第1回 4月6日(土) 講 師
第1部 「荻生徂徠と富永仲基」 西尾幹二
第2部 「縄文の芸術−日本人の美意識の誕生」 田中英道
活発な意見交換で盛り上がった記念すべき第一回の講座
 春うららかな4月6日、当会新方針を受けた「歴史・文化塾」第1回が、東京永田町の星陵会館において開かれました。参加者は160名、北は秋田、西は遠く長崎からも参集し、熱気あふれる記念すべき第1回の講座となりました。

 第1部は西尾名誉会長が「荻生徂徠(おぎゅうそらい)と富永仲基(とみながなかもと)」と題して先生お手製のレジュメ3枚をもとに、江戸中期に現れた荻生徂徠の思想を分かりやすく整理解説した後、その影響を強く受けた夭折の天才、富永仲基について惰熱的に語られました。徂徠の思想の流れを受け継ぎながらもその理論に真っ向から反駁した仲基。また、一般にはまだあまり知られていない仲基ではありますが、鎖国していた江戸時代でありながら、漢語の文献のみでインドにおける仏教の複雑な仕組みをほぼ正確に分析していたなど、その思想の素晴らしさに触れることができました。

 第2部は田中会長が「世界に誇る日本文化の歴史1」と題して6回シリーズの第1回を「縄文の芸術――日本人の美意識の誕生」というテーマで話されました。
 まず、「開講に際して」として、日本文化の歴史は世界の人々が注目に値する価値を持っており、今までは西洋から見た東洋観としての「オリエンタリスム」の視線でのみ語られてきたが、そうではなく、日本自らが語らなくてはならないという持論を展開。後半はスライドを使って縄文時代の土偶・遺跡を紹介しつつ、日本には縄文の土偶にも見てとれるように造形性を持った文化があり、実用性、実際性から一歩離れた「芸術意志」ともいうべきものを見ることができるなど、古代における造形美の素晴らしさを訴えられました。

 最後に質疑応答の時間を設けましたが、会場からの質問に混じり、西尾名誉会長からも田中会長に鋭い質問があり、活発な意見交換の場となりました。第1回目から熱のこもった講座となり、今後の展開がとても楽しみです。(『史』平成14年5月号(通巻32号)より)