていれば、不適切とは思わない」と発言、あわせてセンター試験の趣旨を説明したが、それに対して当方より、当会事務所に備えてある16冊の世界史教科書を調べた結果、受験生が本問題の正解を得られるような記載をしている教科書は半分に過ぎない旨を次げると、室長は、「習得されているだろうと判断すれば載っていない教科書があってもよい」と答えを変え、その後は「くわしく分析してみないとわからない」「それは大学入試センターの管轄」等々と言葉を濁すばかりだった。

 最後に、本要望書が文部科学大臣に確実に渡されることと、大学入試センターへも伝えられることを確認して会見を終えた。その後、同省記者クラブにて記者会見を行い、文部科学省との会見の報告を行うとともに、早急に受験生が使用した世界史教科書すべて(29冊)の調査を終え、来週早々には大学入試センターに対して公開質問状を提出することを明らかにした。

 文部科学大臣宛の要望書の全文は下記の通り。

 
大学入試センター試験の「強制連行」に関する設問を
採点から除外することを求める要望書
 
 本年一月十七日に行われた大学入試センター試験の「世界史」において、重大な欠陥のある問題が出題されていたことが明らかになった。それは第1問の問5で、日本統治下の朝鮮について述べた文として正しいものを、四つの選択肢から選ばせるという形式であった。正解とされたのは、「第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた」というものである。これは、極めて不公正で不適切な設問である。
 ここで使われている「強制連行」という用語は、戦後になってから日本を糾弾するための政治的な意味合いをもって造語された言葉であって、事実ではない。日本統治下の朝鮮においては、「国民徴用令」にもとづく徴用が一九四四年九月から実施された。当時は朝鮮半島の人々も日本国民であったのであり、徴用は国家による合法的行為である。この設問は、歴史的事実である徴用を強制連行であるとして糾弾する立場に立ってはじめて成立する設問であり、徴用を強制連行と同一視するという虚像を含んだ、極めて偏った歴史観を、大学受験という制度を利用して日本国民に押しつけようとするものである。
 徴用を強制連行とは異なるものであると正しく理解している受験生にとって、この設問の選択肢に正解はない。このような問題は、いわば思想によって解答の正否が決まる思想チェックの問題であり、断じて黙認することはできない。さらに、強制連行があったと信じている受験生にとっても、正解がない設問である。なぜなら、どの時期のできごとを強制連行とよぶか、その定義は、人によってまちまちであり、強制連行という言葉を使っている教科書によってもさまざまである。すなわち、この問題はどういう立場に立っても、正解のない、いびつな欠陥問題なのである。
 大学入試センターは、この問題を、「正解なし」として採点から除外する措置を速やかにとるべきである。当会は、文部科学省に対し、当該設問を採点から除外するため、大学入試センターに対し直ちに適切な指導を行うよう要望する。また、センター試験に関しては、従来から問題の内容について疑問・批判の声があがっている。これらの疑問や批判に答えるためにも、試験問題作成過程ならびに問題内容の精査過程を公開するよう併せて要望する。
 平成十六年一月二十二日
新しい歴史教科書をつくる会
 会長 田 中 英 道 
文部科学大臣 河 村 建 夫 殿