| 戦後教育の破綻を露呈した人質事件 |
| 村田良平 元外務事務次官・日本財団特別顧問 |
イラクでの日本人人質事件では、連日あきれかえることばかりであった。
流石に世論の批判があって、異常だった家族や特定のメディアの姿勢はかなり改まりはした。しかし、彼らの当初の数日間の反応は、多くの日本人がいかに情緒的で利己的で非常識かを露呈したものであった。二世代にわたり欠陥教育が行なわれたことの証左である。
一部新聞は事後、人質が日本国内で非難されたことに諸外国で驚きがあるとして、断片的な外国報道を鬼の首をとったかのように報じた。日本政府が「自己責任」の名のもとに行なっている言論封殺は民主主義国で許されることでないなどの”識者”の発言を掲載したものもあった。かかる報道はひとえに自社の偏向ぶりを何とか正当化しようとの意図に基づいていて、公正さを著しく欠くものである。今回政府が求めた自己責任とは、常識的な民主主義社会の原則に過ぎない。これを言論封殺と呼ぶ学者の頭脳の粗末さに驚くほかない。
異常だったメディアのなかで、NHKの姿勢もひどかったが、これは今回はじまったことではない。NHKは、例えば昨年12月23日天皇誕生日関連のニュースを全く重要でない事件などより後に持ってきていたが、公共放送として陛下に対する最低限のエチケットを心得ないものだ。なお、たまたま皇室に敬語を使わないA紙、M紙等は、今次人質事件の取り扱いや論説に問題が多かった。
最近の大学生は、皇室、日本の持つ領土問題などについて何も知らないものが多いようだ。教科書なり学習指導要領にいかなる記述があろうとも、教師も、両親も教えなければ、こうした欠陥成人がこれからも生まれる。国民及び市民としての義務と良識を児童や生徒にちゃんと教えない状況が未だに横行しているのは日本だけである。 |