自公保 「公正な採択」強調
社民共産 扶桑社1社を攻撃
民主 統一意見は出せず
中国、韓国からの度重なる修正要求など、平成十四年度版中学歴史教科書の検定・採択は近隣国との間で政治問題化しているが、今回の参院選では、自民、公明、保守の与党三党や自由党は公正中立な採択実施を主張。反対に、社民党や共産党は検定に合格した八社のうち扶桑社一社に限って不採択を呼びかけ、民主党は党内で意見が分裂している。各党の考え方は比較的明確に分かれており、二十六日のテレビ番組でも激論が交わされた。
土井たか子社民党党首 「歴史教科書に関する考えを聞きたい」
小泉純一郎首相 「日本は国が関与できない。もっと関与しろということか」
もともと、現行検定制度の公正な運営を強く打ち出しているのが自民党。五月末には、麻生太郎政調会長名で各都道府県連の政調会長にあてた通達で、政治団体や教職員組合などからの圧力を排した採択の実施を要請している。
公明、保守両党は「検定に合格した以上、外国にとやかく言われる筋合いはない」(保守党政調関係者)という立場だ。
一方、従来は検定制度廃止を唱え、自由な教科書づくりを訴えてきたはずの社民党は、党として扶桑社本の不採択運動に取り組むことを公言。土井党首が「言論の自由、出版の自由はあるが、教科書となるとわけが違う」と、教科書においては憲法に保障された権利も制限を受けるとの特異な見解を展開している。
野党第一党の民主党は扶桑社本について「アジアで日本が孤立することになっても何ら責任を感じようとしない、大変ひきょうなやり方だ」(菅直人幹事長)「採択され、どんどん使われていくことは望ましいことではない」(鳩山由紀夫代表)などと首脳の間には批判的な意見が目立つ。
しかし、党内には教科書問題をめぐり、「われわれと考え方は全く同じ」(中川昭一自民党広報本部長)という中堅・若手も多く、「今までの教科書は自虐的だった。執行部は歴史事実を分かっていない」(若手)という反発もあり、統一した姿勢は打ち出せないでいる。
【歴史教科書問題に関する各党幹部発言】
自民党 (修正の)再考を求める韓国側の姿勢は遺憾に感じる(山崎拓幹事長)
公明党 教科書問題は国内問題だ。粛々と対応すべきだ(冬柴鉄三幹事長)
保守党 中韓からの指摘に対しては、粘り強く日本の検定制度への理解を求めていくしかない(政調事務局)
民主党 「新しい歴史教科書をつくる会」なる団体は国粋的な思想政治集団である(菅直人幹事長)
共産党 (扶桑社本は)開戦前の日米交渉を決裂させた責任は米国にあったと言わんばかり(不破哲三議長)
社民党 戦争には妥当な理由があったとか、被害に遭った国が黙っておられるはずはない(土井たか子党首)
自由党 (韓国の再修正要求は)歴史の事実について首相や政府にはっきりした考え方がないところ
■教科書検定制度と採択の現状 民間が執筆・編集した図書の内容を文部科学省が審査し、合格したものを教科書と認めるのが検定制度。申請された図書(申請本)を同省の教科書調査官が調査し、文部科学相が教科用図書検定調査審議会に諮問する。
検定審は同省が定める検定基準に基づき、調査官らの調査結果も踏まえて審議。修正が必要な場合は出版社側に検定意見を通知し、修正後の図書を再審査の上、合否を答申する。合格した教科書は、公立学校では所管の教育委員会、国・私立学
校については校長の権限で採択される。市町村立小中学校の教科書採択にあたっては、平均して三市郡程度で構成する採択地区ごとに同一の教科書を採択する。
今回は八月十五日までに各地区で採択が実施されるが、扶桑社本の不採択を目指す左翼過激派や政治団体などによる組織的な抗議・妨害行動が目立っている。栃木県の下都賀地区教科書採択協議会(小山市など二市八町)はいったんは扶桑社本の採択を決めたものの、こうした圧力の結果、再審議となり、東京書籍本の採択を決めた。一方、扶桑社本に対しては韓国、中国が歴史認識などをめぐって反発、修正を要求したが、日本政府は事実誤認以外は修正要求を拒否した。
産経新聞 平成13年7月27日
2001参院選 教科書問題、党主張くっきり