■田中秀雄 ■芙蓉書房出版 ■1,995円(税込)
近代史の大きな争点である満洲事変と満洲建国は、実は日露戦以来の諸問題を解決するための石原莞爾の「国際共産主義運動の震源地であるソ連との連絡を絶つという、朝鮮問題の解決策」だった。満洲国が健在なら中国は共産化せず、朝鮮は独立していても分断国家にはなっていなかったとの著者の指摘は傾聴に値する。満洲国の崩壊は共産党の勝利で、満洲国と石原莞爾をタブー視する風潮は日本軍を悪とする彼らの宣伝が作り上げたものだ。本書を読了した上での我々自身による歴史の見直しが急務である。 (平成20年9月号『史』掲載)
■小林よしのり ■小学館 ■1,680円(税込)
明治23年、トルコ軍艦工ルトゥールル号が和歌山県串大島沖で遭難した際、島民は命がけの救出に当たり、日本政府も極めて手厚い対応をし、69名の生存者を日本軍艦がトルコまで送り届けた。これを忘れなかったトルコ国民と、トルコ政府は、95年後の昭和60年、イラン・イラク戦争のさなか、日本人救出のため、2機の航空機を出してくれた。小学生にも理解しやすいふり仮名つきの簡易闊達な文体で、2つの極限の「救出」が示す国家間の真の友情と、その価値を、史実に忠実に語った名著である。 (平成20年9月号『史』掲載)