平成14年12月26日、東京の大田区民ホール・アプリコで、本会主催の「拉致被害者家族から話を聞く対話集会」が開催されました。暮れも押し詰った慌しい時期で、何人の参加者が見込めるのか、不安でしたが、開催2時間前、すでに数十人が人り口の前に列を作り、開場とともに続々とホールに吸い込まれていく人々の波を見ていると、我々の懸念も杞憂に過ぎないことが分かりました。
多忙な年の瀬の、しかも平日の夕方開催のシンポに、最終的に約千百人もの参加者を数えたことは、拉致問題への国民の関心の高さが、未だ衰えていないことを示す証拠でありましょう。
シンポの前に開かれた記者会見では、次回の教科書検定に向けて公民教科書の記述修止を文部科学省に申請し認められたことが報告されました。
前回の検定では、拉致事件については外交関係や日本国内の一部過激勢力に気を使った文部科学省の意向で、曖昧な記述に止まらざるをえませんでした。しかし、9月17日の日朝首脳会談で北朝鮮が国家として正式に日本人拉致を認めたことを受け、今同は位致を確定的に記述。さらに、9月17日以降の拉致事件に関する推移と新事実を追加。拉致事件に一切触れることの無い他社公民教科書とは一線を画した内容となっています。「新しい公民教科書」が拉致事件をわが国への主権侵害、人権蹂躙とはっきり規定したことは、平和ボケしたと言われる日本人が、わが国を取り巻く厳しい安全保障問題を認識する一歩となるでしょう。
シンポは拉致問題を巡る運動の歴史的変遷を描くビデオと共に始まりました。ビデオはこれまでの拉致被害者救出集会や街頭での署名活動の様子をまとめたものであるが、そこに写っているのは国民の非情なる無関心の姿であった。「拉致被害者救出署名をお願いします」と叫ぶ家族の方やボランティアの人々。しかし、道行く人はその前を無言で通り過ぎていきます。このような無関心が拉致事件の解決を遅らせ困難にしていったのだと、改めて実感させられました。マスコミも昨年の9月17日までずっとだんまりを決め込んでいたのです。