特別号(通巻50号)より
新しい教科書 Q&A
 Q1 「歴史的事実を歪める」教科書は問題ではないですか?

 A1 最新の研究成果にもとづいた内容になっています。

 もし、そのような教科書が本当にあるとすれば問題です。しかし、少なくとも『新しい歴史教科書』はそのような内容ではありません。『新しい歴史教科書』の記述は、あくまで最新の学問的研究成果にもとづいています。また、そのような内容であれば、検定で合格するはずがありません。

  むしろ、これまでの教科書が、学問的に決着のついていない事柄でも、日本にマイナスの印象を与えるような記述になっているにもかかわらず、採用されてきたことの方が問題ではないでしょうか。
例えば、いわゆる「従軍慰安婦の強制連行」が問題となっていますが、現在まで日本軍が朝鮮半島で女性を強制的に連行したという証拠は出てきていません。

  それどころか、最初に「従軍慰安婦の強制連行」をやったと告白し、慰安婦問題の火付け役となった元日本兵の吉田清治氏は、後になって学者の調査に「強制連行したというのはウソだった」と答えています。また、元慰安婦であるという朝鮮の女性たちの証言も、聞くたびに内容が違っていたり、日本軍にさらわれたのではなく、両親にお金で売られたというような証言内容になっています。
これをもって「日本軍が朝鮮半島から女性を強制連行して慰安婦にした」という事実を確定することはできません。

  もちろん、誰がやったにせよ、彼女たちは不幸な歴史の犠牲者ですから、深く同情します。しかし、証拠もないのに「日本が全部悪い」とするわけにはいきません。たしかに、証拠はないけれども「おそらくやっただろう」と考える人はいるでしょう。それだけならば、個人の内心ですのでいっこうに構いません。しかし、それをあたかも歴史的事実のように教科書に書いてよいのでしょうか。

  『新しい歴史教科書』は、あくまでも最新の学問研究の成果にもとづいて、事実であると確定できるものだけを教科書に記述しています。

  なお、新聞の見出しだけ読んで批判するのではなく、実際に教科書を読んでから、この教科書が歴史を歪めているかどうかを判断して欲しいものです。



 Q2 「戦争を賛美する」教科書は問題ではないですか?

 A2 戦争は賛美していません。逆に、戦争の悲惨さを教えています。

 『新しい歴史教科書』が「戦争を賛美している」と批判する人がいます。しかし、そのような人はおそらく『新しい歴史教科書』を読んでいないか、読んでいたとしても批判したくて批判しているだけだと思います。なぜなら『新しい歴史教科書』は、戦争の悲惨さを生徒に教えるとともに、その原因についても詳細な記述をしているからです。

  この教科書を読んで、「戦争は素晴らしい」などと感想をいだく生徒は一人もいないでしょう。むしろ、戦争は悲惨であるということをしっかりと学び、またそれを避けるためにはどのようにしたらよいかということを真剣に考えるようになるはずです。『新しい歴史教科書』は、戦争から目を反らすのではなく、きちんと見つめる目を養います。

  なお、戦争に行って命を落とした人たちに慰霊と感謝の眼差しを向けることはけっして「戦争を賛美すること」ではありません。戦争にかぎらず、先祖の営みが現在の私たちを産み育ててくれたのですから、それを全否定するのではなく、いったん受け入れ、その後で間違っていた点があれば省み、私たちの将来に生かせばよいのではないでしょうか。



 Q3 「アジアとの友好を損ねる」教科書には問題があるのでは?

 A3 対等な立場で相互に尊重し合うことが真の友好です。

 真の友好とは、お互いが対等の立場に立ち、それぞれの主張を差異も含めて認めた上で、良好な関係を築くための努力をすることです。国と国の場合は、相互の主権尊重が当然の前提となります。
『新しい歴史教科書』と中国・韓国の歴史観が違うことは認めます。しかし、そのことがはたして問題なのでしょうか。

  たとえばアメリカ建国の父ワシントンについての歴史観は、アメリカの教科書とイギリスの教科書とでは一八〇度違います。しかし、英米両国は友好関係にあります。このような例は世界中にいくらでもあるのです。なぜなら、国によってそれぞれ歴史的な基盤が異なり、そのため歴史に対する評価も変わってくるからです。

  『新しい歴史教科書』は、なにも中国や韓国に歴史観を押しつけているわけではありません。むしろその逆で、中国や韓国の歴史観を尊重しています。ある国が別の国の歴史観に一方的に服従しなければならない決まりなどありません。お互いの歴史観を尊重しあいながらも、将来に向けて前進していくことが必要なのではないでしょうか。

  なお、中国や韓国で起きている反日デモは、多くの識者がすでに指摘しているように、『新しい歴史教科書』が原因なのではありません。国民の政府に対する不満や、日頃からの反日教育、その他様々な要因がかさなって起きているのであって、『新しい歴史教科書』を一方的に悪者であると決めつけ、その原因であるかのように喧伝することは理性的ではないといえるでしょう。

  また、いかなる理由があろうとも、現地邦人や大使館に対して暴力的行為におよぶことは許されません。



 Q4 検定に通っているのだから、どの教科書を採択しても同じなのではないですか?

 A4 検定は最良の教科書を選び出すものではありません。

 検定は、教科書について最高の品質を保証するものではありません。あくまで明確な間違いや、学習指導要領に大きく反している記述がないかどうかをチェックしています。ですから、検定に通った教科書といえども、必ずしもいい教科書であるとは限りません。

  そこで、子供たちに届ける教科書として最良のものを選ぶ教科書採択が重要なのです。



 Q5 教科書は学校の先生が採択すればいいのではないですか?

 A5 教育委員会制度は、民主的な制度です。

 法律は、教育委員会に教科書採択の権限を与えています(詳しくは本誌44頁参照)。これは、教育委員会がそれぞれの地域の教育に関する代表として、民主的に教科書を採択するための制度です。
教育委員は、人格が高潔で、教育・学術・文化に関して識見を有している人物のうちから、選挙で選ばれた自治体の長が、議会の同意を得て任命することになっていますので、民主的な制度であるといえます。

  これに対し、学校の先生は選挙で選ばれた人ではありません。たしかに教育現場で実際に教科書を使うのは先生たちですが、先生が採択の権限を持つと、民主的なコントロールがきかなくなります。たとえば、教職員の団体の中には、特定の思想を持つ先生方が多く加わっている団体もありますし、改めて教科書の資料を作るのが面倒なので前と同じ教科書を選ぶ先生も出てくるかもしれません。

  それに、教科書を使うのは先生だけではありません。もっとも教科書の影響を受けるのは子供たちです。ですから、子供たちと、その両親の代表である市町村長の指名と議会の同意を得て選ばれた教育委員によって教科書が採択されるのが、もっとも好ましいといえるのではないでしょうか。



  Q6 教科書を変えても何も変わらないのではないですか?
 
  A6 教科書改善は、教育再興の第一歩です。

 もちろん、教科書が良くなっただけですべてが良くなるとは考えていません。教育を改善するためには、教科書だけでなく教える側の質の向上も重要ですし、学校制度全体に関する議論や、学習指導要領の見直しも必要となってきます。
 
  しかし、教科書すら改善されないのでは、教育全体の改善も不可能ではないでしょうか。また、教科書を通じて問題提起をしていくことによって、先生方の問題意識を高めるきっかけにもなるでしょう。さらに、子供とその親御さんたちが教科書や教育に関心を持ち、教育についてもう一度考える機会を提供することにもなると考えています。

  教科書改善ですべてが解決するわけではありませんが、私たちは教科書改善が教育再興の第一歩であると考えています。



 Q7 前回、『新しい歴史教科書』がわずかしか採択されなかったのは、内容に問題があったからではないですか?
 
 A7 反対派や中韓のなりふり構わない反対運動が原因です。

 前回の教科書採択は、きわめて異常なものでした。『新しい歴史教科書』に反対する勢力や中国・韓国などがなりふり構わない反対運動を展開しました。

  たとえば、「新しい歴史教科書をつくる会」の事務所が、反対派により放火されるという事件が起き、また『新しい歴史教科書』を支持していたある教育委員は、「母親を階段から突き落とす」といった脅迫電話をかけられたりしました。

  さらに、教育委員会には、恫喝まがいの電話や、ほとんど似通った文面のファックスや手紙が寄せられ、とても冷静に教科書を採択できるような状況ではありませんでした。実際、『新しい歴史教科書』を支持していたものの、自宅に脅迫まがいの電話が入って身の危険を感じ、採択後の混乱を回避するため、今回は見送ることにしたという教育委員も少なくなかったようです。

  国内ばかりか、中国・韓国も『新しい歴史教科書』を採択しないよう自治体首長や教育委員会に働きかけたり、日本国内の団体を使って不採択を要望させるなど、ありとあらゆる方法で採択に圧力をかけて妨害してきました。残念ながら、これに屈してしまった自治体もありました。

  採択は、あくまで日本の子供たちの将来を考えて行われなければなりません。特定思想をもった過激派団体の脅迫や、近隣諸国の圧力によってねじ曲げられてよいものではありません。

  今年の採択こそ、静謐な環境のもと、正常な採択が行われるよう、「つくる会」は働きかけています。