第21回つくる会シンポジウム
日韓歴史認識の共有は可能か

『親日派のための弁明』著者、金完燮氏を招いて
開催日: 平成14年9月28日
パネリスト: 金完燮・鄭大均・西岡力
勝岡寛次・藤岡信勝
 平成14年9月28日、東京・杉並公会堂において「つくる会」主催による第21回シンポジウム「日韓歴史認識の共有は可能か」が開かれました。

 当日、開会前は雨が降っていてあいにくのお天気でしたが、開場前から多くの人が集まって道路にあふれんばかりとなり、開場を早めるほどでした。開会するころには雨も止み、ついには1176席すべてが埋まり、補助イスを出すほどの超満員となりました。

 今回は、話題のベストセラー『親日派のための弁明』の著者である金完燮氏に加え、朝鮮半島に詳しい西岡力氏(『現代コリア』編集長・「救う会」幹事)、在日韓国人の研究者の鄭大均氏(都立大学教授)、日韓両国の教科書問題に精通している勝岡寛次氏(明星大学戦後教育史研究センター専任研究員)、当会から藤岡信勝副会長(東京大学教授)と、日韓問題を語るのに最適のパネリスト陣。金氏の通訳は荒木和博氏(拓殖大学海外事情研究所助教授・「救う会」事務局長)。

 反対派がいないのが残念でしたが、馴れ合いのシンポジウムにならず、意見のぶつかり合うところもあって、最後まで熱い議論・論戦が繰り広げられました。第一部における各パネリストの見解は次のようなものでした。

 まず金完燮氏は「日本と韓国は過去にひとつの国だった。だから歴史も共有できる。現在もある意味で歴史を共有してはいるが、これは誤った反日史観の共有だ。日本支配は朝鮮半島に近代化をもたらし、生活水準を向上させたという事実を認識しなければならないし、大東亜戦争はアジア解放という理想をもった戦いであった」と語られました。

 これに対して、鄭大均氏は「異論の認められにくい韓国社会で、金氏のような人が現れたということはすごいことである」と評価しながら、「どのような歴史的事実を事実として認識するかということ自体が評価を含むのであって、歴史観の共有は難しいと思う。また、歴史観を共有するということは、これまで英雄としてきた人を悪人扱いしたりしなければならない。やはり歴史の共有は難しい。韓国が戦時中に日本の統治下にあったということが逆に戦後の反日の契機になっているのではないか。また、韓国で反日感情がまきおこっているのは、日本国内の反日派の影響が少なからずある」などと指摘されました。

 また、勝岡寛次氏は「日韓での歴史共有は不可能。たしかに近代の、時期においてひとつの国ではあったが、これは特殊な状況の下にあったためで、両国は古代より異なる歴史をもっている。韓国の国定歴史観はゆがんでいるが、日本の一部勢力がこれに同調していることも問題である。日韓歴史共有の動きが進んでいるが、これは批判にさらされないようにほとんど密室で行われている。これを注視していかなければならない」などと熱弁されました。 

 西岡力氏も勝岡氏と同じ見解で「日韓での歴史共有はできないし、すべきではない。日本にとって韓国は他者であり、他者としてお互いの違いを認めながらつきあっていくべきだ。日本統治下でも独立を望む韓国人は多数いたのであって、そのような歴史も忘れてはならない」と述べ、金氏の主張にもっとも異論を唱えられました。

 藤岡信勝氏は「日韓併合を評価するためには、日韓併合以前の韓国社会について調べなければならない。李氏朝鮮は現在でいうと北朝鮮の金王朝のような国家で、国民が飢えることについてまったく無頓着であった。日本の統治下になって韓国が急激に成長したということは客観的データが示している。両国の歴史認識の共有は難しいと思う。歴史とは次世代につなげるものであり、同一の歴史を持とうとする人たちがひとつの国民をつくる。日本と韓国は別の国なのだから、それぞれにナショナリズム、歴史認識があってよい」と語られました。

 第二部の全体討論では「安重根はまったく評価できない」とする金氏と、「たしかにさまざまな問題はあるが、少なくとも韓国への愛国心はあった」とする藤岡氏の討論や、「日韓の真の友好のためには、日本がきちんと主張することが大切」という全パネリストからの提言、また北朝鮮問題に対して各氏が意見を述べるなど、盛り上がりをみせました。

 シンポジウム終了後に寄せられた参加者からのアンケートでは「日韓関係についての各パネリストの本音を聞けてよかった」「金氏は韓国人なのに、冷静に歴史を見ていて感動した」というものや、「今後はこのような韓国人と連帯していくべき」などの激励が目立ちました。

 西岡氏と荒木氏には拉致問題の最中にご登壇いただくこととなり、懇親会にも出席されず、シンポが終わるや飛び出して行かれました。今後ともますます目の離せない半島情勢。このシンポをきっかけに、「つくる会」では、今後とも日韓歴史問題についてより深く探っていくべく体制を整えつつあります。

『史』平成14年11月通巻第35号より