平成20年9月号(通巻70号)より

強いられた悲運の自衛戦争
 
福地惇(ふくちあつし)副会長・元文部省主任教科書調査官

 現代日本人の大多数か認知する近現代史像は、歴史事実が意図的に反転されたモノである。史実を、逆さに説明した、白を黒と、黒を白と反転されたシロモノなのだ。
 従って、これは世界史を虚飾して、日本民族の歴史を粉砕している。これは国際支配勢力に隷従する日本人を育成する、日本民族を自己喪失者にする目的で創られた洗脳観念なのである。
 さて、日本帝国は野蛮凶悪な心根で朝鮮半島やシナ大陸を征服しようと侵略戦争に出て行き、満洲事変からシナ事変へと凶暴化した。そこで、その悪行を怒った「正義の味方」連合国は、悪者日本帝国を太平洋戦争で厳しく懲罰した。敗戦国日本は、「正義の味方」から「戦争犯罪国家」だと裁定されて、「戦争抛棄」、「平和と民主主義」の「正しい理念」の新国家として再生したと巧妙に自己納得させられて、不甲斐なくも今日に至っているのである。
 連合国が「善」で、戦争犯罪国日本は「悪」なのだから、歴史をチラつかされれば、日本人は永久に彼らに頭が上がらない。始めは占領軍に、後には日本人同胞の占領軍迎合者に、大多数の国民はそう洗脳されたのだ。だから、各界指導者から庶民に至るまで殆どの者が茫洋として敗北主義者に甘んじるのは何の不思議でもない。虚偽策謀の歴史観に縋る自己喪失者であることを白覚できないからである。
 では、日本帝国とは何者で、諸々の戦争とは何だったのか。明治憲法下の日本は、西欧流立憲君主制国家で、歴史と伝統、国権と国益を尊重する普通の国民国家だった。また、明治時代の戦争は言うまでもなく、昭和時代の諸戦争も、どれも侵略戦争ではない。共産ロシアと英米が創出した国際情勢、日本圧迫の脅威に反撃した自衛戦争だった。誰が真の世界侵略者かは明白だ。久しい以前から世界征服を目指して国際社会を操縦して来たのは、ユダヤ・キリスト教文明の白人列強だ。彼らは共同謀議して、緊迫した国際情勢を創出し続けた。異教徒の国が危機的場面で独立と安全を確保せんと欲すれば、否応なく戦争に巻き込んだ。この戦争誘発勢力は、ある段階では我が国を戦争に協力させ、次の段階では、抑圧して撲滅の対象としたのだ。
 ルーズベルトとチャーチルは軍閥蒋介石を支援し、スターリンは国民党に共産党細胞を送り込み、彼此対日戦争を嗾けた。蒋介石の抗日戦争の構図である。大東亜戦争で自存自衛を祈願して必死に敢闘したが、大敗北を喫したのみか、真正の侵略者から逆に侵略者だと断罪された。この実に奇怪千万な反転された歴史像を粉砕し、本当の歴史を取り戻さずんば、日本民族の起死回生は有り得ない、と私は確信する。