| 採択制度改善へ向け始動! |
| 改善運動に資する文科省「通史」と「検討のまとめ」 |
| 事務局長 宮崎正治 |
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| 異常な採択への反省から生まれた「検討のまとめ」 |
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あまりにも異常な環境のもとで行われた2年前の教科書採択。その反省から文部科学省は、昨平成14年2月、教科用図書検定調査審議会に対し、検定・採択制度の改善に関する検討を諮問、同審議会は5ヶ月間の審議を経て、同年7月31日、「第1部 教科書検定の改善について」「第2部 教科書採択の改善について」からなる「教科書制度の改善について(検討のまとめ)」を公表した。
それから1ヶ月後の8月30日、文科省は「検討のまとめ」を受けて、各都道府県教育委員会の教育長宛に、初等中等教育局長名で「教科書制度の改善について」と題する通知を発し、別添として「検討のまとめ」全文のほか関連資料を送付した。
「つくる会」では、すでに本誌等で会としての教科書制度改善の指針を発表してきたが、「検討のまとめ」で提示された検定・採択に関する改善策の内容は未だ不十分であるととらえ、抜本的な改善を求め、文科省ならびに国会への働きかけを継続して行っている。また、教科書改善連絡協議会(会長・三浦朱門元文化庁長官)では、中韓両国の内政干渉から教科書を守るため、近隣諸国条項の削除を求める文科大臣宛の百万人署名運動を開始し、すでに9月中旬には30万を突破したとのことである。
こうした中央対策は今後も友好団体とも協力の上で推進していくとして、小学校の教科書採択を明年春に控え、都道府県教育委員会ならびに採択地区の市町村教育委員会における採択制度の改善は急を要する段階を迎えている。
そこで、先の文科省の「通知」ならびにその別添としての「検討のまとめ」の内容を検討し、全国各地の改善運動の資料に供したい。結論を先に述べさせてもらえぱ、「通知」で示された改善策が「検討のまとめ」の内容・精神に則って実施されれば、前回のような異常な環境のもとでの採択は回避され、我々の願う「適正かつ公正な採択」に大きく近づくことができるということである。
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| 文部科学省「通知」で示された具体的改善点 |
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今回の「通知」の内容は、各都道府県教育委員会が「検討のまとめ」を参考に、採択のより一層の改善を図るとともに、市町村教育委員会及び国立・私立の義務教育諸学校に対しても同様の指導を行うよう促したもので、そこには具体的改善点として以下の項目が列挙されている。
1、調査研究の充実に向けた条件整備について
(1) 十分な調査研究期間の確保
(2) 調査研究のための資料の充実
(3) 保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実
2、採択手続の改善について
(1)市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化
(2)採択地区の適正規模化
(3)静ひつな採択環境の確保
(4)開かれた採択の一層の推進
3、 その他
最初に各項目の内容について簡単に触れておく。
1の「調査研究の充実に向けた条件整備について」では、 県教委作成の「選定資料」の一層の工夫・充実」を求め るとともに、市町村教育委員会に対して教科書見本送付後速やかに調査研究に着手するよう指導することを求め、県教委の選定審議会や採択地区の各種委員会へ保護者の声を反映させるため、その参画の一層の促進を求めている。
なお、文科省は採択期限を8月31日まで延期することを決定し、すでに今夏の採択から実施している。
2の「採択手続の改善について」では、まず「市町村教育委員会と採択地区との関係の明確化」のため、「市町村教育委員会間で採択事務に関するルールを定め、予め公表するなど、採択手続を明確にしておく」よう指導することを求めている。次いで「採択地区の適正規模化」では、「各市町村教育委員会の意向等を的確に踏まえ、採択地区がより適切なものとなるよう不断の見直しに努めること」を求めている。
注目すべきは次の「静ひつな採択環境の確保」の項で、「様々な働きかけにより円滑な採択事務に支障をきたすよ うな事態が生じた場合や違法な働きかけがあった場合には、各採択権者が警察等の関係機関と連携を図りながら、毅然とした対応を取るよう(県教委の)指導・支援」を求めていることである。それに関連して、次の「開かれた採択の一層の推進」では、「採択結果や理由等の採択に関する情報の積極的な公表に努めること」を記すのみで、前回、一部教育委員会でみられた教育委員会の採択会議の公開には一切ふれていないことも注目されよう。
3の「その他」は新たな提言で、「保護者や地域住民の教科書に対する関心に応えるとともに、教員による教材研究や児童生徒による学習の深化・発展に資する」との観点から、「各学校の図書館や公立図書館に教科書を整備するよう努めること」を求めている。
以上、「通知」の内容は一見するだけでは「静ひつな採択環境の整備」以外に取り立てて評価すべき点はないように見える。しかしながら、前述したように、別添の「検討のまとめ」を参照しつつ各改善項目を再点検すると、採択制度改善の視点が見えてくるのである。そこで、文科省「通知」のもととなった「検討のまとめ」をもとに、今後の都道府県教委ならびに市町村教委への採択制度の改善要求の視点について触れておきたい。
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| 改善の視点(1) 教育委員会の権限と責任の明確化 |
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「通知」ではあまり目立たないが、「検討のまとめ」では、提言のすべてが採択権者としての教育委員会の権限と責任を明確にする観点から述べられている。
一例をあげると「採択手続の改善について」の「現状及び基本的な考え方について」では「教科書の採択は、各採択権者の権限と責任のもと、適切な手続により行われるべきものである」と明言した上で、「しかし、複数市町村が共同で採択を行っている地区では、採択権者である市町村教育委員会と採択地区との関係が明確でない、市町村教育委員会の意向が適切に反映されにくいなど、採択手続に関して更なる改善を求める声が出されている」と、教育委員会の採択の権限と責任が共同採択地区において不明確になっている現状を認めているのである。
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| 改善の視点(2) 採択地区を市または郡単位へ |
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「採択地区の適性規模化」に関して「検討のまとめ」は「現行制度上、市又は郡単独でも採択地区を設定できることとなっている」と明記し、暗に市・郡を単位とする採択地区の再編を促している。文科省自身が、採択地区協議会の矛盾を解消し、教育委員会の採択の権限と責任を一層明確化するための改善策として、市または郡単位へ採択地区の小規模化を目指していると考えられるのである。
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| 改善の視点(3) 静ひつな採択環境確保の明確化 |
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「通知」「検討のまとめ」ともに最も強調しているのが、「静ひつな採択環境の確保」である。このことは、「検討のまとめ」で例示されている「児童生徒が使用する教科書について誹誇・中傷等が行われる中で採択がなされたり、外部からの不当な働きかけ等により採択が歪められたなどの疑念を抱かれるようなこと」が前回の採択時に行われたことを文科省が認めたことにほかならない。
であるからこそ、「検討のまとめ」では、前回の採択時にみられた反対勢力の妨害行動を指すと思われる事例への対処方を列挙し、これまで公開の方向に傾いていた採択のための教育委員会の会議についても、「公開・非公開を適切に判断する」として「非公開」の方向を暗示しているのである。
この点に関して付記しておきたいのは、組織的な妨害行動を防止する最大の方策としての「一斉採択日の採用」である。せめて都道府県レベルでの一斉採択が実現すれば、前回のような事態はかなり防げるのではないかと思われる。
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| 鎌倉市教委が制度改善の請願を採択 |
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すでに、神奈川県の鎌倉市教育委員会は、9月4日、文科省の「通知」を主な根拠にして提出された「小.中学校教科書採択制度の改善を求める請願」を採択している。同教育委員会が採択した「請願の要旨」は、
(1) 鎌倉市を単独の教科書採択地区とすること
(2)教育委員会の権限と責任のもとに、学習指導要領の目標・内容に照らして、教育委員会みずからの判断により教科書を採択すること。
(3)教科書採択にあたり、外部からの不当な圧力を排除し、静諦な環境が確保されるように条件整備をすること。
の3点である。
このほか全国各地でそれぞれの地区の状況に応じた採択制度の改善を求める動きがはじまっているが、前回の異常な事態を回避するためにも、ここに紹介した「通知」「検討のまとめ」の内容を周知徹底のうえ、関係者への働きかけをお願いしたい(文科省「通知」「検討のまとめ」をご希望の方は、地元の教育委員会か、「つくる会」本部までご一報ください)。 |