平成17年11月号(通巻53号)より
三度目の正直
理事・皇學館大學助教授・松浦光修
 まずは今回、全国各地で採択のため、まさに体を張って戦ってくださった方々に対して、私は心よりの敬意と感謝の念をささげたい。そして来年から、扶桑社の歴史教科書が、初回の採択時の、約十倍の中学生の手に渡ることになったことを、いまは素直に歓びたい。

 さて、すでに四年後の採択での「三度目の正直」を目指して、「つくる会」は歩みはじめている。「次」に向けて、いま私が注目しているのは、「全国学力テスト」が再来年から、約四十年ぶりに復活する、ということである。このテストが、決して「センター入試」のような偏向したものにならず、あくまで「学習指導要領」に則して出題され、その結果が詳細に公表されるようになれば、教育現場では大きな変化が起こるかもしれない。たとえば、毎年そのテストで、「国旗・国歌」に関する問題が出題されつづけたら、どうだろう。扶桑社の教科書で学んだ生徒たち以外は、たぶん点は取れまい。そうなれば生徒・保護者にとって、初めて教科書問題は恊リ実な問題揩ニして認識されるようになるはずである。

 むろん、その実施と公開だけでは、じつは不十分である。その結果を見て、保護者や生徒が自由に学校を選ぶことができなければ、「なぜ私は(うちの子は)無理やり、あの学校にいかなければならないのか」というストレスが、いたずらに増大するばかりかもしれない。「全国学力テスト」は、「学校選択の自由の保障」とあいまって、はじめて劇的な効果を発揮するのである。この両輪が、上手く回転しはじめれば、教育現場は自然に「正常化」される。なぜなら、「学習指導要領」に則さない教育を行っている学校には、生徒が集まらなくなるから、である。そんな学校は、むろん廃校にしなければなるまい。

 すでに大田原市や杉並区の中学で学びたい(学ばせたい)と、考えはじめている生徒や保護者は少なくなかろう。よい学校は繁栄し、よくない学校は廃校になる……、そんな自然な道理がはたらかない現在の制度自体が、私には、そもそも不自然なものに見える。