特に、既存7社が人権の尊重を強調する傾向にあるにもかかわらず、北朝鮮による日本人拉致事件について一切触れていないのはまったく奇異な感じで、不思議を通り越して意図的なものさえ感じられます。
すでに日本政府はこの拉致事件を事実として認定(平成9年度『警察白書』)していました。それ故、扶桑社版では「北朝鮮による日本人拉致問題」というコラムを設け、横田めぐみさんの拉致経緯などに触れ「わが国に対する明白な主権侵犯行為であるとともに、野蛮な人権じゅうりんでもある」と書いたのでした。
ところが、一昨年夏の採択の折、東京の町田市や杉並区においては、見識を求められる教育委員が「北朝鮮当局が拉致そのものを否定しているのに、それを掲載した教科書を使うことはまずいという理由で票を入れなかった」などと発言、採択に反対したのでした。町田市の教育委員はすでに辞任していますが、人権問題で拉致事件は格好のテーマであり、それは国民の事件への関心ぶりからも証されていますので、辞任も当然のことといえるでしょう。
ともかく「学習指導要領の趣旨をくみとりながら、子供たちに長い歴史を持つ国家の国民としての矜持をもってほしいとの願いから記述されたもの」(八木理事)が『新しい公民教科書』です。