〈追記〉
結果は、10日朝の段階で自民237、民主177、公明34、共産9、社民6、保守新4、諸派・無所属13であつた(その後追加公認や保守新党の合流により自民党は244に、また田中真紀子前外相らの合流で主党系の院内会派も若干増えると思はれる)。
上記の文章では敢へて曖昧にしたが、筆者自身は選挙前に以下のやうに見てゐた。公明微減、共産減、社民と保守新は壊滅的減少。これに無所属他を加へると60〜70
議席になるが、これを差し引いた410〜420議席を自民党と民主党が分け合ふこととなる。「小泉人気」と「民由合併効果」といふ双方のプラス要素を比較考量すると、自
民250〜260議席、民主160〜170議席になるのではないか──と。
自民党に対して甘く民主党には厳しい見方であり、また実際には公明党は増やし、共産党は予想以上に減らした。見通しが外れたことは否めない(テレビ各局の出口調
査より確度は高かつたが)。
それにしても、「小泉人気」と実際の自民党への投票行動との間にこれほどの乖離があつたことの意味は小さくない。人気を梃子に勝利しようと思つて解散・総選挙に
打つて出たのに、解散時の議席さへ維持できなかつたのだから、小泉自民党は敗北したといふべきである。
そこには、五つの逆効果があつたと思ふ。すなはち、(1)解散時期の設定(来夏の衆 参同時選挙にしなかつたこと)、(2)自民党総裁選(自民党が小泉流構造改革一色では
ないことを印象づけた)、(3)「改革」の連呼(これにより自民党本来の土俵から民主党の土俵に飛び移つてしまつた)、(4)公明党との選挙協力(得る票以上に失ふ票があ
つた)、(5)マスコミ各社予測報道のアナウンス効果(上記参照)──である。
五番目の予測報道のアナウンス効果以外は、全て首相自身の選択が裏目に出、逆効果になつたといふべきである。特に公明党・創価学会との関係は、自民党にとつて議
席を維持する「生命維持装置」などではなく、鎮痛剤でしかない。痛みを感じないまま、このままずるずる関係を続け、公明党の言ひなりに政策が決定されるやうなこと
になるならば、自民党にとつて、取り返しのつかない結果を招来するだらう。公明・ 創価学会票を得たところで、それ以上に保守票がとめどもなく流出するのだ(東京一
区の与謝野馨、同二区の深谷隆司氏の落選は、それを雄弁に物語つてゐる)。だからこそ、衆参同時選挙で公明党との関係を見直すべきだつたのである。
逆に民主党は、勢力としては、一応二大政党の一翼としての基盤を確保したと言へる。今後、国防・安全保障政策を整備し、教科書問題へのこれまでの対応を反省する
など、国家観の歪みを修正して健全な政策を打ち出すやうになれば、保守票は雪崩を打つやうに流れ込み、政権獲得も現実味を帯びてくる。そのためには、多数派になつ
た党内保守・中道系議員の面々は、左派の時代遅れの主張を封じ込めなければならない。左右馴れ合ひではなく、党内対立を恐れず、左翼勢力を一掃することが、政権獲
得への関門である。
つまり、自民党も民主党もともに保守票を獲得するための大胆な党改革が迫られてゐるのであり、先にそれができたはうが政権政党としての資格を得るといふことであ
る。 |