平成15年9月号(通巻40号)より
古代日本を肌で感じた展示会
静岡「日本の神話展」レポート
つくる会静岡県支部事務局長 平松修
絵画とパノラマで神話の世界を体感
 冷夏、長雨の今年の夏。8月12日から17日までの一番天候が悪い時期に、私達が1年間準備してきた「日本の神話展」が静岡市民ギャラリーで始まりました。

 2部屋を借りての大掛かりな展示となり、一部屋は「伊勢神宮徴古館」所蔵の国史絵画のパネル10点、また、「神社本庁」からお借りした作家で日本画家の出雲井晶先生の神話パネル41点。

  さらに、金沢市在住の挿絵画家、古川ルデヤさんが今回のパネル展のために描いて下さった絵画や、静岡県内に伝わる「ヤマトタケル伝説」神話の絵本、戦前の教科書に記載されていた神話を紹介するパネル、現在の教科書に記されている神話伝承について展示しました。

  また、もう一部屋は静岡市在住の造形作家、たたらなおきさんの作品を展示しました。発泡スチロールと紙粘土で製作した立体造形のパノラマやオブジェで、中には高さが2メートル以上もある作品もあり、子供達も触れて遊べて体感できる、迫力ある神話の世界です。まるで絵本の世界に迷い込んだ気分になりました。
次世代へ受け継がれるきっかけに
 アンケートの中には「57歳にしてはじめて、日本の神話にふれました。知らないことのいかに多いかを思い知らされました。子供に還って勉強した気分です。めぐり合ったこの時問が大変貴重でありがたいと思いました」という声や、「白立した国家の民族意識(プライド)を幼少時より教育すべきである。本展示会は誠に有意義なキャンペーンである。大いに昴揚させて、小、中教育の改革を実現されたい」等の感想をいただきました。

 作品を展示し、その説明文を添えたくらいの案内でしたが、このような感想をもっていただけたことは嬉しいことでした。主催者側のメッセージが少ないかなと思いましたが、感じてくださった方は多かったようです。

 また、来場者の中には、大事なことだからと、パネル展に来る前に『古事記』を家族で勉強してから来られた小学生の親子連れや、習字の先生が生徒の小学生を連れて来て、熱心に一つ一つ案内しておられた姿も感動でした。

  次の世代へも受け継がれるきっかけにもなったのだなと思います。
子どもから大人まで楽しめる企画を
 この企画の話が出たのは1年前の今ごろです。「激動の20世紀展」を企画主導し、即行動する副支部長の河守廣征氏と話をしていたときでした。

  以前、日本の歴史と国を再確認するきっかけをつくりたい。そのためには、子どもから大人までが楽しめ、味わえる企画ができないものかと考えていました。「日本人の心の根っこは何だろうか」との問いを持ち、歴史を学び直しつつある時、「日本の歴史を本当に知るには、初代天皇の神武天皇と、神話が大事ですよ」と声を掛けてくださった方があったからです。

  この企画を実現するた めには一部の人だけの活動ではなく、多くの方の賛同と協力、それに資金集めと内容の充実が不可欠でした。

  まず静岡県支部長で大井神社宮司の片川昭毒氏に相談したところ「大いにやりましょう」とたいへん喜んでくださり、強力な推進力となってくださいました。

  それから出雲井先生のお宅を何度もお尋ねし、さらに、賛同者の輪を広げるために急遼支部会員に呼びかけて、小学生、中学生も一緒に20数名で『神話伝承館』見学ツアーを企画しました。このことが大きな力になりました。

  このツアーに参加された支部会員の息子さんが前述のたたらさんでした。たたらさんは小学館や学研の子供用雑誌のお仕事もされていて、「ぜひ仲間に加えて欲しい」と協力を得ることができました。

 河守副支部長はヤマトタケルと静岡を題材に20枚のパネルを作成しました。

  さらに、たたらさんの「不十分でも手作り自作の展示物は、来場者の心を引き付けますよ」の一言に、会員の有志が県内の神話関連の場所を取材に歩き始め、素人手作りの展示コーナーもできました(これは、初めてと思えない立派な出来でした)。

 また、支部長、副支部長と私の3人で伊勢神宮、橿原神宮、熱田神宮、他の神社に参拝と資料集めの旅もしてきました。 また、6月の支部総会には高森明勅先生が「こんなにおもしろい日本の神話」というタイトルで講演をしてくださり、たいへん勇気づけられました。

 名越二荒之助先生も「とても有意義な企画で嬉しい」と応援に来てくださり、「世界から見た神話」について語ってくださって、それもパネルにしました。

  問題だったのは会場申請の時でした。「申請団体名に『つくる会」静岡県支部では困る、他の名前にして欲しい」と言われ、それで急遼「神話教育を推進する会」として進めましたが、これはこれからの大きな課題です。