逆検定 中国国定教科書

井沢元彦・金 文学 著
祥伝社 / 1,680円(税込)
 共産党を利するためなら、いかなるデタラメも許される」とは第二章の副題である。引用されている中国国定教科書のデタラメ記述を読み進んでいくうちに妙なことに気が付く。その歴史認識が扶桑社以外の日本の歴史教科書と大して違わないのである。例えば、日清・日露戦争を日本帝国主義の植民地獲得戦争と位置づけ、日露戦争の世界史的意義をことさら過小評価していて、そのまま我が国の教科書に当てはまる。「中国人に教えてあげたい」と副題にあるが、扶桑社版はバランスに欠けるとして不採択にした教育委員達にこそ読んでもらいたい。(平成17年11月号『史』掲載)

小学校「国語」副読本

石井公一郎・萩野貞樹  編
PHP研究所 / 1,575円(税込)
 戦後教育の欠陥の一つに平等主義がある。その結果、我が国には指導者が育たなくなり、国際社会での存在も希薄になつてしまつた。この状態から抜け出すにはどうしたらよいか。「鍵は、小学校の国語教育にあり」。本書は、このやうな問題意識に立つて編集されたもので、現代文のみならず、古文や漢詩文の名作も載せ、唱歌や和歌・俳句が彩りを添へてゐる。学年ごとに編集されてをり、要所要所には編者による作品の扱ひ方や作品解説なども付され、編集意図を明確にしてゐるのも有難い。小学生に与へる前に、まづ我々大人が味読すべき一冊である。(平成17年11月号『史』掲載)

アメリカはアジアに介入するな

ラルフ・タウンゼント 著 田中秀雄・先田賢紀智 訳
芙蓉書房出版 / 2,100円(税込)

 大東亜戦争の原因を探る試みは、戦後六十年の今も続けられている。それは主として日本側の間違いを探すことにあった。だが、ここに「閉された言語空間」を破る鍵が提示された。アメリカはなぜ対日戦を決意したのか。その陰にソ連の謀略があったことを指摘したのが米人外交官、ラルフ・タウンゼントだった。日本の過去に向けられていた眼差しがアメリカの過去に向けられ、タウンゼントの日本擁護論を知る時、日本人の精神は占領統治時代の呪縛から解き放たれるに違いない。
(平成17年11月号『史』掲載)

南十字星に抱かれて

福冨健一 著
講談社 / 1,680円(税込)
 戦後、歴史の彼方に葬り去られた、いわゆる「BC級戦犯」についての名著である。豊富な資料を駆使してABC級戦犯の定義、戦犯裁判の法的根拠や証拠が不十分であることを洗い出し、いかに「合法的な復讐」が行われたかを明らかにしている。米最高裁のBC級裁判への判断も本書で初めて提示した。また、本間雅晴中将、山下奉文大将両夫妻の生き様は、私達に日本人としての誇りを持つことを訴えかける。首相の靖国参拝が問題視される中、まさに我々日本人が「凛として」生きるために押えておくべきポイントが詰まった必読の一冊。 (平成17年11月号『史』掲載)

日・中・韓・露 歴史教科書はこんなに違う

鳥海 靖 著
扶桑社 / 1,680円(税込)
 何故、歴史教科書が中韓との外交問題となるのか。本来、歴史は学問の領域であり、歴史教育は公民教育である。しかし、中韓にとっては、日本の歴史教科書が自国の存在にかかわっている。それゆえ中韓の歴史教科書では、史実の誇張や歪曲が当然のごとく為され、それを日本にも要求してくる。教科書問題が、史実に基づかない不毛な論議になっている現状から、本書は、本来の歴史教育と歴史教科書のあるべき姿を問うている。日本は、自国の歴史教科書を国際的にも理解されうるよう、史実に基づいた論議を展開する必要を感じる。(平成17年9月号『史』掲載)

公民教科書は 何を教えてきたのか

小山常実  著
展転社 /2,100円(税込)
 教科書といえば歴史教科書ばかりが注目されるが、『公民』は注目というより監視しなければならないほどだ。日本の公民を育てるどころか、国家解体運動のシンパを増やすパンフと化しているからだ。『公民』の変遷と特徴を詳細に分析した著者によると、あの家永裁判の影響で、「人権」「家族解体」「反日全体主義」といった左翼イデオロギーがある時期から教科書に反映されるようになり、近年その傾向は強まる一方だという。これに較べれば占領期の教科書の方がまだマシというのだから驚く他ない。『新しい公民教科書』への評価も興味深い力作。(平成17年9月号『史』掲載)

抹殺された大東亜戦争

勝岡寛次 著
明成社 /1,995円(税込)

 本書は「米軍占領下の検閲が歪めたもの」という副題のとおり、GHQによる巧妙な検閲の実態を、多くの事例で明らかにしている。主題は信長・秀吉の時代にまでさかのぼった大東亜戦争史である。筆者により一枚一枚検閲のベールが剥がされるとき、忘れさせられた日本人の歴史がわれわれの眼前に展開する。「思ひも寄らぬ所に占領軍の意思がそつと忍び込んで」いることに驚かされ、いまだに検閲の後遺症による歪んだ歴史観に呪縛されていることに改めて気づかされる。奪われた歴史を取り戻す、目からウロコの一冊である。
(平成17年9月号『史』掲載)

首相が靖国参拝して どこが悪い!!

新田 均 著
PHP研究所/ 1,365円(税込)
 本書は、近代神社神道史の第一人者である筆者が、中国・韓国はなぜ「首相の靖国参拝中止」を求めるのか、参拝問題の基礎知識にはじまり、靖国参拝をめぐる異説や、数々の疑問に対して、基本的な歴史事実から掘り起こして答え、最新の情報までを紹介している。どこから読んでも理解できる会心の著作である。今、問題となっている韓国人・台湾人靖国訴訟についても、英霊となられた当時の「志願兵」が祖国日本のために命を捧げた意思こそ何にも優先するという文脈は、多くの靖国訴訟の急所を鋭く突き、不条理を浮き彫りにしている。 (平成17年9月号『史』掲載)