採択運動関連情報|新しい歴史教科書をつくる会

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このページには、平成27年に行われる教科書採択に向けた本部、及び支部の運動状況や各種情報などを掲載しています。会員の皆様及びご支援くださる全国の皆様におかれましては、是非ともこのページの情報をご覧頂き、お役立てて頂ければ幸いです。

文科省が教科書採択における「絞り込み禁止」を通知
「教科書採択戦は既に始まっている!」第13弾
地元教育委員会に通知を周知徹底し、公正な採択が行われるよう活用してください!



文科省はこれまで教科書の採択については教育委員会が責任を持って自ら決めるよう求めてきましたが、4月7日付「教科書採択の改善について」において、初めて具体的に「絞り込み禁止」を明記した通知を行いました。

教科書採択の実態は多くの場合、まず、現場の教員が「教科書調査員」となって各社の教科書を調査研究し、その過程で推薦する教科書に順位をつけて教育委員会の諮問機関である「教科書選定委員会」に報告します。その報告うけて教育委員会は首位、または上位の教科書のなかから選ぶようなことが行われてきました。

この度の通知では、このような採択を明確に禁止しました。そして同時に、教職員の投票によって教科書を決定すること、自ら十分な審議や調査研究をしないでこれまでの慣例のみによって決定すること、も禁止しています。

また、これまで不十分だった「採択結果の公表」についても、4月1日に施行された改正教科書無償措置法によって、努力義務の課された「採択結果及びその理由等」を積極的に公表することを求めています。

今般の文科省の通知は都道府県教育委員会教育長に対してなされたものであり、都道府県教育委員会は、市町村町教育委員会並びに国立及び私立学校の義務教育諸学校の校長に対し、適切な指導、助言又は援助することを要請されています。

しかし、その周知にはなお時間のかかることが予想されますので、全国の会員や支援者の皆様には、この度の通知を出来るだけ早く市町村教育委員会に知らせ、自らの判断と責任をもって適切に採択を進めるよう要請してください。また、議会質問などからの働きかけも非常に有効となりますので、ぜひ進めてください。

この度の教科書採択に関する文部科学省の指導の要点は以下の通りとなります。

Ⅰ.教育委員会がやってはいけないこと

①「教科書調査員」により順位づけされた教科書を選ぶこと
   (調査員が絞り込んだ教科書のみを採択対象にしてはならない)
② 教職員の投票によって選ばれた教科書を無批判に追認すること
   (学校から推薦された教科書を無批判に受け入れてはならない)
③ 見映えや体裁で選ぶこと
   (教科書は、国の将来を担う児童・生徒が国民としての必要な知識・技能を学ぶものであるから、見栄えや体裁から選ぶのではなく、記述内容で選ぶこと)
④ 慣例や惰性で教科書を選ぶこと
  (学校現場が混乱するなどの理由で、同じ教科書を採択し続けるようなことをしてはならない)
⑤ 外部からの働きかけに左右されること
  (国内外からの政治的圧力などに配慮した採択をしてはならない)

Ⅱ.教育委員会がやらなければならないこと

⑥ 公正公平に調査員を選任し、十分な審議や調査研究を尽くし、判断しやすい充実した資料を作成させること
⑦ 教育委員一人一人が早い時点で、教科書見本本を手にして良く調べること
⑧ 特定の教科書を誹謗し、静謐な会議を妨害するような行動には、警察力も活用し、毅然と対処すること
⑨ 公立高校の教科書も教育委員会が審査すること
⑩ 採択後の結果、及びその理由の公表は、法令にしたがって積極的におこなうこと

*通知全文については、文部科学省のHPに掲載されていますのでご参照ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1356555.htm



【ご注意】「採択地区単独化」についての誤情報について

 昨年の無償措置法の改正より、これまで共同採択地区として教科書採択を行ってきた自治体が、手続きを踏むことで単独で採択を行えるようになったことは既報の通りですが、単独採択化を阻む勢力により、間違った情報が流されていることが判明しましたのでお知らせいたします。
 「単独化した場合、教科書の調査研究も独自の自治体でしなければならないために、調査員となる現場教員が仕事を休まなければならない。負担が大きすぎる。」などといった情報が流れている模様です。
 しかし実際の規定では、単独採択化をした場合、各社教科書の調査研究については、調査員などの負担軽減のために、それまで所属していた共同採択区と共同で行い、採択だけを単独で行うことが可能とされています。
 このような誤った情報によって単独採択が阻まれることはあってはなりません。関係者には改正された制度について、しっかりご認識、ご理解いただけますよう、さらに働きかけを行ってください。


平成27年5月18日更新




総合教育会議と「単独採択化」の再確認事項
間違った情報にはくれぐれもご注意を!
「教科書採択戦は既に始まっている!」第12弾




 皆様にはよりよい教科書採択を目指して、目下、全国各地で議会・教育委員会への働きかけを進めていただいておりますが、議会や教育委員会などの現場で、下記のような認識や法解釈について情報の錯綜が起きています。以下の3点について、改めて正しい情報をお伝えしますので、ご留意の上、活動を推進していただきますよう、お願い申し上げます。

①首長主宰の総合教育会議において、「教科書の採択」について協議してはならない?

 答えはNOです。
 確かに最終的にどの教科書を採択するかの決定は、教育委員会の専権事項ですので、総合教育会議の場で教科書採択の決定はありえません。しかし首長が新たに定める「大綱」に、どのような教科書を求めるのかを記載するために、総合教育会議の場で「教科書採択の方針」について、教育委員と協議することは当然のことですので、全く問題はありません。(文部科学省確認済)
 先日、ある県議会で、総合教育会議と大綱について首長の責務をただしたところ、県教委の答弁は、「教科書採択は扱われない」としてあっさりかわされてしまい、うやむやのまま質疑が終わってしまいました。
この教育委員による答弁の根拠となっているのが文科省のパンフレット「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(概要)」(文末に参考として抜粋記載)ですが、ここから都合のいい部分(Q5)だけが使われています。質問をしていただく議員には、ぜひ、パンフレットのQ7および上記の解釈をご理解の上、「首長は、教科書採択そのものではなく、教科書の採択方針ないし採択基準についてしっかりと教育委員と協議して、大綱に載せてください」と切り返していただくようにお願いします。

②県教委への共同採択区からの離脱(単独化)申請はいつまで可能?

 法律的にはその期限が設けられていません。しかし採択事務などに支障をきたさぬようにとの理由から、年度末(3月末)が一つの目安となりますが、例外も十分ありうるとのことです(文部科学省確認済)。単独採択化を検討している自治体には、3月中の申請が望ましいのですが、4月中にずれ込むことで申請自体を諦めることのないよう、引き続き働きかけを行ってください。

③「単独化」による採択は無償措置法に違法だから、ペナルティになる?

 全くもって誤った認識です。昨年の教科書無償措置法改正により、各自治体が単独化を希望すれば、管轄の県教育委員会によって原則それが認められることになっています。よって、正規で認められた単独化からの採択なら、当然合法であり、ペナルティなどありえません。
 単独採択化を阻止したい勢力は、八重山教科書採択地区での「違法単独採択」騒動を利用して、意図的に間違った情報や認識を教育委員会に流しているという情報があります。教育委員会がそのような情報に左右されることがないよう、皆様からしっかりと確認をお願いします。 

<参照資料>(文部科学省パンフレット)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(概要)

Q5 総合教育会議では、教育委員会の所掌する事務のうち、予算や条例提案など首長の権限に関わる事項についてのみ協議するのですか?
 総合教育会議では、予算や条例提案等に加え、保育や福祉等の首長の権限に関わる事項等について、協議し調整を行うほか、教育委員会のみの権限に属する事項についても協議(=自由な意見交換)を行うことが想定されています。なお、教科書の採択や個別の教職員の人事については、特に政治的中立性の要請が高い事項であり、総合教育会議の協議題として取り上げるべきではありません。



Q7 大綱は、予算や条例提案などの首長の権限に関わらない事項についても記載されるのですか?

大綱は、予算や条例提案等の首長の権限に関わる事項について定めることが中心となると想定していますが、例えば、首長の権限に関わらない事項である教科書採択の方針、教職員の人事異動の基準等についても、教育委員会が適切と判断して、首長が大綱に記載することも考えられます。
 なお、大綱は、首長が定めるものとされており、首長と教育委員会で調整がついた事項について尊重義務が生じます。



平成27年3月13日更新




「教科書採択戦は既に始まっている!」第11弾
文部科学省通知文書「教科書採択の留意事項について」の解説





1月29日、文部科学省は、「教科書採択の留意事項について」という文書をもって、政令指定都市の教育委員や教育長らに、教科書採択に関する留意事項を説明しました。内容的には従来から繰り返されたものですが、昨年の教科書関連法改正を反映した新しい事項も含まれています。また、これまでつくる会が再三に亘って要請してきたことが、しっかりと反映されています。
これを受けて当会は、前出の文書「教科書採択の留意事項について」のポイントを整理し、重要な部分について改めて解説を行いました。

その最重要ポイントは、本年4月1日より発足する首長主宰の総合教育会議です。総合教育会議が活性化し機能すれば、教育基本法を遵守したよい教科書が採択されるようになります。よい教科書が採択されるようになればよい教科書がつくられるようになります。首長が総合教育会議において教科書の採択について方針を示さなければ、今後それが議会などから問題として指摘される恐れがあります。

総合教育会議の発足まで約20日余りとなりました。会員の皆様には首長、議員、教育委員等に最後の働きかけを行ってください。

◎以下、文部科学省の文書全文を引用しながら、その中の重点箇所を□で囲み、そこに、6点のコメントを添えました(赤字部分)ので、ご参照ください。
つくる会がこれまでシリーズで第10弾まで発行して参りました「教科書採択戦は既に始まっている」の解説文と併せてお読みいただき、会員各位の行動の参考にしていただければ幸いです。

教科書採択の留意事項について(平成27年1月29日(木曜日)平成26年度指定都市教育委員・教育長協議会(第2回)配布資料)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/saitaku/1354969.htm

教育委員会の委員の皆様へ

教科書採択の留意事項について
文部科学省初等中等教育局教科書課

 教科書は,児童生徒が共通して使用する主たる教材であり,学校はもとより家庭での学習においても重要な役割を果たすものです。そのような教科書を採択することは,教育上重要な意義を有する,地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づく決定行為です。特に,義務教育諸学校において使用される教科書は,基本的に4年間同一のものを採択する必要があり,その採択は特に重要とも言えます。
 平成26年の通常国会においては,教科書の採択の制度の改善を図るため,教科書無償措置法の改正が行われました(添付資料参照)。この改正の内容も含め,教科書の採択の制度及び教科書の採択に関してこれまで文部科学省から示してきた通知等のうちポイントになると思われるところを以下のとおりまとめましたので,教育委員会の委員の皆様におかれましては随時参照し,今後の教科書の採択に当たって御留意ください。

採択権限
・公立の学校において使用される教科書の採択権限を有する者は教育委員会です。したがって,教科書の採択は,それぞれの委員がその職責を果たし,教育委員会が合議等により責任を持って行う必要があります。なお,教科書見本は,基本的に教育委員会の委員の人数分が送付されることになっていますので,教科書採択に当たって積極的に御活用ください。

・調査員からの報告等を鵜呑みにしたり,教職員の投票によって採択教科書が決定されたりするなど,教育委員会の責任が不明確になるような採択の手続は適当ではありません。

改めて教育委員会の採択責任を謳い、「学校票」を否定している。調査員追従や教職員の過剰な関与はあってはならないことを、再度確認したい。

・平成26年の通常国会において地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され,地方公共団体に総合教育会議が置かれることとなりました。教育委員会制度を設けた趣旨に鑑み,教科書採択についてはここでの協議題とするべきではありませんが,教科書採択の方針について協議することは考えられます。

②総合教育会議の機能・権能を活かすべきことを再要請したい。首長は自ら主宰する総合教育会議において、教育委員会と教科書採択方針を協議し、大綱にまとめることができる。むしろそうしなければ責任を果たしたことにはならない。
その場合、以前のような「政治的中立」を侵すなどといった悪宣伝に乗って、せっかく法改正した効果を無にしてはならない。(シリーズ第9弾参照)

調査研究

・教科書の調査研究は,装丁や見映えを重視するのではなく,教育基本法や学校教育法,学習指導要領で示す目標を十分に踏まえているかなど,内容を考慮した十分なものであることが必要です。(例えば,地域の教科書採択の方針に沿って調査研究項目を見直すなど,調査研究資料の充実を図ることが重要です。)

③これまでどおりであるが、括弧内の「地域の教科書採択の方針」とは、まさに首長が総合教育会議の大綱で示す「教科書採択の方針」に該当する。また「調査研究項目の見直し」も一歩踏み込んでいる。つくる会の提出した要望が反映されたと見たい。すなわち、学習指導要領の観点に従った教科書の内容の比較段階評価(採点表)を含めた教科書採択資料の作成を再度要求する。 (シリーズ第4弾参照)

・教科書内容の十分な調査研究を行うため,教科書見本が送付され次第速やかに調査研究に着手するなど,十分な調査研究期間を確保することや,採択地区間で合同の調査研究を行うなど,調査研究体制の充実を図ることが重要です。

・教科書の採択により広い視野からの意見を反映させるため,保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実も重要です。
・教科書展示会は,教員や保護者等が足を運びやすくなるよう,各学校を訪問して行う移動展示会や,図書館,公民館等での展示会が充実されるとともに,その開催時期や場所等について積極的な周知が図られることが重要です。(例えば,教科書展示会に意見箱等を設置して保護者等の希望等を把握するなどの取組も考えられます。)

④民主主義社会では意見有るものは積極的に声を上げた方が評価されがちである。教科書採択も同じであり、教科書基本法を遵守したよい教科書を採択させたくない勢力は、執拗に発言するから、その逆の声もあることを示す必要がある。(シリーズ第2弾参照)

共同採択

・市町村立の小中学校(中高一貫校を除く。)で使用される教科書については,都道府県教育委員会が市町村の区域を単位として設定する採択地区ごとに同一の教科書を採択することとされています。
・採択地区に複数の市町村が含まれる場合には,当該採択地区内の市町村教育委員会が協議して規約を定めて設置する採択地区協議会の協議の結果に基づき,同一の教科書を採択しなければなりません。
・採択地区協議会の規約は,共同採択地区内の市町村教育委員会の権限と責任に基づき,十分な協議を行い,定める必要があります。
※教科書無償措置法の改正による共同採択に係る制度の変更点の詳細については添付資料で御確認ください。

公正確保

・教科書の採択は公正に行われる必要があり,仮に教科書発行者による過当な宣伝行為があったとしても,その影響を排し,適正に教科書の採択を行うことが重要です。
・教科書の採択が外部からの不当な働きかけに影響されることのないよう,静ひつな採択環境を確保することが重要です。

⑤教育基本法を遵守したよい教科書を採択させまいとする勢力は、外国団体まで動員して、国を愛するまっとうな教科書を「戦争賛美」だの「歴史修正主義」だのと根拠なき誹謗中傷を行っては、採択妨害をしてきた。まさにこうした行動こそが「外部からの不当な働きかけ」であり、採択現場に混乱と動揺を与えたのである。同じ轍を踏むようなことのなきよう、教育委員会には申し入れておきたい。

開かれた採択

・教科書の採択を行った後は,採択結果・理由など,採択に関する情報を積極的に公表することが重要です。

⑥教科書採択の審議過程は記録を残し、公開することになっているから、後の評価に堪えるだけの、教科書選定資料作成と真剣な採択審議を行うよう、早い時点から陳情などして釘を刺しておくようにしたい。採択理由の公表は義務化させたい。


※教科書無償措置法の改正による採択結果・理由等の公表に係る制度の変更点の詳細については添付資料で御確認ください。
※以上のほか,例年4月上旬頃に当該年度の教科書の採択に係る留意事項について文部科学省から通知を発出しますので,併せて御確認ください。



(参考)義務教育諸学校用教科書の採択の仕組み (PDF:173KB)LinkIcon
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の一部を改正する法律及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布についてLinkIcon
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令の一部を改正する政令及び義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布についてLinkIcon
「教科書採択に関するQ&A」についてLinkIcon
                                   引用終わり




平成27年5月13日更新




総合教育会議の「大綱」に盛り込まれるべき最重要3項目
教科書採択戦は始まっている第10弾!
採択制度改善のために広く情報発信をお願いいたします!


 第9弾では、来夏の教科書採択戦で最大の鍵を握る「総合教育会議」の性格や課題についてお知らせしました(当会HPにも掲載中)。

【大綱に重要な3項目を盛り込む】
 現在、全国の会員や支援者に、それらの資料を使って地方自治体の首長や地方議員への働きかけをお願いしておりますが、最も重要なのが、総合教育会議の「大綱」に、社会科教科書の採択に係る次の3項目が盛り込まれることです。



(1)教育基本法を最も遵守したよい教科書を採択すること。
(2)各社教科書の内容評価は、教育基本法の遵守の度合いを基準にすること。
それを客観的にするために、重要項目の記述を取り上げて、比較点数評価して
行うこと。
(3)採択結果は、点数評価による採択理由を具体的に公表すること。



 項目(1)と(3)は前回の採択戦からも教育委員会に求められていますが、項目(2)に示す、教科書の重要項目の記述の比較点数評価は、これまでも前例がなく、採択までの時間的制約からも評価資料の作成が困難であると教育委員会側の抵抗も予想されます。

 しかし、埼玉県教育委員会のように、平成26年3月、高校用地理・歴史各社教科書で、南京事件、慰安婦強制連行、領土など計47項目について記述の比較を行った資料を実際に作成しているところがあります。また都道府県教育委員の選定資料がこの形式で作成されれば、各市町村教育委員会がこれを基にして独自に資料を作成することは時間的にも難しいことではありません。

 教科書の記述の比較点数評価は、誰にもわかりやすく客観的な方法です。これが全国に広がれば、自ずと自虐史観の教科書は淘汰されていき、よりよい教科書の採択につながります。

【2つのお願い:陳情・請願と情報の拡散】
①皆様には、この3項目の重要性をご理解いただき、首長、議員、教育委員へ働きかけをお願いします。さらには、議会や教育委員会へ陳情・請願を行ってください。
②「つくる会」は教科書採択制度の改善を進めるために、国民の皆様とも問題意識を共有し自虐史観教科書の排除を広く呼びかけていきたいと思っております。上記をご自身のHP、ブログ、ツイッター、Facebook、メールマガジンなどで拡散してください。

【ご協力いただける国民の皆様へ】
 さらに、関係者への働きかけにご協力いただける国民の皆様には、当会から関連資料を速やかにご送付いたしますので、本部事務局までご連絡ください。懇意にされている首長や地方議員のご紹介だけでももちろん結構です。情報をお待ちしております。

 「総合教育会議」は教科書採択の天王山です。採択の改善を目指して「つくる会」は国民の皆様とともに闘っていきます!




平成26年11月26日更新




「総合教育会議」は教科書採択の天王山!
教科書採択戦は始まっている第9弾
総合教育会議の準備に向けて、首長、議員に働きかけを行ってください



 本年6月の地方教育行政法の改正により、来年4月1日より、首長が招集し、首長と教育委員会で構成される総合教育会議が発足します。

 その総合教育会議は教科書採択に密接に関係しています。文部科学省の指導にもあるとおり、教科書採択に関し、総合教育会議は採択そのものの事務執行はできませんが、採択の方針、採択基準等について大綱に取り入れて、教育委員会に実行を求めることができます。また、その結果、逆に、首長にも教科書採択について説明責任が生じることになります。

 現在、全国の多くの自治体では、教育基本法を遵守したよい教科書が採択されていません。しかし今回、首長が総合教育会議で教育委員会と協議の上、教科書採択の方針を定めれば、次期採択で教育基本法を遵守したよい教科書が採択される可能性は大きく高まります。

 そこで「つくる会」としては、これからの教科書採択に首長や議員として何ができるのかを詳しく解説した参考資料として、「首長の立場から見た総合教育会議の課題」「議員の立場から見た総合教育会議の課題」「地域住民の立場から見た総合教育会議の課題」なる冊子、また、これらの資料の要点を簡潔にまとめたリーフレット「総合教育会議発足に向けて」を作成しました。
(下記からそれぞれダウンロード可能です。)

首長の立場から見た総合教育会議の課題LinkIcon

議員の立場から見た総合教育会議の課題LinkIcon

地域住民の立場から見た総合教育会議の課題LinkIcon

総合教育会議発足に向けてLinkIcon


 上記首長宛て資料については、すでに全国1700余自治体に直接送付しておりますが、会員の皆様には、それが可能な環境にある方は、お住まいの地域の首長に対し、改めて冊子を活用し、総合教育会議の準備に向けて働きかけてください。

 また、総合教育会議の充実には、議会からの働きかけも重要です。この動きに賛同される議員がおられる場合は、さらに多くの議員へ理解が広がるようぜひとも協力を求めてください。たとえお1人の議員であっても粘り強い活動は、やがて議会を動かし、総合教育会議の充実、そして教科書採択の改善に繋がる可能性があると期待できます。議員の方には本部から上記資料の直接送付も可能ですので、ご紹介いただければ事務局より速やかにお送りします。また、首長や議員より、さらに詳しい説明が欲しいという要望のある場合は本部にご連絡ください。

 来春、全国各地方自治体で総合教育会議が設立され、以降それが健全に機能していくかどうかは、これから数か月間の各方面からの働きかけが非常に重要になります。総合教育会議は教科書採択の天王山です! 会員の皆様も地域の住民として要請を含めた働きかけを行ってください。

 実質的なの採択活動の終了期限まで、あと270日を切りました。教育基本法を遵守したよい教科書が採択され、そして日本の誇りを取り戻す教科書が普及していくよう、会員の皆様、ともに頑張っていきましょう。



                                             以上


平成26年10月10日更新




「教科書採択戦は既に始まっている!」第8弾
教科書無償措置法改正及び地方教育行政法改正の解説



 この度の教科書無償措置法と地方教育行政法の改正は、平成27年度に展開される中学校教科書の採択戦に密接にかかわるもので、採択のための運動としては、新たな展開が迫られています。これまでの古い採択制度を前提とした対応は止め、新しい制度の下での新しい対応をしなければならなくなりました。そこで「つくる会」として、この2つの法律改正について解説をします。今後の採択戦の基本資料になります。


(1)義務教育諸学校の教科用図書の無諸措置に関する法律(以下「教科書無償措置法」という)の改正に関係して

 平成26年4月16日に公布され全体としては平成27年4月1日より施行の改正教科書無償措置法は、従来の共同採択地区をより明確に制度化して共同採択地区についてより整備した面と、市町村単位で単独採択を促進させるという面との2つの面をもっています。

 市町村単独採択の例では、沖縄県竹富町のように、本法の一部が本年4月16日に施行されて単独採択地区になることが可能となるや、直ちに沖縄県教育委員会に申請し、都道府県教育委員会も認め、いち早く単独採択地区となりました。竹富町のような小さな町では、教科書採択のための調査研究が不可能ではないかと懸念がありましたが、竹富町では退職教員も動員して調査研究をするので支障はないと主張しています。

 また、文部科学省としては、単独採択地区となった市町村も近くの共同採択地区に参加して合同で調査研究をして、その結果を各市町村に持ち帰り、独自に判断して教科書採択を決めることも認めています。

 さらには、平成24年9月28日の初等中等教育局長通知「教科書採択の改善について」にもあるとおり、単独採択地区となった個々の市町村が複数集まって合同して調査研究をし、その結果を各市町村に持ち帰り、それぞれ市町村で独自に判断して教科書採択を決めることも可能です。

 要は、市町村教育委員会が都道府県教育委員会に申請して、単独採択地区として認められるかどうかにかかっています。改正法全体としては、都道府県内において採択地区の設定、変更に当たっては、あらかじめ市町村教育委員会の意見を聴かなければならないことを強調するものになっており、市町村教育委員会の意向は市町村が単独採択地区となるための重要な要因となります。強く望めばそうなるでしょうし、強く望まなければ原則的に従来通りの共同採択地区に組み入れられるものと思われます。沖縄県竹富町の例のように、退職教員を動員して教科書採択のための調査研究ができるとすれば、単独採択地区になり、独自に調査研究することも可能であり、個々に単独採択地区になりながら従来の共同採択地区を活用して合同の調査研究を行い、その結果を市町村に持ち帰り、市町村で独自に教科書採択を決定することも可能です。採択地区の設定は、都道府県教育委員会の権限ですから、都道府県教育委員会の決定に対して文部科学省が是正措置を求めるようなことはありません。

 したがって、市町村教育委員会においては、都道府県教育委員会によって納得のいかない採択地区の設定が行われれば、納得のいくまで採択地区設定に関する要請を出すべきだということになります。これを機に義務教育諸学校の教科書の採択権限は本来は市町村の固有の権限であり、単独採択地区になることが望ましく、運動としてもその方向で進むべきです。

 教科書無償措置法の今回の改正にはもう1点大切なことがあります。改正法第15条において、教育委員会は教科書を採択したときに採択の理由を公表するよう、努力目標が規定されました。これまでどのような教科書を採択しても、その理由を公表する責務はなかったのですが、今回の改正で、努力目標ながら理由を公表することになりました。本来、教科書の採択は教育委員会としてどのような教科書を採択したいのか要望があるはずであり、その要望に基づいて計画的に採択事務を執行すべきでしたが、これまでそれを促すような規定がありませんでした。採択理由の公表を努力目標として規定されたということは、運動によって事実上義務化させることができるということです。「つくる会」としては、平成25年6月15日付《「教科書採択戦はすでにはじまっている!」第1弾-教科書の検定・採択制度と教育委員会等の改善提案》以来、教育委員会に対して、どのような教科書を採択したいのか事前に明示するよう、強く求めてきました。この採択理由の事後公表は我々「つくる会」の提案と軌を一にするものです。


(2)地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地方教育行政法」という)の改正に関係して

 本年6月13日、地方教育行政法改正法が成立しました。施行は平成27年4月1日です。主な改正点は2つあります。1つは教育委員長と教育長が新しい教育長に統合され、新教育長は議会の承認を得て首長が直接に任命し、任期も4年から3年に短縮したことです。もう1つは教育委員会と首長によって総合教育会議が設置され、首長は教育行政にかかわる大綱を定めることができるようになったことです。

 もっとも経過措置があって、新しい教育長が平成27年4月1日よりいっせいに誕生するわけではありません。施行日に教育長であった教育長は任期満了まで現行体制のままに教育長を務め、これに併せて教育委員長も存続します。

 しかし、総合教育会議は4月1日以降発足することになり、首長は教科書採択に関係しても大綱を定めることができます。この総合教育会議によって地方教育行政は大いに変わっていくものと期待されています。

 従来、政治的中立性を口実にして、首長や議会が教育委員会に向けて教科書採択に関係して意見を表明することは憚れる雰囲気がありました。しかし本来は教育委員会は教育に関する地方公共団体内の一執行機関であり、首長や議会は自らに寄せられた地域住民の教育意思を地域の教育行政に反映させるため、教育委員会に対して、一定の拘束力をもった意見表明を行うことは可能であるはずのものでした。にもかかわらず、教育の政治的中立性を過度に受け入れて、首長や議会の意見表明をいっさい許さないかのように教育委員会制度が運営されてきました。しかし総合教育会議が設置されて首長も地方教育行政について大綱を定めるものとすると、地域住民の教育意思の下に、首長やさらには議会にも教育行政に関して責任のあることが明確になり、その責任から回避できなくなります。例えば教育委員会の方で、歴史の真実に反する歴史教科書の採択を行っても、これまでは首長はいささかも説明責任はないかのように扱われてきましたが、今後はこのような誤った教科書採択があった場合には、首長も、総合教育会議の主宰者として説明責任を負わなければならなくなります。

 これまで教育委員会は教育の政治的中立性を口実にして、首長や議会によって示されるはずの地域住民の教育意思を遮断し、教育関係者だけの独善的な教育の事務執行を行ってきたきらいが大いにありますが、この地方教育行政法の改正によって総合教育会議が設けられたことになり、首長や議会は本来潜在的にもっていた自己の責任から逃れられなくなったといえます。

 もっとも、教科書採択の権限そのものは依然として教育委員会にあります。首長が直接に教科書採択を決定する事務執行を行うことはできません。しかし例えば、教育基本法を厳守した健全な教科書を採択するようにとか、さらには教育基本法の趣旨に則り愛国心や公共の精神を明記した教科書を採択するようにとか、採択のための基本方針を定めれば、教育委員会にはこれを尊重する義務が生じ、それを実行しなければならなくなります。また今までは、教科書採択に関係して議会が地域住民の意思を反映していくら強く決議しても、教育委員会によって事実上は無視され続けることが多かったのですが、これからはこうした決議の内容が大綱として定められれば、教育委員会はそれを尊重して実行しなければならなくなります。

 また、都道府県知事が都道府県教育委員会に対しては、市町村の教育委員会が教育基本法を厳守した健全な教科書を採択するために容易に調査研究できるように、公正で客観的な採択基準とその観点や資料を作成することを大綱として定めれば、それを実行させることができます。当会では、公正で客観的な採択基準とその観点や資料として、先駆的に「観点別比較段階評価法」を提言しています。奇しくも、平成26年3月埼玉県教育委員会が、47項目にわたって教科書の記述を比較した『高等学校地理歴史科指導資料集』を別目的で作成しています。この資料集こそ、当会の提言する観点別比較段階評価法の基となる、教科書の記述を比較した「一覧表」にほかなりません。こうした資料の作成は、政治的中立性の問題とはまったく関係ありませんから、都道府県知事は総合教育会議で教科書採択のための大綱として明確に定め、都道府県教育委員会に実行させることができます。

 また、改正された教科書無償措置法の第15条で努力目標として規定されたところの、教科書採択の理由を事後に公表するとか、あるいは法律には直接の規定はありませんが、どのような教科書を採択したいのかについて、採択の方針を事前に明示することなども、総合教育会議で大綱として定めることができます。

 教育基本法を厳守した健全な教科書の採択を目指す運動団体たる「つくる会」としては、この首長の役割について、総合教育会議が発足する平成27年4月1日以前に、首長自身において十分に理解してもらうように、運動を展開する必要があります。議会の議員の先生方にも、議会と教育委員会との対応関係は変わったということを十分に理解してもらうように、運動を展開する必要があります。                   

                                             以上

平成26年8月25日更新




文科大臣に制度改革の要請書を提出
「教科書採択戦は既に始まっている!」第7弾



 新しい歴史教科書をつくる会は、7月8日、文部科学大臣宛ての文書「教科書制度改革の改善を求める要請」を文部科学省に提出しました。

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▲文科省担当者に要請書を手渡す杉原会長


 今回の要請は、従来から提案しているものについて、来年の採択を見据えてさらに踏み込んだものとなっております。また、本年の改正無償措置法の趣旨に則り、最小単位の各自治体での採択が実質的に可能になるよう、文科省のさらなる指導を求めています。
 会員の皆様におかれましては、今回の要請内容についてご理解の上、今後の採択活動にご活用いただきますよう、お願いいたします。

                                       平成26年7月8日
文部科学大臣 下村博文 殿
                                   新しい歴史教科書をつくる会
                                        会長 杉原誠四郎


                  教科書採択制度の改善を求める要請

 教育基本法を厳守したよい教科書が採択されるようになれば、自ずと、問題ある教科書は制作されなくなり、教育基本法を厳守したよい教科書が使用されるようになります。教育基本法を厳守したよい教科書の普及は教科書採択制度の改善をもって初めて可能である、と言っても過言ではありません。
そこで当会では本年1月31日文部科学大臣宛に「教科書の検定及び採択に関する要請」を提出し、教科書の検定及び採択制度に関する改善について要請しましたが、ここで平成27年に予定されている中学校教科書の採択に対応して、教科書の採択制度に限りさらに付加する形で以下のように改善を要請します。

(1)どのような教科書を採択したいのか事前に明示を
 この度、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(以下、教科書無償措置法という)の改正により、努力目標ながら、教科書採択権者は教科書を採択したのち採択した理由を公表することとなりました。もちろんこれは、平成21年3月30日付初等中等教育局長通知「教科書の改善について」にあるとおり、「教科書の装丁や見映えを重視するのではなく、内容を考慮した」ものでなければなりません。このような採択理由の公表は、教科書採択権者が教科書の採択に当たって、どのような教科書を採択したいのかその方針を予め固めて計画的に採択していくことをいっそう促進させるものとして、当会は高く評価しております。
 教科書を採択する市町村の教育委員会は、市町村の住民の教育意思を担っている以上、どのような教科書を採択したいのか予め要望があるはずであり、その要望を事前に明示しておくことは当然です。そうでなければ市町村住民の教育意思を担った教育委員会とはいえません。
 文部科学省にあっては、教育基本法を厳守したよい教科書を採択させる方針の下に、市町村教育委員会等、教科書の採択権者は、採択期間に入る前に、どのような教科書を採択したいのか事前に明示するよう、都道府県教育委員会を通して指導を行ってください。

(2)デジタル化(映像化)によって見本本教科書の全頁公開を
 従来、教科書採択をめぐっては、地域住民の意見を反映させるため、見本本に対する教科書展示会が開催されてきました。しかし地域住民が教科書展示会の会場に赴いて短時間で該当教科書を調査研究し、意見を提出するというのは容易なことではなく、そのため教科書展示会の制度は十分に目的を達成せず形骸化した状態にあります。そこで教科書採択制度の改善の一環として、各教科書会社に見本本の全頁をデジタル化(映像化)して公開するように義務付けてください。
 文部科学省にあっては新たな予算は必要なく、他方で地域住民にとっては十分に時間をかけて教科書の細部まで調査研究でき、より充実した意見表明ができます。
 教科書採択をめぐるより民主化した手続きとして、ぜひとも各教科書会社に指示し、デジタル化(映像化)による見本本の全頁公開を義務付けてください。


(3)市町村教育委員会単位で採択を
 これまで、小さな市町村の教育委員会においては教科書採択のための調査研究は負担が大きいということで、ほぼ郡を単位に採択地区が設けられ、採択地区内では共同して採択のための調査研究をし、同一の教科書を採択することになっていました。
 しかしこの度教科書採択で問題となった沖縄県竹富町の言い分のごとく、本来ならば教科書採択は市町村教育委員会固有の権限であり、地域住民の意思を担って、個々に独立して行われるべきものであります。
 この度の教科書無償措置法の改正によって、都道府県教育委員会の定める採択地区は郡単位のものから市町村によるとして柔軟に定めるものとなり、市町村単位で単独採択の道がより大きく開けてきました。文部科学省にあっては、市町村教育委員会の意思を尊重し、希望する市町村教育委員会は単独で採択地区となることができるように、さらにいっそう進めてください。
 併せて昨年12月、中央教育審議会の意見答申にあるように、調査研究は共同して行いながらも、採択に当たっては市町村教育委員会単位で行うことができるように、推進してください。


(4)都道府県教育委員会による公正で客観的な教科書採択資料の作成を
 市町村単位で教科書採択を促進していくに当たっては、教科書無償措置法第10条に基づき市町村教育委員会を指導・助言する都道府県教育委員会の責任はいっそう重大になります。都道府県教育委員会は、都道府県下で教育基本法を厳守したよい教科書が採択されるようにするため、市町村教育委員会が採択に当たって調査研究しやすいように、抽象的観点ではなく、学習指導要領に則り明確に比較段階評価のできる、公正で客観的な教科書採択資料を作成しなければなりません。文部科学省にあっては、都道府県教育委員会がこの責任を十分にまっとうするよう、強力に指導してください。
 当会では歴史・公民教科書においては、先駆的に「観点別比較段階評価法」を提言しています。都道府県教育委員会が特定事項について全教科書の記述を比較できる一覧表を作成し、市町村教育委員会がその観点別比較表の下に任意に事項を選び、点数評価を行えば、市町村教育委員会は極めて容易に教育基本法を厳守したよい教科書を採択することができます。


(5)見本本配付にかかわる公費負担について
 現在の採択制度では、見本本配付にかかる費用はすべて教科書を制作した教科書会社の負担になっております。見本本配付における巨額な負担は、新規に新しい教科書を制作して教科書の改善に寄与しようとする試みに対して、これを妨げる大きな要因になります。当会としては、新規に教科書の制作を容易にし教科書改善に資するため、検定合格した教科書の見本本の配付は教科書制度内の不可欠な一部と見なして、見本本配付にかかわる費用は一括して公費でまかなうように要請します。ぜひとも見本本の配付にかかわる費用の公費負担を実現してください。


(6)教師用指導書の現状把握と採択における配慮を
 教科書に合わせて教科書会社によって現場の教師に提供されるいわゆる教師用指導書は、実態として、検定合格した教科書の内容と大幅に異なり、教育基本法や学習指導要領から著しく逸脱し、極めて自虐的な内容になっています。教科書の内容が検定で一定程度に法令に従ったものであっても、教科書会社によって任意に制作され、教師が日常の授業で用いるところの教師用指導書において、検定基準に違反し自虐的な内容に満ちていては、教科書を改善したことにはなりません。教科書の採択のためには、教師用指導書の記述も把握し、採択に当たってはその記述内容も配慮するよう、指導を行ってください。
                                             以 上

平成26年7月9日更新




「教科書採択戦はすでに始まっている!」第6弾
<教科書採択Q&A-教科書採択に関する誤った9つの主張と1つの質問>


 現在、国会では教育委員会改革について熱心に議論がされていますが、「教科書採択」問題の改革が置き去りにされぬよう、私たちは今後もこの動きを注視していく必要があります。
 そうした中、「つくる会」第2委員会はこれまで「教科書採択戦はすでに始まっている!」として、採択戦への取り組みについて発信してきました。今回はその第6弾として、「教科書採択Q&A-教科書採択に関する誤った9つの主張と1つの質問」を作成しました。
 この「Q&A」は、会員の皆様は勿論、来年の採択に深く関わってくる各教育委員会や地方議員の先生方に正しい認識や理解を得てもらうために非常に有用です。下記からダウンロードいただき、ぜひとも広くご活用ください。

教科書採択Q&A-教科書採択に関する誤った9つの主張と1つの質問LinkIcon


平成26年3月11日更新




文科大臣に「教科書の検定及び採択に関する要請」を提出
 「教科書採択戦はすでに始まっている!」第5弾


新しい歴史教科書をつくる会は1月31日、文科省に「教科書の検定及び採択に関する要請」を提出しました。
 本要請は、政府による教科書制度の改革が進行する中で、当会の教科書採択推進委員会(第2委員会)による検定と採択に関する提言を元に、特に重要な点をまとめたものです。
 また、本要請文にある1月17日付教科書検定基準改定についての新旧対照表はこちらLinkIconからご覧ください。また、『国民新聞』1月31日号では、杉原誠四郎会長が本要請と密接に関わる論説を発表しております。この記事についても併せて掲載いたしますのでご参考にしてください。
 会員の皆様におかれましては、本要請の趣旨についてご理解いただき、今後の活動にお役立ていただきますよう、お願い申し上げます。

                                      平成26年1月31日
文部科学大臣
 下村 博文 殿
                                  新しい歴史教科書をつくる会
                                       会長 杉原誠四郎

教科書の検定及び採択に関する要請

当会は、これまで歴史・公民教科書の改善を目指す運動団体として、平成9年以来活動しております。
平成18年の教育基本法改正、及び平成20年の学習指導要領の改訂により、教科書改善が進むものと多くの国民が期待しておりました。しかし、結果は遺憾ながら教科書改善はいっこうに進まず、教育基本法改正の趣旨はほとんど無視されたと言っても過言ではない状況に至りました。このことは文部科学大臣におかれても認識を共有されているものと思います。近時矢継ぎ早に改善プランを打ち出されており、去る1月17日には教科書検定基準の改定を行われました。このような経過の下で、当会は教科書の検定制度及び採択制度の改革に関し、以下のように要請をします。
なお、当会では、昨年6月15日、「教科書の検定・採択制度と教育委員会制度等の改善提案」を発表しており、添付致しますのでご参照下さい。

(1)教科書検定基準の改定について
①いわゆる「近隣諸国条項」について
いわゆる「近隣諸国条項」は昭和57年、文科省の検定において、「侵略」を「進出」に書き換えさせたという事実がないのにもかかわらず、そのような事実があったかのような誤報がきっかけとなって設けられたものであり、正当な根拠がありません。従ってこの条項は廃止してください。
②平成26年1月17日付検定基準改定の条項について
平成26年1月17日付教科書検定基準の改定によって、社会科の固有条件について、1条項の変更及び2条項の追加が行われました。これらの条項につき、以下のような見解が成り立つと思われます。よってこれらの条項につき、極めて慎重に運用して下さるようお願いします。
歴史教科書は教育基本法の下に歴史の真実に基づいたものであることを最優先すべきです。学界の通説とされるものの中にはすでに実証的に崩壊しているものがあり、通説より真実が優先されるべきことは言うまでもありません。また、政府見解はさまざまな政治的状況の中で出てくるものであり、歴史の真実がこれと矛盾する場合は、歴史の真実を優先すべきです。
公民教科書にあっても、公民教育は教育基本法の下に持続可能にして健全な社会の建設と健全な公民の育成を目的としたものでなければならず、そのため通説や政府見解よりも公民教育の目的を優先しなければなりません。

(2)教育委員会の教科書採択について
①市町村独自に採択できるようにすることについて
教育委員会は本来当該市町村の教育に固有の責任を負った機関であり、教科書採択については個々の市町村が固有の権限と責任に基づいて行うべきです。
複数の市町村が共同採択地区を設けて教科書の採択を行う現行の制度は、昭和38年義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律に基づいてできたものですが、当時存在した市町村はその後合併して、現在では約2分の1になっています。現在では都道府県教育委員会の指導を受けて市町村ごとに採択することは十分に可能です。
よって、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律を改正し、早急に教科書採択は市町村単位で行えるようにしてください。
②教育委員会の教科書採択に関する指導について
教育委員会は教育基本法を遵守した教科書を採択しなければなりません。また、そのために、教科書を選定する評価基準を予め準備しておくべきです。当会は、教育基本法を遵守するための観点を採択期間に入る前に明示し、併せてそのための数値による観点別比較評価を事前に準備し公表すべきであると提言しています。
文部科学省におかれては、教科書採択につき、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会に対し、教育基本法を遵守した教科書を採択する旨を事前に明らかにし、併せて教育基本法を遵守した教科書であることが客観的に判明する数値による評価基準を事前に準備し明示するよう指導を行ってください。
③教科書寡占状態の緩和について
全国各地域で使用されている教科書を一覧すると、特定教科書会社の教科書の占有率が異常に突出しております。また、特定教科書が長期間使用されている事例も判明しております。このような惰性に陥った採択は、教科書業界の弱肉強食体制を促進させるのみならず、教員に対する研鑽の機会を奪います。延いては教科書改善の阻害要因ともなります。このような教科書寡占状態を緩和するため、従来の4年ごとの採択期間固定方式を止め、入学学年ごとに採択組み換えが可能な方式に改め、その上で寡占状態が生じないように指導を行ってください。
                                             以上

平成26年2月7日更新




「教科書採択戦はすでに始まっている!」第4弾
3類型に分けた請願書の雛形と評価方法

教育基本法順守の教科書の採択のために、「教科書採択戦はすでに始まっている!」第3弾で請願書の雛型を示しましたが、第4弾として、さらに簡単なものを第3類型に分けて示します。またそのための評価法としての比較段階評価について、さらに詳細で具体的な説明をします。


まず3類型について説明します。

第1類型は、宮城県議会で採択された請願書の例のように、各教科書に共通する一定数の具体的事項を抽出し、その記述を対象として比較段階評価を行うものです。
第1類型のテンプレートLinkIcon


第2類型は、教育基本法第2条の教育の目標の規定から、例えば「愛国心」や「公共の精神」など、歴史・公民教科書に特に密接にかかわる事項を抽出し、その記述を対象として比較段階評価を行うものです。
第2類型のテンプレートLinkIcon


第3類型は、学習指導要領の規定から、教育基本法の順守という基本姿勢を貫くために、特に重要と思われる観点を示し、その観点を基に各教科書の記述について比較段階評価を行うものです。
第3類型のテンプレートLinkIcon

第3類型について少し補足いたします。いうまでもなく学習指導要領は教科書制作の段階で直接に準拠すべきものです。学習指導要領の規定は、必ずしも完全とは言えませんが、一定程度には教育基本法の下、公正な規定になっています。しかし制作の段階でこれまでないがしろにされてきた規定は多くあります。そこで第3類型では、新教育基本法の下、学習指導要領社会科歴史的分野の「目標」にある「我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」を改めて指摘し、そこから見落としてはならない重要な観点を示して比較段階評価を行うことになります。ところが、公民教科書については、学習指導要領社会科公民的分野の規定は、愛国心に関する規定はありますが、新教育基本法が強調する公共の精神の規定が公民教育としては極めて重要であるにかかわらずありません。その他に家族に関する規定がありません。このように公民教育に関する学習指導要領の規定は、教育基本法の下、不十分ということになります。(学習指導要領社会科公民的分野のこの欠陥は次回の学習指導要領改訂の際の課題となります。)そのため、公民教育については、第1類型か第2類型の請願書で請願するのが望ましいということになります。


評価法の比較段階評価における評点の付け方については、例えば、①大変よい、②よい、③ふつう、④少し悪い、⑤悪いと、5段階評価に分けて査定し、その総合点で全体の評価をし、順位付けをすることが通常考えられますが、この5段階評価が難しいというのであれば、個々の事項について、関係する全教科書を比べてその順位を付けて、その順位をそのまま点数化してその総合点で全体評価をする、ということもできます。

3類型の請願書は都道府県議会宛てのものですが、適正にアレンジすれば、市町村議会宛てにも活用できますし、都道府県教育委員会宛て、市町村教育委員会宛てにも、さらには首長宛てにも使えます。また、団体で正式な請願書が出せない場合でも、個人として意見表明は自由にできますから、まさに「教科書採択戦はすでに始まっている!」として積極的に議会、教育委員会、さらには首長に働きかけてください。そして、教育委員会はどのような教科書を採択したいのか、予め明示する責任と権限のあることを広く関係者に訴えてください。

平成25年11月25日更新




採択に関わる宮城県支部の請願を県議会が採択
「教科書採択戦はすでに始まっている!」第3弾
これに続いて全国各支部でも請願活動を!


新しい歴史教科書をつくる会宮城県支部が平成25年2月26日に宮城県議会に提出していた「中学校で使用する歴史・公民教科書の採択に関して宮城県教育委員会の指導強化を求める請願書」が宮城県議会で、10月30日、34対20と大差をつけて採択されました。(請願書はこちら閲覧できるようになっています。)LinkIcon

請願は、歴史教科書については、神話や天皇、大東亜戦争など12項目にわたって、「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」とする学習指導要領歴史的分野に明記されている目標に沿って記述されているかを、各教科書ごとに段階評価し、その順位づけをするよう求めたものです。公民教科書については、学習指導要領公民的分野に明記されている目標に基づき、愛郷心と愛国心、公共の精神など18項目にわたってこの比較段階評価を求めたものです。

この請願は、平成23年の歴史・公民教科書の採択で、教育基本法改正の効果がなきに等しい結果になったことに鑑み、教育基本法順守の教科書の採択を求め、そのための評価方法を提示したものです。請願の採択にあたって出た一部の反対意見のように、教育委員会への不当な支配にはいっさい当たるものではなく、また「つくる会」の教科書への利益誘導ではいっさいありません。あくまでも教育基本法を順守した教科書の採択を請願し、そのための評価方法を提示したものにすぎません。この請願の採択を受けて、宮城県教育委員会はこの度の議会の採択を重く受け止め、対応を検討するとしています。

この請願の採択は、現在、歴史・公民教科書を制作中の教科書会社に対しても、教育基本法を順守して制作しなければならないことへの強力なメッセージにもなっています。私たち「つくる会」各支部及び各会員はこれまで、平成18年に改正された教育基本法の実効化を目指して強力に運動を展開してきましたが、この「つくる会」宮城県支部の請願の採択を契機として、全国の各支部、各会員は、それぞれの都道府県、市町村の議会、教育委員会に対して、さらにいっそう、働きかけを強化してください。

請願に際しての請願書の一般的モデルについてはすでにホームページで発表していますが、さらに具体的な請願書のモデルについて近々発表いたします。
なお、今回の採択では、河北新報(10月31日付、以下写真)が、産経新聞(10月31日付)も「歴史教科書を点数評価―「つくる会」請願、宮城県議会が採択」と題して大々的に報じていますのでお知らせしておきます。

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平成25年11月1日更新




宮城県支部の請願採択!
宮城県議会・文教警察常任委員会

新しい歴史教科書をつくる会宮城県支部が平成25年2月26日に宮城県議会に提出した「中学校で使用する歴史・公民教科書の採択に関して宮城県教育委員会の指導強化を求める請願書」LinkIconが宮城県議会文教警察常任委員会で採択されました。また、その記事が10月22日付河北新報朝刊に掲載されましたのでご報告いたします。


歴史教科書 県教委が指導を
「つくる会」の請願採択 県議会常任委


県議会文教警察常任委員会は21日、「新しい歴史教科書をつくる会県支部」が提出した公立中学校の歴史、公民の教科書に関する請願を採択した。請願は、2016年度に使う教科書を各市町村教委が決める際に、県教委が各社の教科書を比較して点数化し、その資料を基に市町村教委に指導するよう求めている。

委員会の採決では委員長を除く9人のうち、みんなの党の1人が退席した。自民党の4人が賛成、他党の4人が反対し「可否同数」となり、委員長裁決で採択となった。

採決前の議論では民主、社民、共産各党は「つくる会は特定教科書の普及に関わっており、公平性の観点で問題がある。特定出版社への利益誘導に当たる可能性がある」と主張。公明党は継続審査を求めた。

つくる会の請願は、ことしの2月定例会に提出されて以降、継続審査となっていた。委員会採択を受け、30、31日に開かれる県議会臨時会の本会議で採決される。

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平成25年10月24日更新




教科書採択戦はすでに始まっている! 第2弾
「教科書制度改善提案」(第2委)解説と陳情活動の具体例


(1)先日発表した第2委員会提言の中で、「教育委員会はどのような教科書を地域の児童生徒に使わせたいか、教育的視点に立ち、採択年度に先立って採択方針を定め、採択基準・観点の明示をおこない、それらに基づき採択選定資料の充実を図るべきである。」と書きました。地域住民の意思を反映した公正な採択の重要性を謳っています。

第2章 教科書採択制度

(1)採択の公開性確保、教育的視点の重視教育委員会はどのような教科書を地域の児童生徒に使わせたいか、教育的視点に立ち、採択年度に先立って採択方針を定め、採択基準・観点の明示をおこない、それらに基づき採択選定資料の充実を図るべきである。適正な基準は議会での審議を求めることによって、より一層の公明性が確保できる。このように早い段階から採択基準を明示する意味は、教科書執筆者に対して、より良い教科書作りを求めることにある。見本本を基に作成する採択選定資料は、予め定めた採択基準に従って適正な評価を記載したものであるべきで、技術論的、横並びでおざなりな字句の羅列は認めてはならない。実のところ誠に遺憾ながら、当委員会が調査した範囲でも怪しげな採択資料の例は枚挙に遑がない。また教育委員会審議過程は各委員の発言内容も含め、最大限公開すべきであり、また迅速な議事録の作成を義務付けなければならない。各地域の教育委員会にそれらの実行を督促するためには、住民による陳情や請願で議会を動かし、教育委員会の意識改革を不断に行うことが肝要である。


そして「どのように優れた教科書が教育委員会で採択され、学校に配給されようと、それが生かしきれるかどうかは教育現場の教員の熱意、力量、資質にかかっている。言い換えればどのように自虐偏向した教科書であっても、指導する教員が児童生徒に問題の所在を発見させることによって、正しい理解を深めることも可能である。そうした観点を踏まえ以下に処方箋を列挙する。」として、真っ先に国旗国歌の尊重義務を挙げ、東京都や大阪府で果断に実行されている教育正常化の動きに触れました。 

第6章 教員養成、研修と指導

(1)国旗国歌の尊重義務…自虐教育を行う教員は往々にして国旗国歌などの歴史認識が偏狭で自己主張に過ぎ、しばしば闘争的態度をとる。そこまでではないにしても国旗国歌を習っていない現役教員が存在する。これでは児童生徒に正しい指導ができない。どの国でも行われているように国旗国歌を尊重することは教員養成の段階でも習熟させるべきである。それでもなお管理職の職務命令に違反する教員に対しては、東京都や大阪府で果断に実行されているように、懲戒処分も含め指導を行うべきである。


(2)実際問題として、文部科学省の検定に合格した教科書でも不十分なものや、おかしなものがあります。


資料① <つくる会チラシ参照「教科書を比べてみましょう(国旗国歌)>参照LinkIcon


また、実教出版の高校歴史教科書の不採択を通知したことが今話題になっています。

資料② <平成25年6月27日付 都教委通知「平成26年度使用都立高等学校(都立中等教育学校の後期課程及び都立特別支援学校の高等部を含む。)用教科書についての見解」>参照。LinkIcon


都教委の、不正や不作為と戦う姿勢が鮮明ではないでしょうか。東京都に次いで、大阪府も、神奈川県でも同様の指導が行われています。つくる会はこれらを大いに評価します。

都教委にしてみれば(大阪府教委、神奈川県教委も同様ですが)、国旗国歌の正常化に奮闘している立場を揶揄・誹謗するような教科書記述が検定合格しても、いかに異例な措置といわれようとも採択するわけにはいかない、譲れない一線があるのです。それは採択における「絶対要件」といってもよいでしょう。

採択において、採択権者たる教育委員会が、地域の教育方針に合わない教科書を具体的に指示して、当該教科書の採択を拒否することは、採択権者の権限の行使として、当然できることです。朝日新聞などのように「教委の介入」などと言い募ることは筋違いなことです。



(3)よりよい教科書を採択するかどうかは、ひとえに教育委員の見識にかかっています。

平成23年の採択で、練馬区の教育委員の一人は、提出された陳情書の審議の場で次のような妄言を口にして、陳情書の採択を蹴りました。

練馬区教委のA委員の発言から。出典:平成23年第14回教育委員会定例会(平成23年7月25日)


「まず、要旨のほうである。『多くの教科書が書かなかった部分をよく精査し』云々とある。また、説明の中にも、『果たして学習指導要領に完全に準拠したかどうかは、各社比較検討して差異を調べる必要があり』とある。

ういった教科書の内容については、既に学習指導要領に準拠したものかどうかを調べるということについては、文部科学省のほうで審査をした検定教科書ということであるので、この仕事はもう既に教科書調査官のほうでなさっているということで、私たちがこの場でその内容が書かれてしかるべきかどうかというようなことを、精査するということはできないことだというふうに考えるので、この陳情については、不採択が望ましいのではないかと思う。以上である。」

このA委員は、教育委員でありながら、教科書制度とは何であるかを全く理解していません。制作、検定、採択の3段階にわたる教科書制度では、検定は、教科書記述が合格の範囲内にあることを認定したにすぎません。検定合格したといっても、合格の範囲は広く、教育基本法、学習指導要領の順守の度合いは、各社教科書によってまちまちです。したがって練馬区の区民が「学習指導要領に完全に準拠したかどうか、各社比較検討して差異を調べる必要があり」というのは、的を射た正しい指摘です。


いつまでもこのような教科書制度の何たるかを弁えない、不埒な考え方で教育委員を務めてもらっては困ります。文部科学省の検定済み教科書をもって、何でもアリというのでは、教育委員の責務を疎かにしていると断定できます。

地元の教育委員会に余所での実例として紹介する方法もあります。任命権者の首長に意見書を送り、教育委員に対し注意喚起することも一つの実践行動であって、今から布石を打っておくのもよいことでしょう。



(4)議会への決議を促したり、教育委員会へ陳情したりすることが、まさに今から必要なのです。


平成18年に、教育基本法が改正され、それに基づき学習指導要領も改訂され、さらに「教科用図書検定規則実施要領」も改められました。この「実施要領」が改められることによって、検定申請をする際に添付して提出する書類の「編修趣意書」の記載事項が変わり、教育基本法第2条の「教育の目標」との対照を具体的に記載するものとなりました。そのことによって、教科書改善に資することが期待されましたが、しかし検定において事実上何ら点検が行われなかったこともあって、平成23年の採択に供された検定合格の教科書は、「つくる会」の教科書等、一部を除いてほとんど無視したものとなり、教育基本法改正に基づく教科書改善はみごとに裏切られました。このような反省に立って、採択にあたっては、教育基本法を順守しているか、学習指導要領に準拠しているかについて、改めて厳しい査定を行うことが一層大事なのです。

全国の都道府県、市町村にあっては、かつて平成18年の教育基本法改正に向けて、議会で教育基本法改正の要望を決議したところが多数ありました。そのような決議を行った都道府県・市町村にあっては特に改正教育基本法の趣旨に沿って教科書採択が行われなくてはなりません。

特に歴史・公民の教科書は、改正教育基本法に関わるところが大きく、採択のための絶対要件を定め、教育基本法の順守、および学習指導要領の準拠の度合いに対して、比較段階評価を行う必要があります。平成27年に行われる採択の前の平成26年度までに作成して公表することを、首長、議会、教育委員会に求めていかなければなりません。


陳情などに慣れていない方のために、下記に具体的な文例をを披露します。


資料③ <教育委員会に対する陳情書(または請願書)の文例>LinkIcon

資料④ <議会による決議文の例(決議要請のための請願書にも応用可能)>LinkIcon


また、平成25年2月26日、「つくる会」宮城県支部より、宮城県議会に提出された「中学校で使用する歴史・公民教科書の採択に関して宮城県教育委員会の指導強化を求める請願書」<資料⑤>LinkIconは模範となるものです。  


これらを参考になさってください。一人から始められる採択戦は、もう始まっています。





教科書の検定・採択制度と教育委員会制度等の改善提案

はじめに

いわゆる「従軍慰安婦」を堂々と掲載するまでに至り、自虐偏向の極みとなった中学校社会科・歴史教科書を正すために平成9年に結成された「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)は、まず手本となるべく歴史教科書を独自に作成し、平成14年度使用開始の初版発行以来これまで都合4回(公民は3回)の検定を受け、発行してきた。

中でも平成22年度使用開始教科書は、平成18年の教育基本法改正を受けて平成20年3月に改訂されたばかりの新学習指導要領の内容を他社に先駆けて取り入れた。しかるに、他社の教科書は、制度的には許されるものではあるが、それまでの教科書を継続発行したものであった。また「つくる会」は現行版(平成24年度使用開始)教科書においては、さらに内容を充実したものを世に出した。


しかしながらさまざまな理由で実際の教科書供給数は僅少であった。その最大の理由は、いかに教育基本法や学習指導要領が改正・改訂されようと、文部科学省の検定から採択の現場に至る各段階において、法令の適用は形骸化され、顧慮されず、必ずしもその理念が浸透・定着されなかったからである。

そのような遺憾な現状を調査研究し、解決策を提言するべく、「つくる会」はすぐさま組織内に教科書採択推進委員会(通称「第2委員会」)を設け、昨年6月に報告書『平成23年 中学校社会科(歴史・公民)教科書検定・採択の実態ならびに「教科書検定・採択制度の問題について」改善のための提案』(内部資料)をまとめた。

その中で、今後の教科書改善運動のための処方箋を2~3列挙した。第1には、個別に教育委員会の教科書採択に当たっての取り組み姿勢を改めさせることの重要性は変わらないが、何といっても文部科学省検定制度の欠陥を公開するに如くはないと指摘した。


そうした中、「日本を取り戻す」を主要理念とし、教育再生を目指す安倍晋三総裁率いる自民党の教育再生実行本部が起動し、さらには第2次安倍内閣における教育再生実行会議が民主党政権下で停滞・後退した教育再生の諸課題を迅速に、力強く検討を開始した。我々はこのことに大いなる共感と賛意を示すものである。


今後深まって行く審議に期待を込めて、すでに多くの識者や自民党・政府部内で検討俎上に挙げられていることも含め、「つくる会」として以下のとおり提言・処方箋を列挙する。


第1章 教科書検定制度

教科書は教育基本法の下にある。しかしそもそも教育基本法自体が占領憲法の支配下にあるのであり、ここにこそ解決されるべき根本的・政治的課題があるが、本論では当面の現実的解決策を提起する。 

  • (1)検定基準の見直し・・・ 教科書の検定基準を論ずる上での最大の問題は、社会科(歴史・公民)に顕著である。特に中学校歴史教科書において、自虐史観の跋扈を許す淵源である検定基準における「近隣諸国条項」の撤廃を最優先課題とする。端的な一例は「南京事件」の取り扱いをめぐる自由社教科書の執筆者と教科書調査官との交渉に表れている。さらに教育基本法や学校教育法あるいは学習指導要領との関係を謳っているものの、極めてあいまいな運用である現行検定基準に対し、点検すべき事柄の具体化、詳述化を求める。しばしば問題になることは、教育基本法における5つの教育目標のうち、各教科各分野において特に強調されなければならないものがあるにも拘わらず、現状では検定の上で漏れてしまう目標項目がある。例えば社会科公民的分野における「我が国と郷土を愛する」や「公共の精神」等であるが、それらは検定基準に明記すべきと考える。  
  • (2)小中高学習指導要領の発展的連続性確保・・・ 自虐度を増す高校教科書は極めて由々しい問題である。教科書の中身は小・中・高と、当然のことながら子供の発達段階に応じて深化していくべきところ、むしろ記述を省略されたり、ますます自虐偏向の度合いが強められていったりするなどということは、学習指導要領の不備といわなければならない。例えば「天皇」の取り扱いにおいて、小学校学習指導要領では「理解と敬愛の念を深める」とあるが、中学校、高校においては規定がない。規定が見当たらないからといって、「理解と敬愛の念を殺ぐ」記述であってよいわけではない。発達段階ごとに規定を変化させることは当然の配慮であるが、それは質的に深化していくものでなければならない。現行では単に簡略化するのみで深化の形跡がなく、さらに憂慮すべきはその簡略化が教科書の自虐偏向の原因になっていることである。  学習指導要領は大綱でよいという論議があるが、そうではなく教科書に記述すべき共通の標準的項目として、その発展的連続性を持ってより詳細に明記すべきと考える。
  • ★歴史・公民教科書における具体的項目の例
    • わが国の歴史の誇るべき特色、華夷秩序、農民一揆、日支事変、沖縄集団自決、沖縄基地問題、琉球差別、日韓併合、靖国問題、戦後補償問題、ロシア革命、共産主義、ファシズム、国家の役割、宗教、神話、天皇、国旗国歌、自衛隊・国防安全保障、エネルギー政策、日本国憲法、東京裁判と占領政策(GHQ、WGIP)、領土主権問題、拉致問題、人権・人種差別問題、アイヌ差別(ポストコロニアル理論)、外国人参政権、愛国心、公共の精神、家族、等々。なお南京事件や従軍慰安婦などはむしろ書かないほうが正しい。
  • (3)編修趣意書の形骸化防止・・・ 編修趣意書の徹底的審査と指導実施を求める。編修趣意書を検定に先立って提出させることの意義は、各社がそれを準備することによって教育基本法の目標を各々の教科書のどの記述に具体的に反映するか、事前に確認するためだと期待される。それはつまり教科書執筆者側に何を教科書に盛り込むべきか、その記述の課題を指示しているはずである。しかしながら実際は教科書会社によるこじつけ、牽強付会を放置した状態にあり、文部科学省による指導は一切ない。そもそも「編修趣意書の記載項目」自体が現在は、教育基本法第2条の5つの教育目標を単に示すのみである。確かにそれは全教科において実現すべき目標ではあるが、教科ごとに見ればそれぞれ特色があり、実現すべき重点目標は異なって当然なのである。そこで提案であるが、学習指導要領には教科別目標が示されており、これをもって編修趣意書の記載基準とすれば少しはましになるのではないか。このようにしても形骸化がおさまらないようであれば、いっそのことこの様な無駄な作業を強いることなく、厳格な検定審査一本に絞ってもよい。
  • (4)学習指導要領の遵守・・・ 教科調査官が作成した学習指導要領に対し、検定を実行する立場にある教科書調査官が必ずしも学習指導要領に準拠していないように思われることがあり、そのことがそもそもの問題なのである。調査官は専門職として高度な学識経験が必要なことは当然であるが、多くの調査官が交代することなく長く留任している。しかしそれが検定における属人性の元となりやすくしており、また惰性化、固定化を招く隙ができる要因となっている。そこで教科書調査官の人選と任期に関し、メスを入れるようにしたい。国会への報告事項にするのも改善案の一つとなろう。
  • (5)検定における「学説」の位置づけ・・・ とかく教科書調査官が依拠する「学界の通説」は必ずしも真実ではないことを指摘したい。例えば「南京事件」や「いわゆる従軍慰安婦」が絶えず論争になる。平成25年4月10日参議院予算委員会で中山成彬委員が質問して、「南京事件」は実在しないことが国会でも明らかにされたが、平成25年2月に検定合格した高等学校の歴史教科書では、依然として「南京事件」はあったものとして、巨大な虐殺人数を示したものがあった。このような教科書が検定合格するのは、近隣諸国条項の問題のほか、教科書調査官が「学界の通説」を根拠にしたことに原因がある。教科書には真実を書かねばならないはずであり、教科書の執筆者は自らが責任を持って正確な検証を経て記述内容を決定すべきである。しかしそれでも通説によらなければならないときがあるとすれば、対立する学説のあることも明記しておくべきである。複数説ある場合は、確定事実の記載を原則とし、その他の論評を記す場合には、その根拠を執筆者自身が明示したうえで両論併記すべきである。
  • (6)教科書検定の透明化・・・ 教科書調査官の検定調査意見や審議会の議事概要の公開に関しては、平成20年12月25日付検定審報告で、「申請図書、調査意見書、判定案、検定意見書、修正表、見本、議事概要及び教科用図書検定基準等を備え、閲覧に供する。」と規定する範囲で、平成21年度小学校検定時から実施されるようにはなったが、調査官の職歴(学問上の見識を判断する素材の一つ)はweb非公開である。また調査意見書等はweb公開ではなく教科書センターで閲覧する形式であり、容易に調べられるようにはなっていない。調査官の職歴と調査意見書のweb公開は早急に実施されたい。
  • (7)検定調査審議会の仕組みの改善・・・ 現在の教科書検定調査審議会の運営規則によれば、審議会の議決は部会の議決をもってし、その部会決議はその下の小委員会の議決とすることができるとなっているため、審議委員同士の幅広い見識からの検討が行えないようになっている。つまり少人数の教科専門委員の意見が、他の専門委員からの批判や意見交換を交えることもなく、そのまま審議会全体の最終的な意見として審議会決定にまで持ち上がっていくことになっている。これでは特定の少人数の専門委員の属人的偏見があれば、そっくり温存されるままである。こうした規定は至急に改められるべきである。さらに加えて審議会委員の任命は国会承認事案としてもよい。


第2章 教科書採択制度

  • (1)採択の公開性確保、教育的視点の重視・・・ 教育委員会はどのような教科書を地域の児童生徒に使わせたいか、教育的視点に立ち、採択年度に先立って採択方針を定め、採択基準・観点の明示をおこない、それらに基づき採択選定資料の充実を図るべきである。適正な基準は議会での審議を求めることによって、より一層の公明性が確保できる。このように早い段階から採択基準を明示する意味は、教科書執筆者に対して、より良い教科書作りを求めることにある。見本本を基に作成する採択選定資料は、予め定めた採択基準に従って適正な評価を記載したものであるべきで、技術論的、横並びでおざなりな字句の羅列は認めてはならない。実のところ誠に遺憾ながら、当委員会が調査した範囲でも怪しげな採択資料の例は枚挙に遑がない。また教育委員会審議過程は各委員の発言内容も含め、最大限公開すべきであり、また迅速な議事録の作成を義務付けなければならない。各地域の教育委員会にそれらの実行を督促するためには、住民による陳情や請願で議会を動かし、教育委員会の意識改革を不断に行うことが肝要である。
  • (2)採択審議期間の確保と採択決定方法・・・ 各地教育委員会による採択決定は8月末までに行うことになっているが、中には7月中に早々に決めてしまうところがある。採択決定時期を終盤まで遅らせることにより、教育委員にじっくりと教科書を読み、研究する時間を多く与えるべきである。またしばしば行われる運動家による威圧に備えるために無記名投票にする方法もある。ただし責任回避にならないように工夫すべきである。
  • (3)広域採択制の法的整合化・・・ 地方教育行政法と無償措置法の関係を整理し、法的整合性を図る。地方分権に名を借りた地域独自性を強調する教育委員会があるが、国民の教育における責任が国にあることは当然である。これにより未だに膠着状態にある八重山(竹富島教委)問題の再発防止を図るべきである。
  • (4)教科書寡占状況の是正・・・ 現行の4年ごとに一斉に行われる教科書採択は、教科書を実際に使用する生徒にとっては不親切な制度である。つまり入学から卒業までに教科書が替わる生徒が半数出ることになる。生徒の側からすれば入学から卒業まで同一の教科書を使用できるようにすべきである。逆に言えばそうした弊害を避けるためにという便法で、一つの教科書を長く継続的に採択し続けることになり、結果として特定の教科書の寡占体制が維持されている。そうだとすれば教科書替えは新入生に対して年度替わりの都度、一つ上の学年とは異なる教科書を採択していくことにより、全体として使用教科書の平準化が進むことになる。その様にすれば大手の教科書供給会社が多年に亘り市場を占有する弊害が除去されよう。教員にとっても一定の刺激が与えられ、自ら幅広く研鑽する契機ともなるはずである。
  • (5)教科書展示会の改革・・・ 教科書PDF(画像化)による公開を図る。これにより往々にして交通不便な展示会場に通うための煩わしさが軽減され、国民の多くが随時教科書を目にすることが容易になる。また検定を受けず訂正申請だけした教科書であっても直ちに最新版を見ることができる。
  • (6)見本本教科書の市場販売・・・ 検定合格し、採択に供される教科書は、現行制度では「見本本」としてそのままの形では市販できないものとなっているが、この段階でも販売価格を付し、市販できるようにすれば、国民にとって教科書が身近なものとなり、教育の発展に資すると考えられる。また新規参入会社にとっては、広く国民に知らせる効果が得られるため、大いに活用できる。前項の教科書PDF化と同等の効果が得られよう。
  • (7)教科書公開討論会の開催・・・ 平成23年夏の名古屋(「歴史教科書を考える名古屋市会議員の会」主催)と東京(NPO法人「日本政策フロンティア」主催)における教科書公開討論会のようなものを、より多くの地域で実施するよう啓発する。公益社団法人・日本青年会議所や、一般社団法人・教科書協会などが公平に進めていってもらえるよう制度化することが望ましい。
  • (8)私立学校における採択情報の公開・・・ 私立学校にける教科書採択は個別独自に行われている。これまで長期間に亘り、検定済みとはいえイデオロギー色の濃い教科書が使われてきている。それは教育委員会の指導からいわば聖域化しており、野放図な状況にあるからであり、その上各地域の採択状況を把握する困難性があるからである。利用者が各地の教科書供給会社ごとに拾い集める仕組みであるが、公表していない供給会社もあるため、収集が不完全である。このため利用者にとって、学校ごとあるいは教科書会社ごとの採択教科書の比較研究が極めて困難である。本来情報が集約される文科省主導で一括公開を制度化するようにしたい。
  • (9)公立高校の教科書採択の透明化・・・ 各校の選択に任されている慣習があるが、本来は教育委員会の方針に従うべきである。採択結果も各校別に公表されていない点では、前項私立学校同様、文部科学省または各教育委員会で取り纏めて公表すべきである。(注:東京都教育委員会の例においては、辛うじて教科書の採択校数統計はH/Pで公開されているが、全国的には極めてまれである。)


第3章 教育委員会制度の改革(地方教育行政制度の改革)

大津市のいじめ自殺問題や大阪市立高校の体罰事件など、学校における不祥事が発覚するたびに対応の遅れが指摘されて久しい。教育委員会の構造的問題解決は積年の課題である。教科書採択という行為は教育行政の一要素であるが、問題の本質は変わらない。すなわち「教育委員会制度」全体の深刻な空洞化、形骸化である。以下に教育長や教育委員会の体質改善策を掲げるが、根本的には教育行政の実働組織である「教育委員会事務局」に焦点を合わせた施策がより肝心なことである。以下、教育委員会の改革については種々の考え方を提示することとする。

  • (1)首長による教育長任免罷免・・・ 選挙で選ばれた行政の責任者たる首長の意向と、教育委員会委員の任命権が重なっていないことから生じる教育行政のねじれに対し、すでに自民党の教育再生実行本部や内閣の教育再生実行会議の提案でなされているように、非常勤の教育委員長ではなく常勤の教育長を教育行政の責任者として明確にし、教育長の任免罷免権を首長に集中し、行政の一元化を図るべきである。
  • (2)教育長の外部登用と外部評価制度の導入・・・ 横浜市では平成15年に市教育委員の6人のうち半数が入れ替わった。このうち教育長には文部科学省の企画官を招いた。この教育長が中教審方式を導入して作った「横浜教育改革会議」は、「26の提案、160の具体的方策」を市教委に提言するなど実効性を発揮した。このように外部登用、外部評価制度には組合癒着の排除効果が期待される。
  • (3)教育委員会の体質改善・・・ 問題の根幹は教育委員会の閉鎖性と事務局への依存体質である。これを打破するために、現行制度を維持する中での対策としては、教育委員にレイマン(素人)あるいは単なる地元の名誉職ではなく、教育に見識のある人材を登用することも考えられる。教育委員の勤務体制は非常勤から常勤とし、報酬の適正化を図ることも必要である。あるいは(1)項で述べたような抜本的体制変革のため、教育長の下の第三者機関・諮問機関にすることもよい。いずれにせよ公募民間委員による住民世論反映、政治的中立そして教育行政の継続性確保を図らねばならない。
  • (4)国の教育権の明記・・・ 地方教育行政といえども国家の行政の範疇にあり、最終的には国の責任の下で行われるものでなければならない。国の教育権を法令に明記することは、日教組主導による国家解体につながりかねない「教育の自治」の主張や、地方分権の美名の下の国民国家統治機構の弱体化を抑制する意味がある。ただし施設の規格化、あるいは硬直した全国一律主義は好ましくない。
  • (5)教育審議会構想・・・ かつて教育の再生は使命を終えた教育委員会制度の解体から始まるとして、穂坂邦夫元志木市長が提案した教育委員会を審議会に変えて特区を設けて実現しようとする案は、葬り去られた経緯がある(穂坂邦夫『教育委員会廃止論』弘文堂 平成17年 参照)。教育委員会制度の全面改革は国会での法案審議に時間を要するようなので、教育審議会制度を特区で早期着手されたい。


第4章 教科書出版

  • (1)拡大教科書の作成負担軽減策・・・ 「教科書バリアフリー法」(障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律 平成20年6月成立)によって、教科書供給会社は拡大教科書を個別需要に応じて発行しなければならないが、負担が過大である。ここでは教育のデジタル化の是非を問うものではないが、教科書のデジタル化の進展と特別支援校でのIT機器の使用により、視覚障害のある児童生徒にも、普通一般と同一の教科書が提供できる。その様に改善を図ることにより、教科書会社にとって負担が大きい割に効果の低い拡大教科書の発行は止めるべきである。
  • (2)見本本のデジタル配布による出版経費緩和・・・ 現行制度では仮令教科書採択数が少数であっても、全国の教育委員会宛てに15,000部ほども発送しなければならない。このため弱小出版社にとっては経費負担が過大であり、教科書市場の新規参入障壁ともなっている。デジタル画像発信に代えられるならばこの問題は大幅に改善されよう。
  • (3)見本本の配布費用の公費負担・・・ 前項のデジタル配布が認められないものであるならば、公費負担で見本本を各地教育委員会宛てに配布すべきである。
  • (4)教科書教師用指導書の記述の実態調査と指導・・・ 検定に合格した教科書であっても、裏では教師用指導書の中身において、教育基本法や新学習指導要領に反するような自虐的授業法を指南しているものがある。それでは一体何のための検定であったのか分からなくなる。文部科学省主導で実態調査を行い、指摘しているような事案に対しては強い指導を求めたい。
  • (5)副教材の総点検・・・ 副教材は学校を管理する教育委員会や業者によって教育現場に提供されているものであるが、その選択に当たっての組合介入また業者癒着の問題が存在する。そうした公的に認知されたものとは別に、「“危ない教科書”から子どもたちを守る教科書研究会」作成の『解毒の棚』、あるいは、「子どもと教科書全国ネット21」編『育鵬社教科書をどう読むか』、また、『横浜学校労働者組合「もうひとつの指導書」編集委員会』発行の『新しい歴史教科書(自由社版) もうひとつの指導書』などのように、教員向けに特定の教科書に対する言われない誹謗を含む文書の供給が行われている。こうした学校外部からの妨害活動を許さず、教育現場から排除すべきである。また、公式な副教材であってもなお営業過程における不正取引等がないように監視すべきである。


第5章 入学試験問題

巷間指摘されるように、入試における偏向自虐問題に関し、入試問題を作成する側からは、検定済み教科書に載っているからという名分を持ち出しては責任を転嫁し、また教科書を作る側からは有名校で入試によく出るからという理由で自虐偏向記述を正当化しようとする。一方教員は受験に役立つからという口実で入試問題を無反省に指導するなど、悪しき他者依存、無責任の循環関係がある。こうした悪循環は断ち切らねばならない。

  • (1)大学入試センターの改革・・・ まずは独立行政法人・大学入試センターの試験問題から改革を行い、連鎖式に教科書記述や授業指導も改善されることを期待する。作問の基準点検、作問者の人選について明確化を求める。全国学力調査の作成(国立教育政策研究所)の例に倣ってもよく、あるいは学習指導要領を作成した教科調査官によって作成されてもよい。
  • (2)私立学校入試問題の改善指導・・・ 現在は入試問題を見るためには、各学校に有料で資料請求することになっている。取り寄せる側の受験生(保護者)ほか受験関係者は内容を批判的に読む目的ではない。このため、外部の目が行き届かず聖域化しがちである。時折露見する私立学校における偏向した入試問題に鑑み、これを遍く公表することを通して、正常化を目指さなければならない。


第6章 教員養成、研修と指導

どのように優れた教科書が教育委員会で採択され、学校に配給されようと、それが生かしきれるかどうかは教育現場の教員の熱意、力量、資質にかかっている。言い換えればどのように自虐偏向した教科書であっても、指導する教員が児童生徒に問題の所在を発見させることによって、正しい理解を深めることも可能である。そうした観点を踏まえ以下に処方箋を列挙する。

  • (1)国旗国歌の尊重義務・・・ 自虐教育を行う教員は往々にして国旗国歌などの歴史認識が偏狭で自己主張に過ぎ、しばしば闘争的態度をとる。そこまでではないにしても国旗国歌を習っていない現役教員が存在する。これでは児童生徒に正しい指導ができない。どの国でも行われているように国旗国歌を尊重することは教員養成の段階でも習熟させるべきである。それでもなお管理職の職務命令に違反する教員に対しては、東京都や大阪府で果断に実行されているように、懲戒処分も含め指導を行うべきである。
  • (2)教員免許の更新と研修の充実・・・ 平成19年の教員免許法の改正で、平成21年より教員免許の更新制が取り入れられ、更新に当たって講習が実施されることになった。このような更新制度はややもすると形骸化し、単に業務の増加に終わる虞があるので、常に注意を払って行う必要がある。平成24年に自民党教育再生実行本部から提案されたものに、大学の教職課程修了時には「准免許」を授与するものとし、正式採用に当たっては1~2年のインターンシップ制度を設ける、という提案があるが、教員の質を高めるために考慮すべき提案といえよう。
  • (3)特別教員免許状制度の積極的活用・・・ 特別免許状制度、あるいは構造改革特別区域法に基づいて市区町村教育委員会が特別免許状を授与することを可能とする規制の特例措置(「特例特別免許状」)を大いに活用し、校長にも人事に関する裁量権を与え、地域の優れた人材の登用ができるようにする。
  • (4)保護者による教員教育力評価・・・ 授業参観を地域により開かれた形にし、学校運営委員会、学校運営協議会を常に活性化させる。市民が嘱託職員として授業を支援する学校教育支援者制度の創設により、効果を発揮した鹿嶋市の例も参考にすべきである。
  • (5)教員組合による政治活動規制、選挙違反摘発・・・ 地方公務員の地位保障の手厚さに守られ、逸脱行為が糾されない背景には、教育委員会の要職に教職員組合の幹部が就くことで、組合活動が地方教育委員会に黙認・庇護されていることがある。山梨県では教育委員会人事が山梨県教組に握られている。教育委員会と教職員組合の癒着の事例はこのほか、北海道教職員組合の指令による生徒の虐め事件の隠蔽、大分県の管理職登用に関する汚職事件、最近では滋賀県大津市の中学生自殺事件の隠蔽など、数多く指摘できる。さらに山教組による政治資金集め、北教組幹部らの国会議員への政治献金問題、そうした多数の事例に鑑み、罰則規定のない地方公務員法(第36条)、教育公務員特例法(第21条の4)の改正をもって旧弊を断つべきである。
  • (6)全国一斉悉皆学力調査実施と結果の公表・・・ 抽出方式から、再び全員参加型に復活した学力テストは、とかく競争を避け、温室環境に浸る日教組的偏見を矯正することができる。結果の公表方式に関しては、現在は市町村別成績や学校別成績の公表は禁じられてはいるが、教員に対する資質向上への動機付けが一層図られよう、原則すべて公開させるべきである。
  • (7)大学の教育学部改革・・・ 大学の教育学部がイデオロギー注入の場と化し、左系教員の拡大再生産を通じて日教組教育を支えてきた。長期的施策としては、戦後GHQにより解体された師範学校のようなもので教員養成を行い、また道徳教育に加え、人間教育の原点とも考えられる宗教教育も必修化する。 

以上


上記提言集は下記の者が作成した。

新しい歴史教科書をつくる会
教科書採択推進委員会(第2委員会)

委員長  福地惇(副会長)
委員   石原隆夫(理事)
委員   小山常実(理事)
委員   篠原寿一(会員)
委員   空花正人(会員)
事務局  清原弘行(会員)

平成25年8月28日更新