
今年のセンター入試には、イデオロギー的に偏向した出題が二つも見つかった。
一つは世界史Bの設問の中に「第二次世界大戦中、日本への強制連行が行われた」という文章を正解として選ばせる問題が出された。
「強制連行」という言葉は、特定の国や勢力が反日宣伝のために作った造語にすぎない。
この用語の妥当性については、学界の定説もなければ、国民のあいだでのコンセンサスもできていない。むしろ現在激しい論争の的になっている問題である。
その対立する両者のうちの一方的な見方を「正解」として受験生に押しつけるというのは、あまりにも公正中立を欠いた出題と言わなければならない。
いま一つのイデオロギー的偏向出題は、「現代社会」の第一問である。その問題文の中には「女性の議員が多い国」を「先進国」とし、スウェーデンでは「外国人にも参政権を認めている」「十八歳で選挙権・被選挙権を認めている」として、それがよいこと、正しいこととして書かれている。
言うまでもなく、これらの命題は国民のあいだで争点になっている問題である。ところが一方だけの考えが正しいという前提で問題文として出題されているのである。
さらに設問の中には、「選択的夫婦別姓を求める動き」を「男女平等の社会づくりを進める動き」と意味づけ、それを「正しいもの」として受験生に選ばせるようになっている。
また国会議員の中で女性が占める比率を示すグラフを出して、その国別の順番を当てさせる設問もある。その順番では日本が最下位であり、日本が男女平等で最も遅れているという偏見を受験生に刷り込むことになりかねない。
当然ながら、入試問題の内容は完全に中立かつ公正なものでなければならない。ある特定の思想を表現するような偏った内容であってはならない。
この原則が、これらの設問ではまったく守られていない。現在論争中の問題を入試に出題し、一方的な見方を「正解」にするというのは、暴挙と言うべきである。
これらの出題の偏りは、おそらく出題者の中に自虐史観を持った者やフェミニストが加わっており、その者たちが党派的に自分たちの思想を押しつけるために入試を利用した結果であろう。
高校生や受験生に対する思想的洗脳を行うのに、入試を悪用するとは言語道断である。
センター入試というのは、一つの大学の受験生に影響があるという規模ではなく、全国何十万人の受験生が受ける大規模な試験である。
そこに出題されれば、来年からはその系統の「正解」を学習することを強制されるという効果を持つ。思想的洗脳をしたい者にとっては格好の手段になる。
出題者に選ばれたという特権を悪用して、党派的偏向的な内容を入試問題の中に忍びこませるという行為は、卑怯であるばかりか、出題者としてのモラルを欠いた犯罪と言いうるだろう。
関係者の猛省を促したい。
はやし・みちよし
専攻は深層心理学。著書に『母性の復権』『父性の復権』『家族の復権』の3部作のほか、『主婦の復権』『フェミニズムの害毒』『家族破壊』など多数。