平成18年3月号(通巻55号)より
国家体制と歴史観
理事・高知大学名誉教授・大正大学教授・福地 惇
  人が持つ歴史観とは、その人の自己認識あるいは国民意識のことである。故に、歪曲された偽装歴史観の持ち主ならば、その人の自己認識・国民意識は、異邦人ならば兎も角も、日本人としては醜く歪曲された現実にそぐわないものになる。
 
  我が国の長い歴史を公正に検証すれば、世界に誇るべき美質に富む立派な文化と伝統を育んできたことが解かる。それゆえに、正しい歴史観の持ち主は、祖国の歴史と文化と伝統に誇りを持ち、祖国を愛し、先祖の遺徳を偲び、その栄光の物語を次世代に伝えて行きたいと思うものである。だが逆に、恥ずべき野蛮で邪悪な歴史だと思う者は、祖国への思いは薄く、文化や伝統に対して寧ろ嫌悪・侮蔑・自虐の心を持つであろう。

  ところで、平成年間に入ってこの方、支那や朝鮮の政府は、「平和憲法体制」と「東京裁判史観」を大事に守りなさいと要らぬ節介をする。憲法改正や国民の歴史観正常化を目指す人々が登場すると、「前非を悔いない邪悪な軍国主義者の復活だ」と攻撃して来る。また、「首相の靖国神社参拝はA級戦犯が合祀されているので絶対に許せない」と威丈高に内政干渉して来るのみならず、この「東京裁判史観」を世界に喧伝する有様である。

  だが、「東京裁判史観」とは、歴史の事実を歪曲したり、捏造したりして日本を邪悪で凶暴な侵略国家に貶めようとする偽装歴史観なのである。そして、「平和憲法体制」つまり「GHQ占領憲法体制」とは、日本の国家行動を麻痺させる疑似国家体制であって、この偽装歴史観に支えられている。わが日本国に敵対感情を持つ国家や勢力が、日本の国家行動を掣肘したり国内民心を攪乱する武器としてこれを活用しない手はないのである。

  我が日本民族は、このまま漫然として推移するならば、諸国民の信頼を失い、混迷し衰亡し、自滅する可能性が高い。敗戦後遺症の惰眠から醒めよう。遅きに失した感は深いが、今や「GHQ憲法体制」とそれを支える偽装歴史観を根底から打破すべきの秋である。