いよいよ採択が本格的に行われる時期となりました。早いところは七月初めから教育委員会での採択決定が始まり、七月下旬から八月中旬までが山場で、八月末までにはすべての採択地区が来年度から使用する教科書を決定します。
とはいっても、中学社会・歴史的分野を唯一の例外として、他のすべての教科・種目は四年前と同じ教科書が採択の対象となり、文科省は選定資料も四年前のものを流用するなど採択事務の簡略化を認めていますから、四年前の教科書が殆どそのまま採用されることになるのは確実です。
しかし、本当は、こんなことでよいのでしょうか。採択が行われた四年前は、平成十七年でしたが、その翌年、平成十八年には教育基本法が改正され、日本の教育の根本方針が転換したのです。文科省は、平成二十年度に中学校の教科書の改訂申請を受け付けたのですから、この教育基本法の改正を反映した教科書の改訂版が続々と検定申請されるべきだったのではないでしょうか。
これは教育のあり方をまともに考える人なら誰でもがもつ疑問です。まさにこの疑問を国会で取り上げた議員がおります。
去る六月十日、衆議院の文部科学委員会で一般質問に立った自由民主党の馳浩議員(石川一区)は、教科書問題について質問し、教育基本法改正後に検定に合格した教科書が自由社の『新編 新しい歴史教科書』ただ一つであったことを明らかにしました。(詳細は本誌の別項をご覧下さい)
この質問によって、自由社が新規参入したことの意義が非常に明確になりました。自由社の参入は、占領法制から脱却した教育基本法を反映した唯一の教科書であると同時に、教科書業界の巨大な談合体質に風穴をあけたことにもなります。
答弁に立った塩谷立文部科学大臣は、事前に馳議員から渡されていた『日本人の歴史教科書』によって自由社版の教科書を読んでいました。市販本を発行したことの効果がこのような形であらわれました。感想を求められた塩谷文科相は、注目すべき発言をしました。自由社版が「教育基本法を踏まえてつくられている」ことを認め、「採択に値する教科書」であるとコメントしたのです。文科相のこの発言を広く関係者に紹介して頂きたいと思います。
また、文科相は、寛仁親王殿下の玉稿「天皇と日本」にも言及しました。殿下のご発言が日本の歴史に目を開かせる契機になることを国会の問答が証明しています。このことの意義をかみしめ、さらに広い国民の間に市販本『日本人の歴史教科書』を普及して頂きたいと存じます。