日本の政治家が国際情勢全体の中での日本を冷静に観察しているかどうか大いに疑問である。先の衆議院選挙で争点となったのは国内の改革であり、年金問題であった。ところが、米国をはじめ日本の近隣諸国の日本を見る目は確実に変化している。最近のいい例は、米「フォーリン・アフェアーズ」誌にユージ
ン・マシューズ前米外交問題評議会上席研究員が書いた「日本の新しいナショナリズム」と題する文章だ。マシューズは一昨年十二月に日本の海上保安庁の巡視艇が奄美大島沖で北朝鮮の工作船を撃沈したのは第二次世界大戦後初めて日本が武力行使をしたことを意味する、とこの事件を重視し、従来受身だった日本の姿勢の大きな変化だと述べた。
北の工作船撃沈事件が日本に起きている「新しいナショナリズム」の発端になったかどうかは大いに疑問だが、首相による靖国神社公式参拝、新しい歴史教科書、憲法第九条改正の三問題について近隣諸国がつけている注文はいずれも間違っている、と同氏は主張しているのである。近隣諸国が見当外れの批判を続ければ日本のナショナリズムはさらに反発し、核武装にまで突っ走るから、米国がこれら諸国説得に一肌脱ごうという有難い提案までしている。
教科書に関する彼の指摘をそのまま紹介すると、「同じこれら日本人は新しい歴史教科書が引き起こした狂気に腹を立てている。実際に外国の抗議は日本のナショナリスティックな感情を刺激するたけだ。周辺諸国は新しい歴史教科書が第二次大戦にお
ける日本の役割や日本兵によって引き起こされた残虐行為を正確に記述していないと不満を表明している。しかし、教科書を読めば日本の役割を美化していないことは明らかだ。教科書は近隣諸国が望むほど詳細には立ち入っていないだけだ」となる。マシューズ氏は教科書をろくに読みもしないでぐずぐず言っていると日本人は本当に怒り出すので、それが一番恐ろしいと警鐘を鳴らしているのだ。
ここで言う「同じ日本人」とは、「六十年前の行動には十分に謝罪してきたので、日本政府は正当な主張を唱えるべきだと考える多くの日本人」を指す。一米民間人の文章に反応するかのように、中国の人民日報評議員の馬立誠氏や中国人民大学国際関係学院教授の時殷弘氏が昨年にかけて相次いで、日本の問題を論じるときには中国側に「節度」が必要だと説き始めているのは何を意味するのだろうか。胡錦濤路線は日本に対し「太陽政策」を打ち出しつつあると分析する中国問題専門家は少なくない。日本人がどういう姿勢を示せば、外国はどう反応するかのカラクリを見抜く必要がある。もちろん、「太陽政策」が戦術上の方針転換であることも承知していなければならない。