不滅の敗者ミリュコフ  ロシア革命神話を砕く

■鈴木肇
■恵雅堂出版
■2,100円(税込)

 ロシアそのものはまさに謎の国だが、思想史的には未知の分野があまりにも多い。「つくる会」の支持者である著者は40年前に産経新聞のモスクワ支局長時代にロシアの自由主義運動に強い関心を寄せて研究を続けてきたが、このほど本書を完成した。立憲民主党を結成し、レーニン主義と対立する自由主義思想家で歴史家のミリュコフの一生をたどり、思想を取り上げたユニークな研究である。スターリン主義の誤謬に新しい角度から光があてられた。
(平成19年3月号『史』掲載)

内なる敵をのりこえて、    戦う日本へ

■荒木和博
■草思社
■1,470円(税込)
 拉致は戦争だ  !  拉致被害者救出活動に携わる著者が迷わず断じる。それでも戦わない日本。拉致された国民を未だ救出できない日本政府の中に、自身が籍を置き解党した民社党の中に、大東亜戦争敗戦の中に、その病理を見出していく。敵は金正日体制ばかりではない。日本人自身の「内」に潜む、危機に対する思考停止という敵…。拉致問題を通して浮き彫りになった「戦わない日本」という病理をいかに克服するか。最前線で活動する著者のスパイスの効いた提言の書だ。
(平成19年3月号『史』掲載)
祖国を誇りに思う心

■濱口和久
■ハーベスト出版
■1,200円(税込)

 
 韓国により不法占拠され続ける竹島に本籍を移し、個人レベルから竹島間題解決に向け取り組む著者の提言をまとめた一冊。竹島問題だけでなく憲法改正、安全保障、教育問題、皇室問題と多岐にわたり、愛国心に満ち溢れた提言が展開される。中でも防衛医大卒業生の早期退職、中途退職とそれに伴う白衛隊の医官不足を分析し、警鐘を鳴らす第二章は必読。保守論壇で見逃されてきた分野であり、元自衛官である著者が、読者に新しい論点を提示してくれる。
(平成19年3月号『史』掲載)

逝きし世の面影

■渡辺京二
■平凡社
■1,995円(税込)
 本書は、幕末・明治年問の欧米人による多数の日本見聞記を基に、江戸期文明の姿を追い求めたものである。異邦人の前に現われたのは、思いもかけない平等な社会と自立的な人々であり、平和と安息の世界であった。著者は「異邦人の眼に映ったものが圧倒的に明るい像だとするならば、像をそのように明るくあらしめた根拠について思いをはせよう」と訴える。外国人観察者が描き出す古き旧本の形姿に新鮮な驚きを感じた著者とともに、しば
し沈思を迫られる書である。
(平成19年3月号『史』掲載)