第10回 平成16年11月11日(木) 講 師
  「占領下の日本 高橋史朗
     
教科書問題の原点が「占領下の日本」にあった
髭の由来
 去る十一月十一日、東京・文京区の文京シビックセンター小ホールで、明星大学教授の高橋史朗氏を講師として、「占領下の日本」をテーマに第十回「歴史教科書10の争点」を開催した。二月十二日に始まったこの連続講座は、それ以降、毎月開いてきて今回が最終回だ。三百人の会場は満席となった。

 明治天皇のような髭が特徴の高橋先生だが、髭を伸ばすようになったきっかけは占領政策の研究に関わる。先生は三十歳の時にアメリカに留学して膨大なGHQ文書を三年間研究されている。「最後の半年間はほとんど人に会わなかったので、そのせいで 髭が伸びたというのが髭を伸ばし始めたきっかけです」と、その時の苦労の一端を交えて講演に入った。

 「占領下の日本」をテーマとする今回の講座は、次の六つのポイントから説明された。

一、対日占領政策の基本的性格
二、日本占領をどのように捉えるか
三、戦後日本の来歴の問題点
四、日本国憲法と象徴天皇制
五、憲法三原則説の検証
六、中学校教科書の比較分析

現在に続く占領政策
 冒頭、アメリカによる占領政策の目的は「日本の非軍事化にあり、武装解除が究極目的であった。ただこの非軍事化という究極目的を長期的に保障するために教育を民主化する。そして精神的武装解除を行う。つまり物的解除という第一段階に対して、第二段階は精神的武装解除というものを盛り込んだ」と説明。
 
 武装解除は、(1)陸・海軍、(2)民間、(3)自衛権を否定する憲法九条の策定、という順に進められ、精神的武装解除は、(1)教科書の焚書、(2)軍国主義と超国家主義に関する刊行物の焚書の順に行われ、その延長として「ウォー・ギルト・インフォメーション・ プログラム」と「検閲」が行われたと指摘。その一環として、罪悪感を植えつけるために南京大虐殺とマニラ虐殺が強調され、「真相はこうだ」の放送、東京裁判批判の禁止、即ち、徹底した検閲によって国民の記憶を抹殺したと、様々な資料を基に証明してゆく。

 教科書検閲もその一つで、昭和二十一年二月に「愛国心につながる用語の禁止」など五つの基準が作られたという。その影響が今日まで及んでいることを、まざまざと感じさせられた講義だった。

(「史」平成17年1月[通巻48号]より)
【来場者アンケートより】
◆背筋がゾッとするような恐ろしいアメリカの政策を知って驚きました。 アメリカの政策は大成功したのだと思います。何故ならアメリカの狙った通りの効果は私自身に植え付けられていたからです。今までは日本人の過去を憎んでいました。しかし、アメリカの押し付けた教育によるものであったことが分かり、ホッとすると同時にアメリカの犯した罪の深さを考えないわけにはいきません。(40代・女性)
◆検閲が行われていた事は知っていたのですが、かなり細かく日本を弁護していると思われる言葉は全て変更或いは削除される仕組みになっていた事を知りました。贖罪意識を植え付けるシステムが作られていたことに怖さを感じます。