つくる会ニュース|新しい歴史教科書をつくる会

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拡 大 臨 時 総 会 を 開 催

次期歴史・公民教科書制作事業の継続を確認

新顧問に元文科大臣の中山成彬氏が就任

 新しい歴史教科書をつくる会は、10 月31 日(日)、東京・品川シーズンテラスカンファレンス会議室において、拡大臨時総会を開催しました。  この度の集まりは①この夏に行われた自由社『新しい歴史教科書』の採択戦の総括報告、②「不正検定」問題について自由社による国家賠償請求訴訟の提訴の報告、③次期(令和5年春)教科書検定に向けての教科書制作事業の3つが主題で、会員の皆様と認識を共有し、組織の意思統一をはかることを目的に開催されました。
あいにくの雨となりましたが、総会には全国から約70 名の会員が参集し、各議題において熱心な議論が展開されました。  まず、高池勝彦会長の開会の挨拶で、この度、顧問に元文科大臣・前衆議院議員の中山成彬氏が就任されたことが発表されました(中山新顧問からは総会に丁重なメッセージをいただきました)。また杉原誠四郎顧問からは挨拶の中で、この度の自由社による国賠訴訟について強いエールをいただきました。
 また、令和3 年度(6 月)より新たに理事に就任頂いている茂木弘道、松木國俊の両氏からは、それぞれ当会の教科書運動への取り組みへの力強い決意表明がなされました。
 その後、諸橋茂一理事の議事進行のもと、各議案が審議されました。皿木喜久副会長から採択報告を、藤岡信勝副会長が不正検定問題の経過を総括しました。また、澤井直明三多摩支部長は、各社教科書の「訂正申請」の問題について特別調査報告を行いました。この調査は現在も継続中であるため、新たに判明してきた事実も多数含まれており、参加者も「不正検定」問題に直結する内容に熱心に耳を傾けていました。国賠提訴については、高池会長と荒木田修理事より詳細な説明がなされました。
 次期教科書制作については、歴史教科書の代表執筆者として、藤岡副会長より編集方針などの具体的提言がなされ、公民の代表執筆者小山常実理事からは、メッセージで決意表明がされました。その後、制作にかかる予算などについて越後俊太郎事務局長から見通しが示された上で、諸橋議長が歴史・公民両教科書の制作事業の継続について、出席者に正式に承認を求め、全会一致で可決されました。
 参加会員からは各テーマにおいて質疑応答や意見表明もなされ、限りある時間の中でも非常に実りのある会議となりました。ご出席いただいた会員の皆様には改めて感謝申し上げます。そして、本総会をもって、全会員が一つになって次回教科書制作、そして採択に向かう事が確認されました。会員・支援者の皆様には、令和5 年春の検定、そして令和6年夏の採択に向け、なお一層のお力添えを賜りますよう、心より御礼申し上げます。
 本総会の詳細については、次『史』1 月号にてご報告いたします。


自由社が国家賠償請求訴訟を提訴

文科省の令和元年度検定を「違法検定」として

国に加え中前・村瀬両教科書調査官、黒沢歴史小委員長も被告に

 『新しい歴史教科書』を発行する自由社は、9月21日、文科省の令和元年度検定において「違法検定」がなされ、その結果著しい損害を被ったとして、遺失利益など計1200万円を求めた国家賠償請求訴訟を提訴しました。
 被告は国(上川陽子法務大臣・9月21日時点)に加え、検定の実質的責任者である中前吾郎主任教科書調査官、村瀬信一教科書調査官(自由社担当)、黒沢文貴教科書検定審議会社会科部会歴史小委員長の個人三氏となります。
 自由社は訴状において、中前吾郎と村瀬信一両被告が、共謀のうえ、一発不合格制度を適用して自由社を不合格にすることを企て、検定意見を水増しし、合計405件にまで検定意見を積み上げたとしました。さらに黒沢文貴小委員長については、水増しされた検定意見であることを知りながら、同小委員会を主導して405件の一発不合格の検定意見を決定したとし、三氏の検定における違法性を訴えました。
 また、その証拠として、ダブルスタンダード事例を含む50件の違法検定意見を提出しました(下記リンクからご覧ください)。
 自由社の教科書を推進する当会は、当然ながらこの提訴を強く支持し、今後全面的なバックアップをしてまいります。
 会員・支援者の皆様におかれましては、なお一層のお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。

 違法検定一覧1~30
 違法検定一覧31~50


雑誌『正論』掲載の「安藤論文」に反論

文科省に都合のいい「印象操作」の論調に断固抗議

『正論』編集部、当方の反論掲載を理由なく拒否

 新しい歴史教科書をつくる会は、雑誌『正論』9月号(7月下旬発売)で、編集部・安藤慶太氏執筆の不正検定問題に関する論文(以下「安藤論文」)が掲載されたことに対し、9月10日にそれについて全面反論し、抗議の意を示す声明を発表しました。
 「安藤論文」は、当会の訴える「不正検定」に疑義を示し、つくる会側は挙証責任を果たしていない、と断じています。また31件の「ダブルスタンダード事例」についても都合の良い7件のみを取り上げ、それをもって文科省の検定に不当性はないと結論づけています。
このように「安藤論文」は文科省側に都合のいいように「印象操作」していると言わざるを得ず、これを看過すれば当会や自由社の名誉、信用を不当に失墜させることになります。そのため、8月初旬に『正論』編集部に対し10月号で当会の反論を掲載するよう申し入れしましたが、何の理由も示さないまま掲載を拒否されました。以上の経緯から、この度の反論声明となった次第です。
会員、支援者の皆様におかれましては、今回の反論声明の趣旨について何卒ご理解いただき、引きつづき当会の取り組みにお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。
なお、自由社にて検討されてきた国家賠償請求訴訟ですが、9月下旬の提訴で決定しましたことを併せて報告いたします。

雑誌『正論』9月号の安藤論文に反論する

-「言論の自由」と雑誌『正論』編集部の誤り-

令和3(2021)年9月10日
新しい歴史教科書をつくる会



●「正論」路線に反する論文

 保守系オピニオン雑誌として知られる雑誌『正論』(産経新聞社発行)の9月号(7月末発売)に、産経新聞記者で同誌編集委員の安藤慶太氏による「『つくる会』の迷走を憂う」という論文が掲載された。これは、産経新聞社の「自由と民主主義」を守る「正論」路線に沿って創刊されたオピニオン誌『正論』の伝統と名声を汚す論文である。名指しで批判された「新しい歴史教科書をつくる会」はこれに反論し、安藤論文の誤謬を正すとともに、『正論』編集部の教科書運動への裏切りの経過を明らかにする。

つくる会が推進する『新しい歴史教科書』(自由社)が、文科省による教科書検定で「一発不合格」処分を受けたのは、令和元年12月25日のことであった。つくる会では内部討論を経て、令和2(2020)年2月21日に記者会見を行い、この事実を公表した。この方針に基づき、各方面の言論・報道機関に役員が手分けして働きかけることとし、保守系言論誌3誌は、2月末発売の4月号で一斉に自由社の検定不合格問題を取り上げる結果となった。

まず、『正論』には、つくる会から副会長の藤岡信勝、理事の高森明勅が寄稿し、産経新聞客員論説委員の石川水穂氏、前愛媛県知事で元文部省大臣官房長の故・加戸守行氏の論文が掲載された。雑誌『月刊Hanada』には、藤岡信勝の論文が掲載され、雑誌『WiLL』には、皿木喜久、藤岡信勝の両副会長が寄稿した。

●「文科省擁護=つくる会批判」に転向

その後、『月刊Hanada』と『WiLL』は文科省批判の論調を貫いてきたが、独り『正論』だけはそのスタンスを百八十度転換し、4月末発売の同誌6月号で、何と「本誌編集部」の署名入りで、「『つくる会』教科書不合格/文科省批判と再検定要求の前に」と題する論文を掲載したのである。その内容は明らかに文科官僚の言い分を聞き取って書いたもので、つくる会側への問い合わせや取材は一切なかった。4月号と6月号の間に何があったのか。

この時点で、『正論』編集部は、文科省擁護=つくる会批判の路線に転換したのである。これは『正論』もその一翼を担ってきた「自虐史観」などの歪みを克服しようとする教科書改善運動への裏切りであり、歴史問題・教科書問題での左翼勢力への屈服である。ただし、これを産経新聞社全体の立場と混同してはならない。

「本誌編集部」論文が出てすぐに、つくる会側は抗議声明を発するとともに、翌月号でつくる会側からの同一枚数の反論文を掲載することを求めた。この時は、田北真樹子編集長はつくる会側の反論文の掲載を認めた。同誌7月号(5月末発売)には、藤岡信勝副会長が執筆した「正論編集部の『つくる会』批判に反論する」が掲載された。この論文は、編集部論文が教科書検定制度を全く理解していないこと、その上に立って的外れな議論を展開していることを論証したものである。

ところが、この同じ号の『正論』で、藤岡副会長の論文のあとに、田北編集長の署名入りで、「自由社歴史教科書に関する正論編集部の考え」と題する一文が掲載されたのである。これは全くのルール違反である。まず、『正論』読者の側から考えてみよう。前号の『正論』を読んだ読者は、次の号に反論が出るまで1か月の間、反論に接することが出来ない。だから、田北氏が藤岡論文にさらに反論があるなら、次の号に書くのが筋なのである。ところが、田北編集長は、みずから同誌の編集長であるという立場を特権的に利用し、ひと月待ちきれずに、編集部の言い訳を書いてしまったのである。

●つくる会批判の勝岡論文を特別扱い

さらに『正論』誌には、10月末に発売された12月号に、勝岡寬次氏の「文科省は『不正検定』に手を染めたのか」が掲載された。勝岡論文は、つくる会による「不正検定」の主張を真っ向から否定した。しかも、その論文は目次では論争的な性格の他の論考と同じグループとして扱われていたが、他の論文のちょうど倍に当たる16ページを特別に与えられていた。(なお、勝岡論文をめぐるいきさつについて、詳細は新しい歴史教科書をつくる会のホームページを参照していただきたい。)

 藤岡副会長と杉原誠四郎顧問(元つくる会会長)は連名で、『正論』に勝岡論文と同じ紙幅の反論文の掲載を田北真樹子編集長に求めるメールを送った。田北氏は1週間もの間回答を遷延したあげく、掲載を拒否する旨の回答をメールで送ってきた。他者を批判する論文を掲載しておきながら、批判された側の反論権を否定するとはオピニオン誌の自殺行為である。

そこで、本来『正論』の2021年1月号に掲載されるべく執筆された文章は、都合上藤岡副会長単独の名前で、『月刊Hanada』編集部のご好意により、同誌2021年1月号に掲載された。しかし、これによって、問題は本質的には少しも解決していない。なぜなら、『正論』の購読者には、批判されたつくる会が勝岡氏の批判を受け入れたのか、それとも拒否したのかは全く分からないからである。これは『正論』の読者に対しても、さらには批判者の勝岡氏に対しても失礼なことである。

●田北編集長がつくる会の「反論権」を否定

その後、この関係の記事は『正論』からは途絶えていたが、このほど、再度、編集委員でもある安藤慶太氏の署名入りでつくる会批判が再開されたことになる。これについて、つくる会側は反論の掲載を要求したが、田北編集長は再度これを拒否した。つくる会事務局とのやり取りのメールのポイントのみ引用すれば、以下の通りである。

○つくる会事務局長越後俊太郎より田北編集長あて<8月4日17時>
この内容は、一部の事例のみを挙げて反証することで「つくる会」の主張を全否定する構成となっており、文科省に有利に「印象操作」することを意図したものと言わざるを得ません。これを放置すれば、当会および自由社の信用・名誉棄損にもつながり、日本の教科書改善運動に重大な影響を及ぼしかねません。
つきましては、貴誌10月号において安藤論文への反論を当会として同ページ数(10ページ)で書かせていただきたく申し入れます。
自由社会において反論権の保障は必須の条件であり、当然ながら、当会の反論をお認めいただけるものと信じております。また、万が一反論記事掲載を拒否するということなら、公然と「言論封殺」を行ったことになりますので、この経過を、本メールを含めて公開します。

○田北編集長より越後事務局長あて<8月6日11時>
8月4日に越後様から、月刊正論9月号に掲載した正論編集部、安藤慶太編集委員の論考が「新しい歴史教科書をつくる会」及び自由社の名誉・信用を傷つけるものであり、弊誌10月号に反論文を掲載させよとのお申し出を頂戴いたしましたが、これには応じかねますので、ご理解くださいますようお願いいたします。
このように、田北編集長はつくる会側の反論を何の理由も述べる事なく拒否した。しかも、注目すべきことは、当方が安藤論文は「『新しい歴史教科書をつくる会』及び自由社の名誉・信用を傷つけるもの」であると指摘したのに対し、本来「それには当たりません」などと言うべき立場にあるはずなのに、一言も否定する言葉を述べていないということである。これは重要なポイントである。このように何の理由も反論もせずに、「ご理解いただきたい」と言われても理解のしようがない。
編集長が反論を拒否したということは、その時点で、掲載した論文に自信がないこと、論争すれば勝ち目はないことを認めたのと同じことである。『正論』読者は、一方的な論説をあてがわれてプロパガンダの対象とされたのであり、愚弄されたのである。『正論』編集部は、おそらく「編集権」をタテに主張してくるのだろうが、編集権は「言論の自由」のルールを破ることを正当化するものではない。
一般論として言えば、どんな団体でも個人でも、言論によって他者を批判する自由はある。ただ、自由な言論を基盤とする社会では、必ず守らなければならないルールがある。それは批判された側の「反論権」を保障することである。他者を批判してもよいが、批判された他者に反論することを保障し、決して口を封じるなどのことをしてはならない。むしろ、相手の反論を積極的に慫慂するというのが言論人のあるべき作法である。このことを、18世紀フランスの哲学者ヴォルテールは、「私はあなたの意見には反対だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」と表現した。これは批判する側が守るべきルール、マナー、心構えを述べたものだが、これを批判された側から見れば、「反論権」の主張になるのである。「反論権」を公然と否定する者は、そもそも言論人としての資格要件を欠いているのではないか。

●批判に頬被りし「つくる会」を中傷

さて、以下は安藤論文の中身の検討に入るのだが、その前に言っておかなければならないことがある。すでに述べたとおり、つくる会側は、昨年6月の「本誌編集部」論文が「一発不合格」制度がどういうものか、何一つわからないままに文科省の官僚の言い分を述べたもので、次の号ではつくる会側から完膚なきまでに論駁されてしまったのである。だから、その編集部の一員たる安藤氏は、教科書検定について何か書くのであれば、必ずそのことに触れなければならない、論理的・道義的責任を負っていた筈である。

ところが、安藤論文には、そういう意識のひとかけらもない。安藤氏=編集部は、『正論』を、真理や議論の妥当性を探究する言論誌ではなく、誰かの利益を代弁するプロパガンダ機関に変質させたのである。これを、『正論』を育ててきた多くの産経人、同誌に寄稿して来た多数の言論人はどう考えているのだろうか。

安藤論文は冒頭で、つくる会が推進する『新しい歴史教科書』が令和元年度の再申請検定に合格したことについて、次のように書く。(以下、安藤論文からの引用は【 】で括る)【つくる会が教科書づくりを通じて歴史認識や偏向教育、果ては日本の外交や国の在り方をめぐる戦後レジームが抱える矛盾を次々とあぶり出してきた実績を考えると、活動の根幹となる教科書づくりの灯が消えずに済んだことは良かったと思っている】

ところが、その直後に、安藤氏は次のように続ける。
【ただ、私の気持ちはどうにも晴れない。それは彼らが依然として自由社版教科書を不合格にした前年度(令和元年度)の教科書検定を「不正」と断じ続けているからである】【つくる会の実績を認め、これまで取材を続けてきた私はこの一年の活動の低迷を憂慮している。不合格処分を文科省の悪意による画策劇によるものだと決めつけたことによるもので、本来の会の姿からは懸け離れてしまってそれを解せない思いで眺めている】

「この一年の活動の低迷」とは具体的には何を指すのか不明である。これはつくる会への中傷である。「本来の会の姿」とは、どういうことかも分からない。もちろん、「一発不合格」がなければ、もっと別の形の活動ができたかも知れないということは言えるだろうが、そういう状態をつくり出したのは他ならぬ文科省であってつくる会ではない。安藤氏は結論を先取りして、つくる会の「迷走」(論文タイトル)なるものをデッチ上げる本末転倒を行っているのである。だから、つくる会の活動実績を評価しているかのように述べた冒頭の一文は、単なるカモフラージュに過ぎないことがわかる。

●こじつけ検定を「見解の相違」で擁護

では、令和元年度検定で自由社に対する「不正検定」があったのかなかったかという本題に入ることにしよう。安藤氏は「不正検定」を証明する責任(挙証責任)はつくる会側にある、と述べている。当然である。つくる会側はその挙証責任を果たしている。昨年4月には、100件に絞って問題点を指摘した『教科書抹殺』(飛鳥新社)を刊行し、今年5月には、『教科書検定崩壊!』(飛鳥新社)を上梓して31件の「ダブルススタンダード事例」を提出した。これらには一部重複があるから、単純な足し算はできないが、少なくとも100件を超える事例について、それが「不正検定」であることを論証しているのである。このように当方はすでに立証したのだから、それに納得できなければ、安藤氏はそれを反駁して不正ではないことを論じればいいだけの話である。

安藤氏は、このうち、『教科書抹殺』について、【「不正検定」であるとつくる会が主張する百件の事例を列挙した『教科書抹殺』は一読したが、これは不正というよりも、調査官の歴史認識との単なる「見解の相違」ではないか、と思われる個所ばかりだった】と言う。恐るべき発言である。

いくつかの事例をあげよう。令和元年度教科書検定で文科省は、自由社の教科書が、1949年の出来事として「中華人民共和国(共産党政権)成立」と書いたのを、「生徒が誤解するおそれのある表現」だとして検定意見をつけ、「欠陥箇所」に仕立て上げた。坂本龍馬が土佐藩を通じて徳川慶喜に大政奉還を働きかけたことも、「誤解するおそれ」があるとして欠陥箇所とされた。『魏志倭人伝』の記述を引用して、「盗みをしない」「争いの少ない社会」と書いたのに対し、「生徒が理解し難い表現」であるとして欠陥箇所とされた。「仁徳天皇 世界一の古墳に祀られている」も「誤解するおそれ」があるとされた。

これらはすべて、自由社を落とすための言いがかりであり、どれも「見解の相違」ですまされるような問題ではない。こうした数々の事例に接しても、安藤氏は何の憤りも覚えないらしい。こんな恣意的なダメ判定は公正中立であるべき文科省という行政がやってはならない不正行為である。

●1件でもあれば自由社への検定は「不正検定」となる

次に、『教科書検定崩壊!』に掲載された31件の「ダブルスタンダード事例」の問題に移る。令和元年度の検定終了後、令和2年の6月に教科書採択が始まり、各地で検定済み教科書が一般向けに展示されるようになったので初めて調査が可能になったのが、「ダブルスタンダード事例」(以下、「ダブスタ事例」と呼ぶ)なのである。31件は、令和3年3月末日までに判明した件数であり、今後も精査を続けていけば新たに発見される可能性がある。

この「ダブスタ事例」について安藤氏は反論したが、反論件数は全31件のうちわずか7件にすぎない。しかも後述するように、その7件の反論すら、ほとんどが的外れのものである。安藤氏は、【「ダブスタ事案」は31件に及ぶ。すべてをここで紹介はしないが、こんな具合だ】と言う。これはごまかしである。「こんな具合だ」でお茶を濁すことは許されない。31件のすべてについて不正検定ではないと論証する義務が安藤氏にはあるからだ。

もう一度言う。安藤氏が文科省による「不正検定」を否定する立場に立つのであれば、そのすべての事例について論理的・実証的に否定し尽くす義務がある。文科省の立場は、官僚の「無謬性神話」に基づき、ただの1件も不正はなかったと主張しているのだから、1件でも反論に失敗したら、直ちにその主張は崩壊することになるのである。だからこそ、その重圧にたえきれずに、「教科書調査官は泣いた」(『月刊Hanada』7月号参照)のである。

つくる会側は『正論』で「不正検定」はなかったと主張した勝岡氏にも、すべての事例について反論するように求めたが、勝岡氏はその義務を未だに果たしていない。安藤氏も同様にその義務を果たしていない点で勝岡氏と同じ穴の狢である。

安藤氏は用心深く、【つくる会側の個々の主張に多少、説得力を感じる点はあっても、・・・】と書いているが、ではそれはどこなのか明示しない。安藤氏は、【それをもって「不正検定」の証拠と断じることは困難と言わざるを得ない】などと締めくくっているが、根拠のない断定であり、論理的に無意味な言辞である。要するに、自分に都合のいい一部の事例に反論したからといって、「こんな具合だ」といって全体に反論したかのように誤魔化すことは許されないのだ。

以上の事態を理解する助けとして、安藤氏が反論していない事例を一つだけあげてみよう。ロンドン海軍軍縮条約で決まった、米英日の補助艦比率を10:10:7と書いたところ、日本の比率は7ではなく、6.975であるという理由で検定意見をつけられ、欠陥箇所の烙印をおされた。しかし、そもそも、中学校の教科書でコンマ以下3桁まで書かせる意味は皆無である。ここからして文科省はどうしようもない愚かで不当な行為をしているのであるが、これは自由社を落とすための明白な「ダブスタ事例」でもある。なぜなら、日本文教出版、帝国書院の教科書にも自由社と同様に10:10:7と書かれているのだが、両社には何の意見もつけていないからだ。こんな不正行為を見れば、並みの正義感や良心を持っている普通の日本人なら、「文科省は何をやっているのだ」と怒りを覚えるのではないか。安藤氏は人並みの正義感や良心すら持ち合わせていないのだろうか。

●「世界遺産」マークと「復元」表記の要求をめぐって

 では、安藤氏が自分の都合にあわせて取り上げた7件の「ダブルスタンダード」事例について、それが反論として成立するかどうかを検討してみよう。以下、安藤氏が言及している順序に従って事例の通し番号をつける。なお、事例に与えたタイトルは安藤氏とつくる会でズレがあるが、安藤論文への反論なので、今回は安藤氏のネーミングに従う。

【事例1 エルサレム】
自由社の教科書の「エルサレム」というタイトルの写真(p102)に世界遺産マークがついていないとして、欠陥箇所とされたケースである。これは単純なことで、文科省側の全く議論の余地のない誤りに過ぎない。そもそも、エルサレムは都市名であって、「エルサレム」は世界遺産に登録されていない。エルサレムの中の城壁などの建物群が世界遺産に登録されているのである。これは、京都の個々の寺院が世界遺産に登録されることはあっても、京都という都市全体が世界遺産に登録されるわけはないのと同じことである。問題はこれで決着がついているのであるが、安藤氏はこの論点を単に【つくる会側は「エルサレムは都市名に過ぎない」などと反論し】と言及しているだけで、その主張についてはただの一言も反論していないのである。

話は以上で尽きているが、あえてこれを「ダブスタ事例」31件に含めたのは、教育出版(p99)にもエルサレムというキャプションでほぼ同じ写真が掲載されているにもかかわらず、そちらには何の意見も付けられていないからである。この指摘に対し、安藤氏は教育出版の場合、教科書の冒頭部分で「エルサレム」の写真を掲載し、そこで世界遺産マークを付けているから、ここは付けなくていいという文科官僚から聞き出した屁理屈を持ち出して解決したつもりになっている。そんなことは教育上の見地から見てナンセンスな言い分である。子供は教科書の内容を隅から隅まですべて覚えているという、不自然で空想的な前提に立たなければ成り立たない議論だからだ。その証拠に、教育出版は採択後の訂正申請で、p99の写真にも世界遺産マークをつけることを申請し認められている。安藤氏の説明はこうした事実によって、完全に破綻していることが証明できるのである。

【事例2 元寇の防塁跡】
自由社(p81)が掲載した写真について、「復元」と書かれていないことを理由に欠陥箇所とされたケースである。これについてこの遺跡を管理している福岡市に問い合わせたところ、復元などの表記は不要であるとの回答を得た。管理している自治体が不要としているものを教科書に書かせるというのもおかしな話である。

つくる会はこのケースについて、教育出版(p74)、山川出版社(p82)も同様の写真を掲げているのに、「復元」の文字がなく、それなのに検定意見が付いていないのは「ダブスタ事例」であると訴えてきた。安藤氏は、「実際は二社にも検定意見がついている」と反論した。両社に付けられた検定意見を精査して見ると、当該ページではなく、それ以前のページに同類のケースがあり、関連して当該のページにも触れていたことがわかった。安藤氏はあたかも自分で見つけたかのように書いているが、そうだとすれば異常な執念である。

【事例3 長屋】
江戸時代の長屋の写真に「復元」の文字がないことを咎められたケース。学び舎にも同じ写真があるのに、検定意見が付けられなかったことをつくる会は「ダブスタ事例」として批判してきた。
これについて、安藤氏は【建物を紹介した体裁になっていれば検定では復元表記を求める。建物内の個々の設備にまで復元表記は求めない、という運用ルールがある。自由社に意見がつき、学び舎に付かなかったのはこのためだ】と説明しているが、理解不能である。そもそも、そんな運用ルールがあるなら公表すべきであり、そうすれば検定意見の件数を減らすことが出来るだろう。つじつま合わせに、事後的に持ち出した「運用ルール」ではないかという疑いが強い。運用ルールの存否については文科省に問い合わせ中である。なお、同じ説明は、参議院文教委員会で松沢成文議員の質問に対して文科省側からなされていたが、国会テレビの視聴者の中に理解出来た者はいなかっただろう。

●文科官僚の後付け論理の破綻  【事例4 坂口安吾】
「開戦を聞いた文化人の声」というコラムに、作家・坂口安吾の小説「真珠」に出て来る日記から、「必ず空襲があると思った。…」を載せたところ、「引用された史料は小説である」として欠陥箇所とされたケース。ところが、東京書籍でも島崎藤村の「破戒」という小説のあらすじを紹介していることから、つくる会が「ダブスタ事例」であると主張して来たものである。
文科省の代弁者・安藤氏は、【検定意見の趣旨は「小説を史料として紹介するならば、読み手の生徒が作品の一部だとわかる体裁で紹介するべき」というものだ】と反論する。しかし、つくる会側は<「真珠」は事実をもとにした「エッセイ」と言ってよく、日記に近い。それゆえ、「史料が公正でない」とはいえない>と反論したのに、安藤氏は、それはスルーしている。議論になっていない。

【事例5 仏教伝来の年】
仏教伝来について自由社が552年と書いたのが欠陥箇所とされたケースで、理由は「現在の学説状況」とされたもの。文科省の真意ははっきりしないが、二つの可能性が考えられる。
①538年説が現在の学説の主流である
②538年説と552年説の両方を提示すべきである
各社の記述は次の通りである。○は検定意見が付かなかったもので、×は検定意見が付いたものである。
「6世紀前半」(育鵬社)・・・○
「6世紀前半」(学び舎)・・・○
「6世紀半ば」(東京書籍)・・・○
「6世紀半ば」(山川出版社)・・・○
「552年」(自由社)・・・×
これは、矛盾だらけである。まず、文科省の立場が?であるとすれば、東京書籍、山川出版社も×でなければならない。文科省の立場が②であるとすれば、全社が×、すなわち検定意見を付けなければならない。
それなのに、安藤氏=文科省は、【他社は年代を特定した表記を避けており、許容されたに過ぎない】という、わけのわからない反論をする。「6世紀前半」(育鵬社、学び舎)は552年説を排除する。552年はもはや「前半」ではないからである。検定意見がつかなかったのは、文科省が①説に立っている場合に限られる。
ところが、他方、文科省検定は「6世紀半ば」(東京書籍、山川出版社)も許容する。これは明らかにおかしい。①の立場と矛盾する。加えて、「6世紀半ば」とは552年説を指しているのであり、538年説は排除される。538年説支持示するなら、やはり「6世紀前半」としなければならない。おそらく文科省は自由社を落とすために、具体的な年次を明示したのが自由社だけだから欠陥箇所とした、という詭弁をあとから考え出したに違いない。しかし、その論理は完全に破綻している。

●またしても教科書検定制度への無知を露呈  以上の事例につき、安藤氏は、各事例の最後に、聞き捨てならない言辞を弄している。次のような記述である。

○事例1,2,3について・・・【つくる会側はこれらを不正の根拠として挙げ、反発しているが、一方で令和2年度の再申請においては全て指摘を受け入れている】
○事例4について・・・【再申請では坂口の記述自体が消えており、自社の記述の欠陥を実際には認識していたのではないだろうか】
○事例5について・・・【自由社自身、再申請では側注で「538」説に触れるよう加筆し、「552」説と併記して検定の指摘を受け入れている】
○事例6(後述)について・・・【自由社も再申請でこれを受け入れたが】

信じられないほどの愚かさだ。安藤氏は『正論』令和2年6月号の「本誌編集部」論文でさらした教科書検定制度についての無知をもう一度さらす結果になった。教科書検定は国家権力を背景にした行政処分であり、いったん検定意見がついた以上、一箇所でもそれに従わない箇所があれば全部が不合格となってしまうという仕組みなのである。だから、検定意見に納得しようが納得しまいが、何らかの修正をしない限り検定合格はあり得ないのである。(「検定意見」という言葉は、このような絶対的な権力性をぼかす極めてミスリーディングな用語である。)

上記引用のように、安藤氏は不合格となった翌年の再申請検定で自由社が指摘箇所を修正したことを、あたかも自由社が検定意見を受け入れたかのように書く。まるで教科書会社に検定意見に従わなくてもよい選択肢があるかのような、まことにノーテンキなことを書いて、自説の補強として3回も繰り返す。教育記者として、こうした無知をさらすことを恥ずかしく思わないのだろうか。

一方で、安藤氏は【必然的に再申請の対象となった申請図書は元年度検定と2年度検定が手続きとしては連続したものとなる】とも書いている。当然ながらこれは正しい。これを理解しているなら、先の引用のようなことを書くはずはない。つまり、安藤氏は、自分の書いていることの意味がまるでわかっていないか、わかっていて知らない振りをして書いているかのどちらかである。

●学習指導要領違反を問われた事例

以下の2件は、学習指導要領違反を問われた点で、共通性がある。

【事例6 「欧米諸国の接近」は近世か近代か】
 中学校社会歴史的分野の学習指導要領は歴史を「古代までの日本」「中世の日本」「近世の日本」「近代の日本」「現代の日本と世界」の5つの時代(大項目)に区切っており、各章ごとに3~6箇の中項目、さらにその中項目の中に身につけるべき小項目を割り振っている。小項目はさらにいくつかのトピックからなる。

 問題の「欧米諸国の接近」は「近世」で小項目として扱うよう示してある。ところが同じ学習指導要領の「近代」のアには「欧米諸国における市民革命や産業革命、アジア諸国の動きなどを通して、欧米諸国が近代社会を成立させてアジアへ進出したことを理解させる」とある。つまり、「欧米諸国の接近」の事実は「近世」で扱い、その背景は「近代」で扱うといういのが学習指導要領の構成となっているのである。

 しかし、これはわかりにくい。事実を時系列に組み替えて、<産業革命・市民革命→アジア諸国の動き→欧米諸国の日本接近→開国とその影響>と並べた方が生徒にとってはるかに理解しやすい。このように考えて令和元年度検定にあたり「欧米諸国の日本接近」の教材を近世の末尾ではなく近代の冒頭に移して書いた教科書会社が3社あった。日本文教出版、帝国書院、自由社である。

 3社ともこの部分のトピックは、外国船の接近、異国船打ち払い令などほぼ同じで本質的な違いは全くない。どの社も先に述べた理由で学習指導要領が指示する内容の配置を変えただけであり、この程度の変更は本来認められてしかるべきである。

 ところが令和元年度の文科省検定は、自由社に対しては「学習指導要領の示す内容に照らして、扱いが不適切である」という検定意見を付けたのに対し、日本文教出版、帝国書院には何の検定意見も付けなかった。明瞭なダブルスタンダードである。

 これに対し安藤氏は【指導要領は近代の記述を始めるにあたって、近世に立ち戻ることを一定許容している】と述べ、「近代」に「近世」の内容を書くことが許されていると示唆する。だがそんなことは指導要領にもその解説にもまったく書かれていない。いや、もしそのような「内規」があったとすれば、なぜ自由社の教科書にのみそれが適用されず、意見がついたのか、ますます疑問を抱かざるをえない。

 さらに安藤氏は【自由社の場合、章[注①]のタイトルが「欧米諸国の接近」となっていた。この項目は近世の中で取り扱うことが指導要領に明記されている】と、自由社にのみ検定意見を付けた理由を述べている。他の2社はこうしたタイトルをつけていないからオーケーだったと言いたいのである。しかし、先に述べたように、記述内容は3社ともほとんど変わらない。安藤氏は、内容は同じなのにタイトルだけで1社のみに意見を付けるという筋の通らない不正を擁護しているとしか思えない。
 *注① 「章」は「単元」の間違い。

●破産した後付けの合理化

だが、この議論も実は成り立たない。文科省著作の「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」には、「外国船の接近」という言葉が近世の内容として明記されている。近代に置かれている「外国船の接近」(日本文教出版)、「外国船の接近」(帝国書院の小見出し)はどうして違反しないのか。さらに訊く。帝国書院には「天保の改革」が近代の中の小見出しに入っている。これは学習指導要領が近世の内容として明記する「幕府の政治改革」に当たることに疑問の余地はない。自由社が検定意見をつけられたのだから、帝国書院も検定意見を付けられるべきではないか。

要するに事情はこうだ。教科書調査官は自由社を落とすことが方針として与えられていて、そのために自由社のあら探しをしたのである。そうして見つけ出したのが、近世で扱うべき内容を近代に移動しているという難クセだった。ところが、「ダブスタ事例」として告発されてしまったので、後知恵で、第一の一般論をデッチ上げ、第二の区別立てを、自由社を差別するための屁理屈として考え出したというわけである。しかし、それは完全に破綻していることが明白になった。

安藤氏がこの事例をわざわざ取り上げたということは、文科官僚がしくじったと思って気にしていることを意味する。そこで安藤氏は文科官僚の代弁をしてうまく言いつくろったつもりのようだが、実際は反対に文科官僚の傷口を拡大してしまったというわけだ。

【事例7 聖徳太子と厩戸王】 自由社は、本文で聖徳太子について、「聖徳太子は皇族の一人として生まれ、古事記や日本書紀では厩戸皇子などとも表記されています」と書いた。これに検定意見が付き、学習指導要領に規定されている、<後に「聖徳太子」と呼ばれるようになったことに触れること>という指示に反するとされた。
ところが、育鵬社も本文で「このときに摂政となり、馬子とともに推古天皇を支えたのが、幼いころからすぐれた才能を示し、蘇我氏と血縁のある皇族の聖徳太子(厩戸皇子)でした」という記述にも検定意見がつけられてしかるべきなのに、ノーマークでパスしている。「ダブスタ事例」である。
これに対し、安藤氏=文科省は、【後の頁で】、【日本書紀の記述を実際に紹介しながら、「聖徳太子」が後の時代になってそう呼ばれたことを明記しているので意見がつかなかった】と書いている。そういうことが認められるのなら、自由社も後の頁に掲載された聖徳太子に関するミニ年表で、「574 聖徳太子(厩戸皇子)誕生」として、本来の名が「厩戸皇子」であることがわかるように書いているので、その要件は満たしているのである。

●自由社への差別を裏付ける新たな事実の判明

 令和元年度の教科書検定は、歴史的分野で自由社の教科書を「一発不合格」にすることが、文科省の基本方針であったと考えざるをえない。教科書調査官は、自由社以外の他社の検定では、ろくに中身を見ることもしなかったと思われる事実がある。

教科書検定が終わり、採択が済むのが翌年の8月である。ここからさらに翌年4月の使用開始までの間に、教科書会社は、文科省に対し訂正申請を提出することができる。情報開示請求によって、全社の歴史教科書の教科書会社から提出された訂正申請表を見て驚いた。令和元年度の検定で、東京書籍は僅か21件の検定意見が付けられただけなのだが、訂正申請された箇所は、386箇所にも及んでいたのである。これらの訂正箇所のなかには、国が誕生したり消滅したりするなど、客観的事情の変更を反映したものもあるから、そのすべてとは言わないが、誤記誤植や事実の間違いなども多数含まれており、当然検定意見が付くべきものも数多く含まれているのである。

同様に、日本文教出版は検定意見24箇所に対し、訂正申請564件、教育出版にいたっては、検定意見38件に対し訂正申請が実に702箇所もある。これらのことを見れば、自由社に対していかに過酷で執拗な検定が行われたか、それに比し他社の教科書には大甘の検定おこなわれたという実態が浮き彫りになるのである。なお、これらのデータは、今後その内容を精査して明らかにしていくつもりである。

●安藤氏は自己の発言に責任を負わねばならない

安藤氏は【「不正検定」との主張を頭から否定しているわけでは決してない】などと言いながら、【不正を裏付けるような証拠は今に至るまで示されていない】と断定する。しかし、ここで安藤氏が「証拠」といっているのは、平成12(2000)年度の検定で暴露された野田英二郎事件のような下手人を挙げるという意味であり、【「不正検定」というには、誰がどのような「悪意のある画策」をしたのか、それが決定的に重要である】などと書いている。

そんなことはない。令和元年度検定はいわば「成功した野田英二郎事件」であり、司令塔が必ずいただろうが、検定意見の不正を証明するだけで不正の論証としては十分なのである。職務上の責任を問われるのは、教科書調査官7人と検定審議会委員14名である。その氏名はすでに特定されている。

安藤氏の文章には官僚や政治家のお墨付きを得て、自分のバックには巨大な権力があるのだといわんばかりのおごり高ぶりが見える。しかし、安藤氏はどんな大義のために文章を書いているのだろうか。そもそも、安藤氏が現代の日本における「教科書問題」をどのように考えているのか訊きたいものだ。

教科書問題とは、教科書の内容が自虐的であり、左翼偏向しており、日本人が自国に誇りも愛情も持てなくするような教育をしているということが問題ではなかったのか。『正論』はそのために、数十年にわたって論陣を張ってきたのではなかったか。その動きの中心に安藤記者もいたのではないか。その片鱗もうかがうことのできないのが、今の安藤氏である。安藤氏の論文を読めば、安藤氏にとっての「教科書問題」とは、杜撰な編集をする教科書会社があって、文科省の皆さんが困っている、ということらしい。

いずれにせよ、安藤氏は自己の発言に責任を負わねばならない。新しい歴史教科書をつくる会は、安藤氏と公開の場で討論することを公式に申し入れる。言論人として、一方的に他者の批判をしながら、相手の口を塞ぎ、公開の場での討論からも逃げまくるというのでは、言論人としての資格がない。そういうことは社会的に絶対許されないものであることを安藤氏は認識しなければならない。

『正論』安藤氏を招いて緊急シンポジウム(9.21)開催予定

 今回の声明発表と併せて、当会は『正論』編集部安藤氏に公開討論を申し込みます。9月21日(火)17時30分より、東京・憲政記念館において安藤氏を招いて開催する予定です。ふるってご参加下さい。


定時社員総会・講演会開催中止のお知らせ

 5月15日(土)に東京で予定しておりました、定時社員総会ならびに教科書完成記念講演会は、東京都の緊急事態宣言の延長を受け、万一のリスクを考慮して中止が決定しました。
 ご出席予定の皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご海容のほど、お願い申し上げます。
 なお、総会対応については該当する会員の皆様に別途お葉書でご案内申し上げます。また、講演会は新型コロナウイルスの感染拡大状況が予測不能でもあることから延期ではなく、中止とさせていただきます。ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

教科書から「慰安婦」記述の完全削除を

管内閣の答弁書閣議決定を受け文科大臣に申し入れ

採択現場にあっては「慰安婦」記述のある教科書の不採択を

 管内閣による「従軍慰安婦」に関する答弁書の閣議決定(4月27日)を受け、新しい歴史教科書をつくる会と慰安婦の真実国民運動(以下国民運動、代表加瀬英明)は、5月14日、萩生田文部科学大臣対し中高教科書から「慰安婦」の記述を完全に削除するよう申し入れを行いました。その後、文科省記者クラブで会見を行いました。会見には、髙池勝彦(当会会長)、山本優美子(国民運動幹事長)、藤岡信勝(当会副会長)、茂木弘道(国民運動常任幹事)が出席し、この度の申し入れの趣旨について説明しました。
 申入れでは、今回の答弁書閣議決定によって、「自虐史観」に関わる重要な問題の一角が崩壊したと評価しました。一方で「慰安婦」の記述が残ってしまったことに、「単に『慰安婦』と書かれようが、『自虐史観』を子供に刷り込むことになるマイナスの教育効果は実質的にはそれほど変わりません。」、さらに「戦場の性を教科書に書くべきでない」と、残る問題点に言及しました。そしてこの問題の根源となるのが、今回の閣議決定でも「河野談話」を踏襲してしまったことにあると指摘しました。
 その上で、①文科省に対して「慰安婦」関連記述の完全削除を、②採択の権限を持つ教育委員会には、「慰安婦」記述のある教科書の不採択を、③子供を学校に預ける父母ならびに一般国民には、そのような教科書を採択しないよう、声をあげ、関係者に働きかけるよう、それぞれ求めました。
なお、要望書全文は、「つくる会」HPでご覧いただけます。会員、支援者の皆様には、引き続きこの問題を注視いただきますよう、お願い申し上げます。




定時社員総会・講演会開催中止のお知らせ

 5月15日(土)に東京で予定しておりました、定時社員総会ならびに教科書完成記念講演会は、東京都の緊急事態宣言の延長を受け、万一のリスクを考慮して中止が決定しました。
 ご出席予定の皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご海容のほど、お願い申し上げます。
 なお、総会対応については該当する会員の皆様に別途お葉書でご案内申し上げます。また、講演会は新型コロナウイルスの感染拡大状況が予測不能でもあることから延期ではなく、中止とさせていただきます。ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。


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「従軍慰安婦」・「強制連行」の文言は不適当
菅内閣が質問主意書に対する答弁書を閣議決定!

<声明>「従軍慰安婦」・「強制連行」の文言に関する閣議決定を受けて

令和3年4月28日
新しい歴史教科書をつくる会

 菅内閣は4月27日、日本維新の会の馬場伸幸衆議院議員から出された質問主意書に対し、「『従軍慰安婦』という用語を用いることは誤解を招く恐れがある」とし、「従軍慰安婦」の文言を不適切とする答弁書を閣議決定しました。また、先の大戦中に、国民徴用令による朝鮮から日本本土への労務動員を「強制連行」と表現することについても、同様に不適当としました。
 今回の菅内閣の閣議決定は、長年にわたって続いてきた「従軍慰安婦問題」の局面を大きく変える転機となり得るものです。この問題に一貫して取り組んできた当会としては、この度の決定を心より歓迎し強く支持いたします。また、長年にわたってこの問題に関心を寄せ、当会の活動を支持していただいた多くの国民の皆様、国会質問や閣議決定に至る経過の中でご尽力いただいた与野党の国会議員の皆様に心より感謝いたします。
この閣議決定は、「従軍慰安婦問題」の解決に向けて大きな一歩を踏み出したものですが、今後直ちに取り組まなければならない課題が三つあります。
 第一に、文科大臣は、中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」を記述した山川出版社に対し、訂正勧告を出し、供給先の学校に対し、ページの差し替え等の措置を取るよう行政指導をするべきです。また、採択が進行中の高校「歴史総合」の教科書に対しても、文科大臣が訂正勧告をすることを求めます。
 第二に今回の閣議決定の論理からは、教科書に「従軍慰安婦」を書くことはダメだが、「慰安婦」ならよいという議論になりかねません。一般の歴史研究の対象として「慰安婦」を取り上げる場合とは異なり、学校で使う教科書に「慰安婦」を取り上げること自体が、教育上意味がないだけでなく有害です。このことを広く明らかにし、「慰安婦」の記述そのものを中学、高校の教科書から一掃する課題があります。
 第三に、この問題の根源となり、著しく国益を損ねた河野談話を撤回することが最終的な解決となります。
 これら三つの課題の解決を目指して当会は、今後も各方面に働きかける活動を粘り強く続けていきます。国民の皆様のご支援を引き続きお願い申し上げます。

令和3年4月28日配信

『新しい歴史教科書』(自由社)が検定合格
声明で全国の自治体・私学に採択の呼びかけ
令和元年度の「不正検定」問題、「従軍慰安婦」記述問題にも言及

3月30日、文部科学省は、『新しい歴史教科書』(自由社)の検定合格を発表しました。これを受けて新しい歴史教科書をつくる会は、3月31日に文科省記者会において会見を行い、下記の声明を発表しました。会見には、高池勝彦会長、岡野俊昭・皿木喜久・藤岡信勝の3副会長、荒木田修理事が出席しました。

今後は、1年遅れとなる採択戦に取り組むのと同時に、文科省による「不正検定」問題や中学・高校教科書の「従軍慰安婦」記述問題についてさらに各取り組みを強化してまいります。

会員、支援者の皆様には、なお一層のご支援の程、よろしくお願いいたします。

『新しい歴史教科書』検定再申請の合格報告と今後の課題

令和3年3月31日
新しい歴史教科書をつくる会

(1)当会が推進し自由社が制作した、中学校用『新しい歴史教科書』は、令和元年度の検定で「一発不合格」となりましたが、令和2年度に再申請した結果、3月30日の検定審議会で合格が決定しました。一度死んだ『新しい歴史教科書』は不死鳥のように蘇ったのです。この度の再申請を支持していただき、多大なるご支援を賜りました皆様に心より御礼申し上げます。 再申請検定に合格した教科書は、まさに「つくる会」24年の集大成となる教科書です。今後は、文科省の新しい規則に則り、夏の採択に向けて全国採択区や自治体、私学など関係各所に見本本を送付いたします。5月末には検定合格本として市販本も販売を予定しており、さらに6月には全国の教科書展示会が開催されますので、手に取ってご覧いただければ幸いです。
『新しい歴史教科書』の理念と内容に共鳴し、採択替えをする自治体や学校が数多く現れることを願っております。
 
(2)令和元年度検定に於ける自由社の『新しい歴史教科書』の「一発不合格」について当会は昨年2月より、処分は極めて不当であると訴えてまいりました。昨年6月以降、各社白表紙本(検定申請本)及び採択用見本本などをもとにさらに綿密な調査を行った結果、驚愕すべき事実が次々と明らかになりました。自由社で検定意見を付けられ欠陥箇所とされたのに、他社の同様の記述には検定意見を付けられずそのまま合格しているという事例が、本日までに実に31件も見つかったのです。当会ではこれを検定に於ける「ダブルスタンダード事例(ダブスタ事例)」と呼んでいますが、これほどのダブスタ事例を文科省はどう説明するのでしょうか。回答を求めていきます。
 昨年12月24日、株式会社自由社は、これらを理由に検定不合格は不当とし、文科省に対し行政不服審査請求を行いましたが、不合格処分後3か月という請求期間が過ぎているとして門前払いをされました。そこで同社は、不合格処分によって会社経営に甚大な損害を被ったとして、何らかの法的手段を取ることを検討しています。
 さらに、「文科省『不正検定』を正す会(加瀬英明会長)」では、今年5月に昨年同様に多くの国民の皆様にも参加いただき「不正検定」を正す新聞意見広告を企画しています。新しい歴史教科書をつくる会は、「不正検定」の全容解明を目指して、自由社と「正す会」の取り組みを全面的にバックアップしてまいります。
 
(3)中学校教科書「従軍慰安婦」記述復活問題は日本の将来にとって由々しきことです。ご承知のとおり、令和元年度検定において山川出版社の教科書の「従軍慰安婦」の記述は何の検定意見もつかずに合格しました。この件については当会と慰安婦の真実国民運動(加瀬英明代表)の連名で、3度にわたり大臣に記述削除の申し入れを行いましたが、過去2回は「ゼロ回答」となっています(3度目は3月31日を回答期限としています)。また、国政の場においても、本日までに各委員会で3人の議員が4回にわたって質問を行いましたが、萩生田文科大臣は自らの答弁をひたすら避け、また官僚も矛盾に満ちた答弁を繰り返すのみです。もはや「従軍慰安婦」の記述の正当性はどこにも見当たりません。文科省が検定の誤りを素直に認めて、文科大臣が早期に山川出版社に対し訂正申請の勧告を行うよう、今後も各方面と連携して取り組みを強化してまいります。
 一方で、山川に限らず、高校では「従軍慰安婦」記述がまだ多くの教科書に残る状況で、これは驚くべきことです。今後は高校も含めて、「従軍慰安婦」「慰安婦」の記述を徹底的に問題にして参ります。

(4)この「不正検定」問題と「従軍慰安婦」記述復活問題は、ともに令和元年度検定において発生しました。文科省の教科書検定の実態及び制度に、根本的な問題があると言わざるを得ません。例えば次のような事項を検討することが欠かせません。
1)検定審議会の議事録の作成と公開
2)教科書調査官の任用を国会承認事項とする
3)教科書調査官に任期制を設ける
4)「誤解するおそれ」などのあいまいな検定基準を廃止する
当会は文科省の教科書検定の体制・運用が抜本的に改革され、健全化することを目指して今後とも取り組んでまいります。
 国民の皆様のますますのお力添えをお願い申し上げます。   (以上)

令和3年4月4日配信

「従軍慰安婦」記述の削除を求め緊急集会を開催!
集会の様子は25日より「つくる会CH」で配信中

 新しい歴史教科書をつくる会と慰安婦の真実国民運動(加瀬英明代表)は、2月24日、山川出版社「従軍慰安婦」記述が検定に合格した問題について抗議の声を上げるべく、都内で緊急集会を開催しました。

 緊急集会には、これまで長く慰安婦問題に取り組んできた方々に加えて5名の国会議員も登壇し、「従軍慰安婦」という用語や文科省の検定制度など、様々な角度から今回の問題点を論じました。コロナ禍の中にもかかわらず150人という多くの参加者が集まり、登壇者が用語の問題性や検定の不当性について鋭い意見を述べる度に大きな拍手があがりました。最後の決議文朗読では、萩生田文科大臣に対して、今後も強く記述の削除を求めていくことを宣言しました。

 「従軍慰安婦」問題は、当会の教科書改善運動にとってもまさに象徴的な課題です。また、次回検定で他社の教科書への記述の広がりを防ぐためにも、今回の記述復活を是が非でも阻止しなければなりません。

 当会と慰安婦の真実国民運動は、この集会を契機とし、文部科学省に記述削除を求めてさらに強い取り組を展開してまいります。会員、支援者の皆様には一層のお力添えをお願い申し上げます。

 なお、集会の様子は、2月25日よりYoutube「つくる会CH」で毎日配信中です。ぜひご覧下さい。

緊急集会・決議文

<登壇者一覧>

加瀬英明(慰安婦の真実国民運動代表)/藤岡信勝(新しい歴史教科書をつくる会副会長)/山本優美子(国民運動幹事長)/高市早苗(自由民主党衆議院議員)/松沢成文(日本維新の会参議院議員)/山田宏(自由民主党参議院議員)/藤田文武(日本維新の会衆議院議員)/原田義昭(自由民主党衆議院議員)/大高未貴(ジャーナリスト)/西村幸祐(批評家)/ケント・ギルバート(アメリカ・カリフォルニア州弁護士)/鈴木正人(教科書をよくする地方議員の会会長)/三浦小太郎(つくる会理事)/ 原口美穂(つくる会CHキャスター)/諸橋茂一(つくる会理事)/茂木弘道(史実を世界に発信する会代表代行)/杉原誠四郎(つくる会顧問)/岡真樹子(女性グループ「花時計」代表)/高池勝彦(つくる会会長)     (敬称略)

令和3年2月26日配信

中学校教科書「従軍慰安婦」記述復活にSTOPを!
2月24日・東京で緊急集会を開催予定

文科省の令和元年度教科書検定において、山川出版社の歴史教科書に「従軍慰安婦」の記述に検定意見が付されずに合格しました。新しい歴史教科書をつくる会と「慰安婦の真実国民運動」(加瀬英明代表)は、これが教科用図書検定基準に違反しているとして、昨年12月と今年1月の2度にわたり、萩生田文部科学大臣に同記述削除の訂正申請勧告を求めました。

1回目の申し入れの回答は1月8日に届きましたが、まさに「0回答」で、私どもの求めに対しまともな回答をしていません。2回目の回答期限は2月18日となりますが、その後の政府側の発言の報道を見る限り、1回目の回答に沿ったものになる可能性が高いと思われます。

これを今放置すれば、3年後の検定でさらに他社の教科書にも「従軍慰安婦」の記述が復活していくことは目に見えています。この事態を回避するためにも、今回の「従軍慰安婦」記述を是が非で削除させなければなりません。

そこで当会は、下記の緊急集会を「慰安婦の真実国民運動」との共催で開催することといたしました。集会において「従軍慰安婦」教科書記述復活のもつ意味、またその背景にある問題点を整理し、参加者の皆様と事態打開にむけて決意を共有していきたく存じます。

会員、支援者の皆様におかれましては、コロナ禍の大変な時期ではありますが、ぜひともご参集の上、私どもと共に声を上げていただきたく、心よりお願い申し上げます。


<集会要領>

 ■日時 令和3年2月24日(水)17時30分開会(17時開場)
 ■場所 東京・憲政記念会館講堂
 ■参加費 1000円 *事前申し込みはいりません
 *この問題に取り組む言論人、国会議員、地方議員によるリレートーク方式で進行
 *当日の模様は動画で生配信する予定です。
 ■主催 新しい歴史教科書をつくる会 「慰安婦の真実」国民運動
 ■問い合わせ つくる会事務局 TEL:03-6912-0047

令和3年2月8日配信

Youtube「つくる会CH(チャンネル)」配信開始のお知らせ

この度、教科書問題をタイムリーにわかりやすく広げていくため、動画配信サイト「つくる会CH(チャンネル)」を立ち上げることになりました。
教科書をめぐる喫緊の諸問題について、それに取り組んでいる方々にご出演いただきます。
動画は原則毎日20時配信とし、手軽に見てもらえるよう5分程度のものとします。記念すべき第1回配信は、建国記念の日の2月11日午後8時、<教科書に「従軍慰安婦」はいらない>をシリーズでお届けします。
会として初の試みとなり、手探りでのスタートとなりますが、内容の充実を目指していきます。ぜひ、ご覧いただき、周辺にも広げていただくよう、お願い申し上げます。

<視聴方法>
ご自宅のパソコン、またスマートフォンなどで視聴可能です。Youtubeアプリか、検索サイトで「Youtube」を検索していただき、そのサイト内で「つくる会CH」を検索します。サイト視聴のための料金は発生しませんのでご安心ください。

令和3年2月8日配信

文科大臣は「従軍慰安婦」記述削除の訂正申請勧告を!
つくる会と「慰安婦の真実国民運動」が要望書

 新しい歴史教科書をつくる会と「慰安婦の真実」国民運動は、12月18日、共同で以下の趣旨の申し入れを萩生田光一文部科学大臣に対して行いました。
 <令和元年度の文科省教科書検定を通過した山川出版社の「従軍慰安婦」の記述は、「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解」及び「最高裁判所の判例」があるときは、それらに基づいた記述がされていること、という教科書検定基準に違反しています。そこで、教科書検定規則に則り、発行者に対し、「従軍慰安婦」の記述を削除するよう訂正申請勧告をすることを求めます。>
 その後、文科省記者クラブにおいて会見を行いました。会見には高池勝彦つくる会会長、加瀬英明国民運動代表、藤岡信勝つくる会副会長、山本優美子国民運動幹事長が出席しました。
 申し入れ書は、来年1月8日を締め切りとして文科大臣の回答を求めています。会員、支援者の皆様には、本件について文科省の対応を注視いただきますようお願いいたします。

<申入書>

■申入書の手交
手交.JPG

■記者会見
記者会見.JPG

令和2年12月19日更新

令和2年度「つくる会教科書」の採択結果について

令和2年12月8日


 (1)今年は平成9年の「新しい歴史教科書をつくる会」発足から23年目にあたり、通算6度目となる採択戦の年となりました。まず、この間長きに亘り当会の教科書改善にご賛同いただき、多大なるご支援をいただいてまいりました会員、支援者の皆様に心より御礼申しあげます。

 さて、その採択戦ですが、すでにご承知のとおり、歴史教科書は「一発不合格」処分を受けたために採択に参入できず、公民教科書のみ採択戦に臨むこととなりました。その結果、東京都市大学等々力中学校と岡山学芸館清秀中学校の2つの私立校で採択していただきました。採択数は合計で約270冊でした。この結果は不本意なものであり、本部の力不足・指導力不足は否めず、役員一同、これまでご支援をいただいた皆様に対し、大変申し訳なく思っております。


 (2)本部では前年の令和元年度より採択戦の準備に取りかかりました。前回までの採択戦で明らかになった事情を踏まえ、公立については、共同採択区ではなく、採択の責任の所在がより明確で首長の意思が働きやすい単独採択区での採択を重視して取り組みました。従って、全国の各支部が、(1)各都道府県で私どもの教科書に賛同していただける首長や教育委員を調べること、(2)共同採択区に属する自治体でも単独採択区に変更すれば採択の可能性のある自治体については単独採択区化を自治体に働きかけること、を主眼とする取り組みをお願いしてまいりました。また、私学対策では、各支部において、採択が有望な学校を最低1つ探し出し、そこに注力していくことを求めました。

 令和元年の秋には、会員の皆様に採択戦に関するアンケートを実施し、各会員が居住する自治体の首長や議会、教育委員などの状況把握を行い、それをもとに、全国支部代表者会議において採択戦へ向けた取り組みを検討いたしました。支部によっては、かなり具体的に単独採択区化への働きかけが進んでいるところもあり、期待をもてる状況でした。


 (3)ところが、こうした中、年末に『新しい歴史教科書』の検定不合格という全く予期せぬ事態が生起しました。この処分は極めて不当で、到底受け入れられるものではありません。その結果、歴史教科書を欠いたまま公民教科書のみで採択戦に臨むこととなったことが、本部や各支部における採択戦への取り組みに大きな負の影響を与えたことは否めません。

 前回、5年前の採択戦の後、保守系教科書の採択がなぜ伸びないのか、その根本的原因は「構造問題」にあるとつくる会は総括しました。私どもがどれだけ素晴らしい教科書をつくっても、残念ながら今の日本の教育界と政界には、それを受け入れる土壌がほとんどないのが実情です。つくる会の教科書を採択することは、多くの採択関係者にとってはリスク以外の何ものでもないのです。それが「構造問題」です。その厳しい状況をわかった上で、それでも私どもの教科書に賛同していただける首長や教育委員、私学関係者が現れることを信じて、この4年間取り組みを続けて参りました。それだけに、歴史教科書検定不合格のダメージは大きかったといわざるを得ません。


 (4)そのような状況下においても、私学2校に『新しい公民教科書』を採択していただきました。『新しい公民教科書』は、他社が共産主義を容認する立場から米中新冷戦の現実を隠蔽し、国家論や私有財産制だけでなく、家族などをどんどん扱わなくなる危機的状況の中で唯一、米中新冷戦の現実を描いて家族・私有財産・国家を原点から論じています。その教科書を2校が採択して下さったことは、「つくる会の灯」を消さずに保ったのみならず、日本の公民教育を首の皮一枚で救ったと言っても過言ではありません。2校の関係者の皆様には深く感謝する次第です。


 (5)他方、歴史教科書については「つくる会の灯」が消えてしまったのかというと、そうではありません。令和2年6月に検定に再申請し、目下、文科省において検定が行われております。令和2年度内には検定に合格することになるでしょう。日本政府が公的に認める「検定合格教科書」として存在すること自体に大きな意味があります。

さらに令和3年度には、「一発不合格」制度の導入に伴いつくられた新制度によって、全国の教育委員会が1年遅れで検定に合格する自由社の『新しい歴史教科書』の内容の調査をし、採択の俎上に載せることが義務づけられました。これは、実際に採択されるかどうかにかかわらず、つくる会の教科書を社会全体に知らしめる一つの大きなチャンスです。


 (6)令和元年度、文科省によって行われた『新しい歴史教科書』に対する「不正検定」問題については、再申請の検定合格後に一連の行動を取る予定です。文科省の責任を明らかにするとともに、教科書検定制度の抜本的改革を勝ち取るべく、さらに取り組みを展開してまいります。それに加えてつくる会は、歴史教科書を歪める根源となっている国内外の歴史認識に関する諸問題に自ら果敢に取り組むとともに、関連する諸団体のプラットホームの役目も果たしています。つくる会の存在意義は間違いなく、極めて大きいのです。

会員、支援者の皆様には今回の採択結果とそれをとりまく諸事情を踏まえた上で、今後も私どもの教科書改善運動にさらなるお力添えを賜わりますようお願い申し上げます。

つくる会、「文科省教科書検定の罰則規定導入に反対する声明」を発表

 新しい歴史教科書をつくる会は、11月12日、文科省の教科書検定に関連し、下記の声明を発表しました。
 会員、支援者の皆様におかれましては、何卒ご理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

文科省教科書検定の罰則規定導入に反対する声明

令和2年(2020年)11月12日
新しい歴史教科書をつくる会

 文部科学省の教科書検定審議会は10日、教科書会社が検定期間中に検定内容や検定結果を公表した場合、次回検定も含めて不合格にする罰則を設けるとの方針を決めた。これを報道した共同通信は「令和3年度の検定から適用する方針」と書いた。

 つくる会事務局が文科省教科書課に罰則規定の条文を請求したところ、共同通信の報道は勇み足であり、この件は方向を決めただけでまだ条文も出来ておらず、何も決まっていないと返答した。そこで、当会が共同通信に問い合わせたところ、担当記者の判断で書いたものであるとの回答を得た。

 結論を言えば、まだ条文化されるまでに至っていないが、基本方向を決定した段階であるということになる。教科書改善問題に携わってきた当会は、教科書検定にこのような罰則規定を導入することに強く反対する。

 文科省の方針決定の背景には、令和元年度検定で自由社の歴史教科書が「一発不合格」処分を受け、これを不当とするつくる会が、令和2年2月21日に文科省で記者会見を開き検定結果を公表した経過がある。

 この記者会見について文科省は、検定規則に違反するとして開催しないように圧力をかけ、会見後は自由社から始末書をとるなどしてきた。今回の決定は、こうしたことの「再発防止策」を検討した結果だと共同通信は報じている。しかし、文科省のこの問題に対する対処には大きな誤りや矛盾がある。

 第一に、自由社は、令和元年12月25日に、文科省初等中等教育局長の職印を押した正式な文書を受け取っており、そこには「下記の図書は・・・検定審査不合格と決定されましたので通知します」と書かれていた。この時点で自由社に対する教科書検定は完了しているのであり、つくる会が「検定期間中」に内容を公表したという非難は当たらない。

 他社の教科書については、教科書調査官との協議を経て、2月末から3月初旬にかけて最終修正表が確定し合格の内示を得ることが出来るが、正式決定は3月末の検定審議会であるから、それ以前に検定内容を公表することは確かに規則に違反するであろう。他方、「一発不合格」制度は令和元年度の教科書検定で自由社に対し初めて適用されたものであるから前例はなく、初中局長名で最終結果を通知している以上、自由社についての検定はその時点で完了したと解釈することに何の問題もない。

 第二に、自由社に対する「通知」の文面の末尾には、「なお、この決定について不服があるときは、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、文部科学大臣に対して行政不服審査法に基づく審査請求をすることができます」と書かれていたが、これは根本的な矛盾を含んでいる。行政不服審査の請求期間は、以下に検討するように、ほとんどその年度の教科書検定期間と重なってしまうからである。行政不服審査の請求は検定不合格に対する異議申立であるから必然的に検定結果を公表することになるが、他方で文科省は検定期間中の検定結果の公表を罰則規定まで設けて禁止しようとしているのである。

 令和元年度の自由社の例について検討するなら、12月25日の翌日から起算して「3か月以内」ということは、翌年の3月25日までが請求の期限だということである。ところで、年度ごとの検定結果は文科省が3月末ごろの検定審議会にかけて決定する。検定審議会の日程は公表されず、年度によって異なるが、一般的には3月末の年度末ギリギリの時期に開かれることが多い。令和元年度検定の場合は3月24日に検定審議会が開かれているから、新聞等で広く公表されたのは3月25日であった。そうすると、仮にこの「通知」をもとに行政不服審査を請求しようと考えたとしても、検定期間中であるから出来ないことになる。

 さらに検定審議会の日程は、4月にずれ込むこともある。現に『[改訂版]新しい歴史教科書』(扶桑社刊)の検定合格の決定日は、平成17年(2005年)4月6日であった。もし、今回の新たな罰則規定が施行されれば、「一発不合格」処分を受けた教科書会社は、「行政不服審査法」という法律で保障された不服審査請求権を実質的には完全に奪われるということになる。これは由々しき国民の権利の侵害である。

 第三に、「一発不合格」処分を受けた教科書会社がそれを公表すると、新規の罰則規定のもとでは「次回検定も含めて不合格とする」というのであるから、これはまさに、検定に異議を唱える教科書会社に対して二度と立ち上がれないほどの懲罰を与えるというに等しい処遇である。

 しかし、自由社の場合は、明らかな「不正検定」が行われたのであり、2月段階で公表して社会に検定の不当性を訴える以外に対抗手段が無いという状況のもとでなされた行動なのである。こうした、よくよくの事情があることを一顧だにせず、萩生田文科大臣は「検定期間中」であることを理由に繰り返し自由社を非難した。

 だが、国会で質問に立った日本維新の会の松沢成文参議院議員は、「教科書検定のプロセスが全部終わるまで情報公開しちゃいけないというルールだから、それを破ったつくる会は困ったもんだという御見解でしたけれども、つくる会にしてみれば一発不合格なんです。・・・だから、やむにやまれぬ気持ちで・・・もう検定のやり方自体がおかしいじゃないかという抗議の意味を込めて、アピールするのは当然だと思いますよ」(3月10日参議院文教員会)と述べ、つくる会に同情する発言をされている。

 そもそも、「再発防止策」を検討するなら、「不正検定」の「再発防止策」こそ検討されなければならないはずだ。「不正検定」の事例の中には、自由社が他社と同一の記述をしながらも欠陥箇所として不合格とされたケースが少なくとも二十数件存在する。このような、法の下の平等に明確に反する「不正検定」の防止は、法治国家の教育行政を預かる文科省が真っ先に行わなければならないことではないだろうか。近年の文科省による教科書行政の傾向は行政側に都合のいい変更が相次ぐもので、官民の力関係のバランスを著しく欠いている。今回の罰則規定の導入はその仕上げの意味を持つことになるだろう。

 教科書検定に対する罰則規定の導入は、行政改革の流れに逆行する規制の強化である。こうした規制の強化によって、左翼偏向の教科書検定のあり方が温存されるばかりか、さらに、批判を許さない盤石のものとなる道が開かれる。こうした流れを加速させている萩生田文科行政には大いなる危惧を抱かざるを得ない。以上の理由から、文科省は教科書検定過程に罰則規定を導入する方針を撤回するべきである。 (以上)

文科大臣の不誠実な回答に対する抗議声明

令和2年(2020年)6月19日
新しい歴史教科書をつくる会

 文科省「不正検定」を正す会(加瀬英明代表)と新しい歴史教科書をつくる会(高池勝彦会長)はそれぞれの代表者の連名で、5月25日、萩生田光一文部科学大臣宛てに、「令和元年度・中学校歴史教科書の『不正検定』に関する公開質問状」を提出した。文科大臣からの回答は、回答期限に指定した6月11日の午後、FAXでつくる会事務局に届いた。つくる会は、この回答文書が形式的にも内容的にも極めて不誠実なものであり、到底納得出来るものではないことから、この抗議声明を発表する。

まず初めに指摘しておかなければならないことは、当方の質問状は、二つの組織の代表者2名が記名押印し、萩生田光一文部科学大臣を名宛て人とし、この問題の担当課である教科書課に持参して担当者に手交したものである。ところが、それに対する回答は「文部科学省初等中等教育局教科書課」とのみ記され、文部科学大臣という職名も大臣の氏名も書いていなかった。記名押印した文書に対し、担当部局名で回答するのは非常識である。
なお、回答文書の中には、「欠陥箇所として指摘した趣旨については担当課にお問い合わせください」とあるので、発出主体は文科大臣であると解釈せざるを得ない。そこで、念のため教科書課に「この文書は文科大臣からの正式な回答と受け取ってよいのか」と質問したところ、その通りであるとの回答を得ている。

 回答の内容も「木で鼻をくくった」不誠実極まりないものであった。当方の質問の真意をくみ取るのではなく、表面的な形式論と問題のスリカエで対応し、「ゼロ回答」というべき内容であった。以下、具体的な論点について述べる。

①「不正」の有無について
 大臣は回答で「文部科学大臣として、今回の検定を手続的な観点から確認し、不正は行われていないことを確認しました」としているが、当方は今回の検定において「手続き」に不正があったなどと疑問を呈したことはない。当方が問題にしているのは、検定意見が内容的に不当であり、「一発不合格」を実現するために「教科書調査官による意図的な検定意見の水増し」が行われていたのではないか、という点である。これが「不正」に関する質問の趣旨である。今回の回答は、そのポイントから目をそらし、手続きに不正がないから不正はないという無意味なものである。この回答の論理からは、「手続きに不正がなければどんな検定意見も許される」という驚くべき帰結が導かれるものになっている。

②自由社への聞き取りについて
 大臣は、不正が疑われている以上、教科書会社側からも聞き取り調査をすべきではないかとの問いかけに対し、回答の中で「教科書の検定申請を行う可能性のある発行者やその著書と文部科学大臣がお会いすることは、教科書検定への政治的、行政的意図の介入であるとの疑念を招きかねないため、望ましいことではなく、お会いする意思はありません」と述べている。
しかし、当方は大臣管轄の役所内で「不正があった」と訴えているのである。文科省の最終責任者である大臣は、一方の、しかも身内の意見のみを聴取していることについて、不公平さを感じないのだろうか。また不正のために不利益を被った可能性のある民間の訴えを聞くことが「教科書検定の政治的、行政的意図の介入」にでも当たると思っているのだろうか。これは責任回避のための、ただの逃げ口上に過ぎない。大臣は自らの責任を果たそうとしていないと言わざるを得ない。

③個々の論点についての回答
 これについても、まさに「ゼロ回答」であった。すなわち、当方が具体例で指摘した検定意見の問題点について、何一つ内容に立ち入ることなく、「いずれも教科用図書検定調査審議会の学術的・専門的審議の結果、欠陥箇所として指摘されたものです。欠陥箇所として指摘した趣旨については担当課にお問い合わせください」と回答した。しかし、当方は「担当課」がおこなった教科書検定に不正があったと疑い、175項目の「反論書」を提出したにもかかわらず、すべて「否」として拒絶されたので大臣に質問したのである。それを考慮せず「担当課」に問い合わせろでは肩透かしである。これは喩えれば、犯罪の被疑者に犯罪の有無を訊けと裁判官が指示しているようなものである。
ただし、その後教科書採択のための住民向けに開催中の教科書展示会で調査を行ったところ、新たに「同一年度の検定で、他社はパス、自由社にだけ欠陥箇所指定」という、動かし難い「不正検定」の事例が続々と見つかっているので、私どもはそれらをまとめて担当課に提出し、回答を求める予定である。

④「従軍慰安婦」に関する記述の回答
これについても、「今回、他社の教科書に『いわゆる従軍慰安婦』との記述があったが、教科用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されませんでした」と回答した。「学術的・専門的な審議」の名目で、「従軍慰安婦」の記述の復活にまで一指も触れないとすれば、もはや自虐史観を脱し「我が国の歴史への愛情を育てる」(学習指導要領)教育を実現する「教育再生」への志など全く消えてしまったような、他人事の物言いである。深く失望する。

⑤文科省がまき散らすデマについての回答
 回答には「御指摘のような説明を文部科学省が行ったという報告は聞いておりません」とある。報告は受けていないとは、官僚的な逃げ口上である。こうしておけば、デマを流した事実が発覚しても大臣自身に直接責任は及ばないという保身のための計算である。

⑥公開討論会への教科書調査官出席の是非についての回答
 回答では、「不合格となった図書については、6月中に再申請を行うことが可能であり、公開討論会に文部科学省の職員が出席し、不合格図書の内容について議論することは再申請図書の審査に影響することが考えられることから、出席することは適切ではないと考えております」とされた。自由社が再申請する方針であることを察知して、再申請ののち改めて教科書検定の過程が始まることから、「審査に影響する」というのだが、この議論は根本的に誤っている。
第一に、6月に再申請する教科書の内容と過年度の「不合格図書の内容」とは別のものである。再申請図書の内容は、申請者(教科書会社)と文科省しか知り得ないことであり、過年度の不合格図書の内容について議論することは、何ら「再申請図書の審査」に影響するものではない。この点についての人々の錯覚を利用した詭弁である。
第二に、「過年度の不合格図書」の内容を議論することが再申請図書の検定に影響すると文科省が言うなら、文科省は4月段階ですでに「過年度の不合格図書」に対する検定意見(欠陥表)や「反論書」、他社の「修正表」などを公表したことは誤りであったとしなければならない。文科省自ら、すでに再申請図書の審査に影響する情報を公開していることになるからである。
第三に、文科省によって公開された検定意見等の文書をもとに国民が教科書検定のあり方について議論することは言論の自由であり、これを制限するいかなる権限も文科省にはない。
文科省は自ら行っていることの意味にすら気付かずに、スジの通らない詭弁を弄しているだけである。ただ、文科省の主張は矛盾しているが、裏返せば、審査に支障がない限り教科書調査官が国民の疑問に答える説明責任を果たすことを一般的に否定しているわけではないことが判明した。従って、私どもは再申請図書の検定の終了後に、改めて4人の教科書調査官に公開討論会への出席を申し入れることとする。

萩生田文科大臣は、「日本をとりもどす」ことをスローガンとして政権に復帰した安倍総理大臣の側近とされ、かねてよりその政治信条として「教育再生」を高く掲げておられた。また、真っ当な歴史認識を持った政治家として尊敬され、期待されてきた。教科書改善運動を推進してきた「つくる会」にとっても、その政治家としての理念を政策に反映し、教育から国を立て直していくことが期待される存在であると認識していた。しかし、今回の官僚独裁というべき現状を合理化する回答は、多くの国民の期待を裏切るものであり、残念と言うほかはない。私どもは、いかなる困難があろうとも、よりよい歴史教育の実現を目指して邁進する所存であることを改めて表明する。

(以上)

『新しい歴史教科書』の検定再申請を決定!
新設された制度に基づき6月30日までに
「再申請の持つ意味」について下記声明で説明

<声明>『新しい歴史教科書』検定再申請の決定について


令和2年(2020年)6月3日
新しい歴史教科書をつくる会
会長 高池 勝彦


 新しい歴史教科書をつくる会は、株式会社自由社との協議を経て、5月26日の理事会で、昨年「不正検定」によって不合格とされた『新しい歴史教科書』を新設された制度に基づき、6月30日までに文科省に再申請する方針を決定しました。この方針の意味と、再申請を判断した背景を以下、説明いたします。

 (1)従来の検定制度では、学習指導要領の基準から大きく外れる内容の教科書は別として、検定意見の多寡により不合格が直ちに確定するということはありませんでした。教科書会社が文科省の検定意見に従う限り、文科省はいかなる教科書も不合格にすることはできなかったのです。検定意見が教科書のページ数以上となる場合はいったん不合格と判定されますが、検定意見を参考に教科書を全面的に作り直して70日以内に再申請すれば、年度内に合格して翌年の採択に参加することが可能でした。現に、『新しい歴史教科書』は過去に2度、いったん不合格とされましたが、いずれの場合も再申請して合格し、翌年の採択にも参加しました。

 (2)ところが、2016年3月に文科省の教科用図書検定調査審議会は、上記の「70日以内」という再申請の期間を、検定意見が教科書の総ページ数の1.2倍以上になった場合は「翌年の6月」にするという変更を行ったのです。これが、当会が「一発不合格」制度と命名した制度の内容です。規則上はどこにも「一発不合格」などの文言はなく、再申請も可能なのに、この用語はこの制度のあだ名として広く受け入れられ、メディアでも普通に使われるようになりました。それは再申請期間が翌年度の6月になると、4月から始まる年度の教科書採択に参加出来なくなるからです。教科書会社にとっては教科書は採択されなければ製作に投資した資本が回収できませんから、弱小の出版社なら必然的に倒産せざるを得ないということになります。「一発不合格」処分は死刑宣告のようなものです。

 (3)この制度が過酷なものであることは、文科省自体がよくよく分かっていたことです。その証拠に、この制度を定める際に検定審議会は、「教科書発行者の過度な不利益を回避するため、翌年度に再申請を行い合格した図書については、都道府県教育委員会が調査を行い、市町村教育委員会等が必要に応じて採択替えを行うことができるようにする」という特例を設けました。しかし、これは「絵に描いた餅」に過ぎません。採択替えは4年に一度しか行われない原則は変わらないのですから、例外規定を設けたところで、現実問題として、4年間使う前提でA社と決めた教科書を、再申請で合格したB社の教科書が出て来たからといって、そちらの方に鞍替えする奇特な教育委員会が一つでもあるでしょうか。この例外規定によっても教科書会社の「不利益」は「回避」できません。この例外規定は、劇薬の「一発不合格」制度をカモフラージュするための道具でしかありません。

 (4)では、つくる会は、なぜ、ほとんど採択の見込みのない『新しい歴史教科書』を敢えて再申請するのでしょうか。それは、つくる会の教科書が他の教科書とは異なる特別の役割を持っているという事情があるからです。つくる会の教科書も他の教科書会社と同様に教育委員会等によって採択され、学校で使われることを目指してきました。しかし、その成果は極めて僅かなものに留まっています。採択率は限りなくゼロに近いと言っても過言ではありません。しかし、採択率が小さくてもつくる会の教科書は教科書改善の上で大きな役割を現実に果たして来ました。つくる会の教科書の存在は、他社の教科書の内容に無視できない影響を与えてきたのです。つくる会が始まった当初の教科書を現在の教科書と比べると、その違いは明白です。日本軍の残虐行為を示す毒々しい絵や写真はほぼ一掃されました。従軍慰安婦の記述もなくなりました。さらにつくる会が存在することで、聖徳太子や坂本龍馬を教科書から抹殺しようとする教育行政の動きに歯止めをかけました。象徴的に言えば、「虚構の南京事件を一切書かず、実在した通州事件を書いた」つくる会の教科書が文科省検定済み教科書として存在するだけで、自虐史観克服の大きな土台石になっているのです。

 (5)このように言ってもなお、繰り返し検定意見を批判し、「100項目の反論書」まで出版したつくる会が、いまさら文科省に屈服して検定意見に従うなどとは納得できないという意見や、それでは教科書検定制度の改革など吹っ飛んでしまうのではないかと考える人もいるでしょう。当然の疑問です。再申請すれば、また検定意見が付き、文科省(具体的には教科書調査官)との意見調整を余儀なくされます。しかし、それは、私たちが過年度の「不正検定」を免罪することを意味しません。過年度の検定意見はすでに文科省のホームページで公開されています。だから、これを公然と論じることには何の制約もないのです。再申請によって「検定済み教科書」としての地位を勝ち取ることと、過年度の「不正検定」を追及することとは、両方同時に並行して行うことが可能な課題なのです。

 (6)さらに具体的に再申請のやり方を考えてみましょう。一つの思考実験として、仁徳天皇が「古墳に祀られている」が欠陥箇所とされ、「葬られている」が正しいとされた教科書調査官の検定意見を再申請ではどのようにするか、という例を挙げてみます。この論争では自由社側が圧倒的に勝っています。しかし、再申請においては、二つの表現とは別の系統の表現を工夫して対立を無くすことができます。例えば、「仁徳天皇 世界一の古墳で知られる」と書けば、これに検定意見を付けることはもはや出来なくなります。この点で一歩下がる不利益よりも、教科書全体を検定に合格させることの利益のほうがまさります。ここで肝心なことは、再申請でこのように第三の表現をとったからといって、昨年度の検定で、「葬られている」が正しいとする誤った検定を行った罪が免罪されることは決してないということです。すでに起こった「不正検定」の責任はどこまでも追及しなければなりません。そのための場として、つくる会は当面、①文科大臣への公開質問状、②教科書調査官との公開論争、③『教科書抹殺』での「反論100件」のジャッジを行う「国民検定」、の3つのイベントを提起しています。昨年度の検定は時間が経つと過去の出来事になってしまいかねませんが、再申請すれは再び現在進行形の問題として捉えられるという点でも、再申請は「不正検定」の追及に有利な状況をもたらすでしょう。

 (7)念のため改めて言いますが、「一発不合格」制度は、一切の修正ができず、年度内再申請の道も断たれるという、非情で残酷な制度です。しかも、この制度を使ってつくる会の歴史教科書をなきものにするために、教科書調査官は無理に無理を重ねて、驚くべき不当・不正な検定意見を積み上げ、「欠陥箇所」に仕立て上げたのです。もし、修正の機会が与えられていれば、従来もそうしてきたように、私たちは上記の仁徳天皇の例に見られるような工夫をして検定に合格することを優先させたでしょう。私たちが雑誌「正論」編集部のつくる会批判論文に対し抗議声明まで出したのは、修正も再申請も許さないという「一発不合格」制度の凶暴な本質を全く理解しない無知の上に立って、文科官僚のふりまくデマそのままに、つくる会の「頑なさ」を今回の事件の原因であるかのように描き出す、的外れで不当な批判をしたからです。しかも、雑誌を読んでその謬論に惑わされる読者が必ず一定数いることを放置できなかったからです。

 (8)つくる会が推進してきた歴史・公民教科書は、他社の教科書とは一線を画した、今の日本に存在しなければならない教科書です。一方でこの「存在感」を面白く思わない勢力は国内外、そして文科省内にも間違いなく存在します。それが故に、特定の陣営からは常に「戦争賛美」だとか「右翼」だとかのレッテルを張られ、敵視されてきました。文科省の検定においても、毎回「生徒が誤解するおそれのある表現である」という条項を悪用して、奇妙な検定意見を多数付けられてきました。採択現場でも「採択するとやっかいにまきこまれる」という「事なかれ主義」によって採択が妨げられてきました。今回の「一発不合格」処分は、つくる会に対する反対勢力の宿願を果たしたものです。だからこそ、再申請によって『新しい歴史教科書』が「文科省検定済み教科書」の地位を獲得し、日本政府が公認した正規の教科書でありつづけることに大きな意義があるのです。これらの勢力は恐らく今回の「一発不合格」によって、つくる会の息の根を止めたと思っているでしょう。目の上のたんこぶであった教科書を葬り去ることで、各社教科書の記述の自虐度を再び高めることができると内心喜んでいることでしょう。そういう状況になるのを阻止するためにも、私たちは歴史教科書を出し続けます。つくる会の歴史教科書の復活は間違いなく彼らの目論見を大きく後退させ、その結果、日本の教科書を改善することに寄与するでしょう。

 以上、長くなりましたが、最も大切な原点は、「文科省検定済み教科書」としての『新しい歴史教科書』の火を消してはならないということです。このことは、文科省「不正検定」を正す会の意見広告に篤い支持を寄せて下さった皆様の強い希望でもあると確信しています。

 今回の「検定不合格」というつくる会にとっての大ピンチは、逆に文科省を追い詰め、検定制度を改革する千載一遇のチャンスでもあります。今回の再申請は、さらに反対勢力を追い詰める結果になるでしょう。会員、支援者の皆様におかれましては、このような検定再申請の意義について、どうかご理解を賜り、各種活動へのご参加と変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げる次第です。

(以上)

月刊誌『正論』令和2年6月号に掲載された「正論編集部」論文への抗議声明

 新しい歴史教科書をつくる会は、本日5月1日発売の月刊誌『正論』に掲載された、文科省不正検定問題の論文について、内容が事実と異なり、また著しく偏っているとして下記の緊急抗議声明を発信しました。
 これまで月刊誌『正論』はその名前のごとく、わが国を正しい方向に導くべく、その指針となるべき多くの論文を掲載してまいりました。またこれまで当会の教科書改善運動に対しても大きな理解をいただき、まさに共に闘ってきた戦友とも言える発信媒体でした。それだけに、今回のまさに背後から撃たれたような、文科省の代弁者かとも思われる「つくる会」批判には驚きを禁じえません。極めて残念の一言です。
 当会としては、この度の愚挙の背後に何があるのかの真相も含め、この論文を絶対に看過するわけにはいきません。
 会員、支援者の皆様には、『正論』の当会批判について、極めて不当であることをご認識いただき、ともに強く抗議いただきますよう、お願い申し上げます。

   声明<月刊誌『正論』令和2年6月号に掲載された「正論編集部」論文への抗議声明>
                                                           令和2年5月1日
                                          一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会

 本日発売の月刊誌『正論』令和2年6月号(産経新聞社発行)に、「正論編集部」名で執筆された論文「『つくる会』教科書不合格 文科省批判と再検定要求の前に」が掲載されました。この論文は、「一発不合格」制度に対する初歩的な知識すら持たないままに書かれた誤りだらけのもので、事実誤認に基づく「つくる会」への批判となっており、強く抗議します。

 周知のとおり、本年3月に検定合格予定であった、当会が推進する『新しい歴史教科書』(自由社発行)は、検定が始まる3年前に導入された「一発不合格」制度によって、昨年12月に不合格が確定しました。当会はこの検定が、教科書調査官を中心とした文科省関係者による「不正検定」であると主張し、国民の皆様に訴えてきました。

 ところがこの論文は、今回の検定に不正などは無く、当会が文科省の意図を忖度しない頑なな態度をとったから不合格になったのであるとする主張を展開しています。また当会は、「教育再生」を掲げた安倍政権が誕生し、これで教育の正常化が進展するものと期待しましたが、今回の検定は「従軍慰安婦」の復活や南京事件の扱いなどで、その流れを逆転させる「自虐史観」の復活であるとも主張してきました。この論文は、当会のそうした主張をも否定する内容となっています。

 さらにこの論文では、当会が検定意見の不当性としてあげた論点を逐一反論しつつ、文科省の主張が正しいとしたり、それほど不当ではないとしたりしつつ、当会が文科省の指摘に従えばよかったと思わせる主張をしています。これは明らかな事実誤認です。

 そもそも、文科省の指摘に従うといっても、「一発不合格」ですから、執筆者側には一切の修正も再申請も認められていないのです。だからこその「一発」不合格なのです。昨年の11月5日に、405ヶ所の「欠陥個所」をいきなり突きつけられ、そのうちの175箇所について反論したにもかかわらず、ただの1箇所も認めずに拒否され、不合格が確定したのです。だからこの論文が、「修正すれば、文科省のいう記述の正確さも、本質を見失うことも回避できたのではないだろうか」(193頁)などということは一切成り立たない制度なのです。

 検定制度の目的は、子供たちにより良い教科書を届けることにあるはずです。特定の教科書を落とすことが目的ではなく、それぞれ合格させることが目的であるはずです。こうした検定制度の趣旨に照らして、「一発不合格」制度は廃止すべきであると当会は訴えています。しかし、この論文は、「不正検定」の存在を否定し、「一発不合格」制度を擁護する、当会の立場とは対極の見地に立ってものを見ています。

 この論文は『正論』誌の公式見解であるという体裁になっています。そうだとすれば、悪質な「一発不合格」制度に対する無知をさらけだして「不正検定」を美化したこの論文の罪は、ますます重大です。なぜ一つの雑誌の公式見解などという形でこのような論文を発表する必要があったのでしょうか。極めて不可解です。何か他の思惑があるのかとの疑惑を生じさせるに十分なものがあります。

 「つくる会」は、この誤りだらけの論文の掲載について雑誌『正論』に強く抗議し、今後その謬論に徹底的に反論することを通して教科書検定制度の正しいあり方を追求していくことを国民の前に宣言します。

令和2年5月1日更新


習近平国家主席の国賓来日に反対する声明を発表


新しい歴史教科書をつくる会は、12月17日、来春に予定されている中国・習近平国家主席の国賓待遇での招待について、下記の反対声明を発表しました。
国民の皆様には、ご理解のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

           声明<中国・習近平国家主席の国賓来日に断固反対する>



                                                           令和元年12月17日
                                            一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会


安倍晋三首相は、令和二年春、中国・習近平国家主席を国賓待遇で招待することを発表しました。「新しい歴史教科書をつくる会」は、この度の日本政府の決定に断固反対し、直ちに取り消すことを強く要請いたします。

現在、中国政府は、わが同胞の無辜の日本国民を十数名、スパイ容疑をかけて不当に拘束しています。これは北朝鮮同様の日本人拉致事件にほかなりません。そして、わが国の領土である尖閣列島に対する中国公船の侵犯行為は後を絶たず、今現在も日本国の国家主権は侵害されているのです。

中国政府は、ウイグル(東トルキスタン)、チベット、南モンゴル(内モンゴル)など各民族の自決権を踏みにじり、特にウイグルでは全土を収容所化するほどの民族浄化政策を展開しています。国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチの発表やアメリカのベンス副大統領の発言などでも指摘されているように、ウイグル人は百万人以上が収容所に送り込まれている可能性があります。さらに今年の夏以降は、香港の民主化運動への抑圧を強めています。ヒトラーやスターリンに比すべき独裁者習近平を国賓待遇で招待することは、これらの暴挙を日本国が是認することになりかねません。

また、中国政府は現在も、「南京事件」をはじめとする様々な歴史問題に対し、実証性のない日本への批判や非難を繰り返しています。日本国民が残虐な虐殺や侵略を行ったという一方的な反日史観を国際社会に向けて発信し、日本の歴史を貶め、政府関係者の靖国神社参拝にも非礼な内政干渉を行う習近平を国賓として招待することは、中国政府の日本国への主権侵害と反日史観を追認することになりかねません。

さらに重大なことは、習近平が国賓として来日した場合、天皇陛下と謁見するとみられることです。このような暴挙を続ける独裁者が天皇陛下と同席することを、私たちは日本国民として許すことはできません。

我が国の同盟国であるアメリカが厳しい対中政策をとっており、また、ヨーロッパ諸国も中国に対して警戒姿勢を示している現在、今回の日本の対応は、世界に誤ったメッセージを与えることになりかねません。

幸い、与党自由民主党の議員の間に、「日本の尊厳と国益を護る会」(護る会)が結成され、習近平の国賓待遇での招待に抗議の声が挙がりました。護る会のメンバーの方々に敬意を表するとともに、全面的に賛同いたします。そして私たちは安倍首相に、このような良心の声に耳を傾けることを強く求めます。

私たちは日本国の主権を守り、祖国の歴史に汚点を残さぬためにも、また、自由と民主主義、民族自決権の価値観を守るためにも、習近平国賓招待の取り消しを求め、今後取り組みを行ってまいります。

国民の皆様には、本声明の趣旨につきご理解の上、ご賛同いただきますよう、お願いいたします。

令和元年12月17日更新


令和元年度定時社員総会を開催
教科書完成報告と、来夏の採択戦に向けて組織の結束を確認


新しい歴史教科書をつくる会は、5月19日、東京・ホテル機山館において、令和元年度定時社員総会を開催いたしました。

総会は全国より59名の法人会員、賛助会員、大黒柱会員、正会員が出席しました。まず冒頭に国歌君が代の斉唱を行い、越後俊太郎事務局長より総会成立宣言を行いました。次いで事務局の平田由香氏が設立趣意書を朗読しました。
開会の挨拶に立った髙池勝彦会長は、教科書の完成報告とともに、ご支援いただいている会員の皆様への感謝を述べました。その後、国会議員・地方議員の先生方よりいただいた祝電が披露されました。

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議長には河添恵子理事が選出され、議事がスタート。第1号議案「平成30年度事業報告」をまず石原隆夫副会長が行いました。次いで「教科書完成報告」として、歴史は藤岡信勝副会長が、また公民は皿木喜久副会長が、新たに完成した教科書の特長についてそれぞれ説明しました。続けて平成30年度決算について越後事務局長、監査報告を尾崎幸廣監事から行いました。
第2号議案では、「令和元年度事業計画(案)」を皿木喜久副会長が提案。次いで、杉原誠四郎顧問より「提言・来年の採択に向けて」がなされました。令和元年度予算(案)は越後事務局長より提案されました。

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第3号議案「役員選任の件」は髙池会長より提案。新理事として、海上知明(NPO法人孫子経営塾理事)、倉山満(憲政史研究家)の2氏と、本総会で退任される保科直美監事の後任として、松本淳一郎氏(NPO法人日本児童文化教育研究所理事)の選任が提案されました。
第4号議案「国民へのアピール(案)」(下記参照)を清原弘行事務局次長が朗読し、大きな拍手をもって承認されました。
総会は、各議案で質疑応答が行われ、出席者との活発な意見交換の後、全議案が提案通り承認され議事が終了しました。
最後に岡野俊昭副会長が参加会員の皆様に、議事進行への協力に感謝しつつ今後のお力添えをお願いし、閉会となりました。

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会場を変え17時10分に高池会長の挨拶でスタートした「懇親の集い」には、ご招待を含む60名の皆様にご参加いただきました。ご参集の多くの皆様から、来年の採択戦へ向けた力強い励ましのお言葉や、各分野での活動の報告などをいただき、とても賑やかな雰囲気の中、藤岡副会長の謝辞と茂木弘道氏の三本締めで盛会裡に終了しました。

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なお、本総会における議案詳細については、『史』7月号に掲載予定です。
また、祝電等をいただいた国会議員・地方議員の先生方、ならびに「懇親の集い」で祝辞・ご挨拶を賜った皆様は次の通りです。改めて心より御礼申し上げます。

<祝電>宮川のり子衆議院議員、有村治子参議院議員、山谷えり子参議院議員、田沼隆志千葉県議会議員
<祝辞・挨拶>杉田水脈(理事・衆議院議員)、中田宏(元横浜市長)、宮崎正弘(ジャーナリスト)、田母神俊雄(第29代航空幕僚長)、山田宏(参議院議員)、海上知明(新理事・NPO法人孫子経営塾理事)、倉山満(新理事・憲政史研究家)、松本淳一郎(新監事・NPO法人日本児童文化教育研究所理事)、佐波優子(ジャーナリスト)、高橋史朗(明星大学教授)、服部剛(公立中学教諭)、松浦明博(帝京科学大学特命教授)、黄文雄(評論家)、鈴木信行(葛飾区議会議員)、松浦芳子(前杉並区議会議員)、河添恵子(理事・ノンフィクション作家)、赤尾由美(理事・アカオアルミ株式会社代表取締役会長)、澤井直明(三多摩支部長)、家村和幸(日本兵法研究会会長)、金子宗徳(日本国体学会理事)、山下英次(理事・大阪市立大学名誉教授)、若松博(千葉県支部幹事)、茂木弘道(史実を世界に発信する会会長代行)   
<花輪>日本文化チャンネル桜 水島総            (祝辞は発言順・敬称略)


<国民へのアピール>

新しい時代が始まりました。

御譲位による御代替わりは光格天皇以来約200年ぶりのこととなり、多くの国民が国を挙げて、この度の新しい天皇陛下の御即位をお祝いしました。

戦後70年余り、世界情勢がめまぐるしく変動し、国内外で様々な価値観が生まれ多様化していく中においても、国民の皇室に対する敬愛の念は揺らぐどころか、さらに大きくなりました。これは間違いなく、かの大東亜戦争の敗戦の責任を一身に背負い、戦後復興と国民の安寧を願われた昭和天皇と、「象徴」としてのあるべき姿を模索し続け、常に国民に寄り添われた上皇陛下、そしてそれを引き継がれる天皇陛下の御徳によるものに他なりません。

今回の御代替わりは、日本人にとって、大人は勿論、小さな子供たちまでもが、皇室の貴さ、そして日本の素晴らしさやその長い歴史の重みを、無自覚のうちに自らの文化的DNAにしっかり刻み込んだ、大変重要な機会となったのではないかと感じます。

私どもの「日本の誇りを取り戻す」教科書改善運動は、今年で23年目となりました。戦後の日本に長く蔓延した自虐史観の払拭と、正しい歴史認識を通じての子供たちの健全育成を願い、これまで歴史教科書・公民教科書の普及をはじめとした、様々な取り組みを行ってまいりました。全国中学校の『新しい歴史教科書』『新しい公民教科書』の現在の採択率が示すように、まだまだ、私どもの活動は道半ばではあります。しかし、多くの日本人が目覚めるきっかけとなり得る今回の御代替わりは、今後の私どもの活動にとって大きな希望となるのではないでしょうか。

既報のとおり、今年の4月には、令和三年度より使用開始の中学校用教科書『新しい歴史教科書』『新しい公民教科書』を文部科学省の検定に提出しました。今回の教科書制作においては、2年以上の時間をかけて内部検討を進めました。その結果、①「設立趣意書」の精神をしっかりふまえつつ、さらなる内容の充実化をはかり、②検定意見の数を増やす要因となる表記などの単純ミスを防ぎ、③現場の教員や子供達に受け入れやすい工夫をこらす、という三つの課題をクリアすることが出来ました。間違いなく、採択戦を「戦える教科書」が完成したことをご報告いたします。

残すは来夏の採択戦となります。今回こそ、私どもが長らく訴え続けてきた真の歴史、また日本人としての誇りやあるべき普遍的な価値観などが社会に広く理解、支持され、多くの中学校で教科書が採択されるよう、全国支部・会員の皆様とともにさらに取り組みを行ってまいります。

皆様におかれましては、私どもの教科書改善の使命について何卒ご理解いただき、なお一層の篤きご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

令和元年5月19日     
                            一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会
                                     令和元年度定時社員総会

令和元年5月21日更新


「検定意見」の取り消しを求める意見書を提出
小学校社会の教科書検定で北海道以北を「領土外」扱い
文部科学大臣に1カ月以内の回答を要望


 新しい歴史教科書をつくる会は、4月に発表された小学校社会の検定結果の公表を受け、その検定に重大な瑕疵があるとして、5月10日、該当する「検定意見」の取り消しを求めた意見書を文部科学大臣に提出しました。また、1カ月以内に本件の回答を求めました。その後、文科省記者クラブで記者会見を行いました。
申し入れならびに会見には、高池勝彦会長と石原隆夫、岡野俊昭、皿木喜久、藤岡信勝の4副会長、越後俊太郎事務局長が出席して行われました。
今回の検定意見は、学習指導要領に反するばかりか、日本の領土問題にも今後、深刻な影響を与えかねません。当会は今後の文科省の対応を引き続き注視していきます。
文部科学大臣に提出した意見書は以下の通りです。


    小学校社会の教科書検定で北海道以北を「領土外」扱いした検定意見の取り消しを求めます



文部科学大臣 柴山昌彦殿

                                       令和元年5月10日
                                   新しい歴史教科書をつくる会
                                         会長 髙池勝彦

 日頃の文部科学行政へのご尽力に感謝の意を表します。
 さて、去る3月下旬、令和2年度以降に使用される小学校教科書の検定結果が公表されました。この検定につきまして、私どもは重大な瑕疵があったと考えますので、以下のとおり問題の所在を明らかにした当会の見解を表明させていただきます。

(1)検定に提出したA社の6年生社会の教科書で、江戸時代初期の対外貿易を示す図として日本列島全体を赤く塗った地図を掲載しました。これは日本の領土を示したというより、東アジア全域に広がる地図のなかで、単に日本の位置を際立たせて見やすくするために赤色に塗ったものであると推定される図です。
 ところが、これについて、「北海道、千島、樺太(からふと)の塗色で、児童が誤解する恐れのある図」であるとの検定意見が付けられました。そのため、A社は北海道・北方領土の赤塗りを全て消し、白地に修正して検定に合格しました。検定合格した地図を見ると、赤い部分には日本と書かれ、他方、北海道は白地ですから、小学生が江戸時代には北海道全域が日本ではなかったと「誤解」するものになっています。
 4月16日、柴山昌彦文部科学大臣は記者会見で、この検定意見にふれ、「地図は現在の日本の領土を示すものではなく、江戸時代初期の江戸幕府の支配領域をあらわしたもの」であると釈明されました。これによって大臣は、江戸時代には北海道全域は日本の支配下になかった、つまり日本ではなかったと述べたことになります。

(2)ところが、北海道庁作成のパンフレットは、「北海道及び赤れんが庁舎のあゆみ」と題して次のような年表を掲載しています。
 <659 斉明4年 阿部比羅夫、蝦夷遠征、翌年後方羊蹄(しりべし)に郡領を置く。
  1205 元久2  津軽の安東氏、蝦夷の代官となる。
  1514 永正11  蠣崎氏(のちの松前氏)、安東氏より蝦夷を預かる。
  1593 文禄2  蠣崎氏、豊臣秀吉より蝦夷の支配者として公認される。
  (以下、略)>
 北海道庁によれば、すでに7世紀から日本国家の支配が北海道に及んでいたことになります。
 次に、内閣府のホームページを開いてみますと、「日本人による開拓の歴史」と題するパートに次のように書かれています。
 <1635年(寛永12年)、北海道を支配していた松前藩は、北海道全島及び千島、樺太を含む蝦夷(えぞ)地方の調査を行いました。1644年(正保元年)の幕命により諸藩から提出された国絵図に基づいて、幕府が作成した日本総図(いわゆる「正保御国絵図」)には、「くなしり、えとろほ、うるふ」などの島名がはっきり記載されています。>
 内閣府のホームページは日本国家の立場を表明したものですが、第1に、幕府に臣従していた松前藩は江戸時代初期には北海道を支配していたこと、第2に、国後、択捉についても領有のための第一歩となる調査を1635年にすでに行っていたこと、の2点において、北海道全域を江戸幕府の支配領域ではなかったという認識を前提にした柴山文科大臣の説明とは鋭く矛盾するものです。
 内閣府のホームページに表現された日本国家の立場からすれば、少なくとも北海道のところは赤く塗らなければなりません。北海道全域の地図を、赤から白へと塗り替えさせた検定意見は、まさしく、「北海道以北を『領土外』扱い」(産経新聞4月14日)した不当な検定意見と言わざるを得ません。

(3)小学校学習指導要領・社会の第5学年「内容の取扱い(1)」には次のように書かれています。
 <「領土の範囲」については,竹島や北方領土,尖閣諸島が我が国の固有の領土であることに触れること>
 ここに書かれているとおり、北方領土は早くから日本人が足を踏み入れていた「わが国固有の領土」なのです。北方領土どころか北海道全域をも白地に書きかえさせた今回の検定意見は、この学習指導要領の趣旨にも明確に反しています。

(4)柴山文科大臣は先の会見で、「検定審議会の学術的専門的審議の結果に大臣としてコメントすべきでない」と言われました。検定審議会の決定をみだりに批判することを差し控える態度は間違っているとは考えませんが、今回のように十分な根拠があり、誰の眼から見ても検定意見に明らかな誤りの疑いがある時は、所轄大臣としてはその誤りを認めるか、少なくとも「調査させる」などとして、判断を保留するのが国民に対して真に責任のある態度ではないでしょうか。
教科書調査官の職務が過酷と言えるほどの激務であることを私たちは文科省の検定を受けたわずかな経験からもよく存じております。完全な人間はいないのですから、教科書調査官といえども時にはうっかりミスをされることもあるでしょう。それを率直に認めることが、真に開かれた文部行政の姿であり、国民に対し責任を負う立場であると考えます。
 残念なことに、柴山文科大臣は先の会見で、内閣府の記述と文科省の検定意見は「矛盾しない」と根拠なく強弁しつつも、「あとは教師の(児童に誤解させないような-引用者)指導で対処すればよい」という趣旨の発言をされています。この発言は裏返して言えば、教師の指導がなければ子どもは誤解する教科書となっていることを認めた発言といえます。柴山大臣は今度の検定意見が本当は誤りであることをよく認識しておられるのではないかと推察されます。

(5)以上のことから、柴山文科大臣におかれましては、速やかに上記の検定意見を撤回するか、少なくとも調査を指示すべきです。そして、最終的には検定意見を撤回し、採択のための見本本の段階で、日本全土を赤地とするもとの地図に戻す措置を執るべきです。もし、大臣が「学術的専門的審議」という言葉を隠れ蓑に民間からの指摘を握りつぶす態度に出るならば、何のために大臣がおられるのか分からなくなります。ことは領土問題という、国家の根本に関わる大問題です。文科省の態度によっては広範な国民の怒りを買うことは十分に予想されます。状況をよく考察され、賢明なる対処を切に要望いたします。また、本件につき、1カ月以内(6月10日まで)の回答を求めます。大臣におかれましては公務ご多忙のところ、誠に恐れ入りますが、ご対応の程、何卒よろしくお願い申し上げます。                  以上

令和元年5月13日更新


奉祝 天皇陛下御即位

令和改元にあたっての声明


                                       令和元年5月1日 

                                     新しい歴史教科書をつくる会


本日、皇太子徳仁親王殿下が第126代の天皇として即位されました。謹んでお祝い申し上げ、令和の御代がわが国の一層の発展と、国民生活のさらなる向上の時代となりますよう、衷心よりお祈り申し上げます。

上皇上皇后両陛下におかれましては、30年にわたって私たち国民に寄り添われ、天皇皇后としての大切なお務めを果たしてこられました。改めて心から感謝申し上げ、今後の末長いご健康とご長寿をお祈り申し上げます。

国書『万葉集』を典拠とする令和が元号に選ばれ、多くの国民に好意的に受け止められていることは、国際化・グローバル化が一層進むことも予想される今の時代に、国民がその流れに抗して日本人のアイデンティティーを自国の長い歴史に求めようとする内心の動きを反映しています。実際、令和改元の意味をたずねることは日本文化の柔軟性と独自性を知る手がかりとなるのです。

すでにご報告したとおり、当会は令和3年度より使用する教科書として、4月10日に公民教科書、4月17日に歴史教科書を文部科学省に検定用として提出しました。この2種類の教科書は、当会の会員および関係者の多大なご尽力をいただき、つくる会史上最高の教科書として完成したものです。

つくる会の歴史・公民教科書は、平成最後の年に完成し令和最初の年に検定を受けるという意味で、平成と令和をつなぐものであり、中学生が日本の歴史と文化を学ぶ教材となるものです。それらの教科書は、わが国の歴史と文化の特色を学ぼうとする国民の期待にも応えることのできる最良の教科書となっていると自負しております。

当会は、これらの教科書を令和の時代を担う子供たちに1人でも多く届けるべく、一層力強く活動を進めて参ります。この事業に、皆さまのご参加、ご協力をお願い申し上げます。

令和元年5月1日更新


文部科学省の教科書検定への申請が完了
「つくる会」史上、最高の歴史・公民教科書が完成


新しい歴史教科書をつくる会は、令和3年4月より使用開始の、歴史・公民教科書について、その制作を終え、4月10日に公民教科書を、17日に歴史教科書を無事、文部科学省の検定に提出いたしました。

内容については検定中となり、現状では具体的に説明することはできませんが、約2年半もの期間をかけて検討され、制作されたこの度の教科書は、間違いなく「つくる会」史上最高のものとなったことをご報告いたします。この間、執筆いただいた諸先生方をはじめ、デザイナー、また編集や校正作業などにご協力をいただいた全関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

また、この度の教科書制作を完遂できたのも、ひとえに会員や支援者の皆様からの長きにわたる篤いご支援があったからこそです。改めて衷心より御礼申し上げますとともに、来夏の採択戦に向けて、なお一層のお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。

なお、検定結果は来年4月初旬に発表となる予定です。

4月末に皆様のお手元に届く予定の会報誌『史』5月号において、歴史、公民の各代表執筆者より完成報告の寄稿をいただいておりますので、ぜひご覧ください。

平成31年4月17日更新


平成30年度定時社員総会を開催
2年後の採択戦へ向け一致団結して取り組むことを確認!



新しい歴史教科書をつくる会は、5月12日、東京・文京シビック小ホール会議室において、平成30年度定時社員総会を開催いたしました。

総会には全国より70名の正会員が出席しました。冒頭に国歌君が代の斉唱を行い、越後俊太郎事務局長より総会成立宣言を行いました。次いで事務局の平田由香氏が設立趣意書を朗読しました。
開会の挨拶に立った高池勝彦会長は、会員の皆様へこれまでの活動への感謝を述べました。続いて国会議員よりいただいた祝電が披露されました。


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議長には諸橋茂一理事が選出され、議事がスタートしました。

第1号議案「平成29年度事業報告」を石原隆夫副会長が行い、補足説明として「女子部初年度活動報告」を河添恵子理事・女子部共同代表が行いました。続いて補足説明②「皇位継承に関する本部見解について」を越後事務局長が行いました。平成29年度決算についても越後事務局長、また監査は尾崎幸廣監事から報告がありました。


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第2号議案では、「平成30年度事業計画(案)」を皿木喜久副会長が提案。補足説明として藤岡信勝副会長より教科書制作状況などについての発言がありました。小山常実理事・公民代表執筆者はこの総会を体調不良で欠席しましたが、教科書制作への決意表明を寄せ、議長が代読しました。平成30年度予算(案)は越後事務局長より提案されました。


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第3号議案「役員選任の件」は高池会長より提案。任期満了で退任された駒田強氏を除く全理事の再任と、山下英次氏(大阪市立大学名誉教授)の新任が提案され賛成多数で承認されました。その後、新理事から就任の挨拶がありました。

第4号議案「国民へのアピール(案)」を赤尾由美理事が朗読し、大きな拍手をもって承認されました。

総会は、全議案を提案通り承認し議事が終了しました。
最後に岡野俊昭副会長が参加会員の皆様に、議事進行への協力への感謝と今後のお力添えをお願いし、閉会となりました。


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 会場を変え17時15分にスタートした「懇親の集い」には、ご招待を含む80名の皆様にご参加いただきました。ご参集の多くの皆様から、「つくる会」運動へのエールをはじめ、各分野での力強い活動の報告などをいただき、とても賑やかな雰囲気の中、藤岡副会長の謝辞と諸橋理事の三本締めで盛会裡に終了しました。



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また、祝電をいただいた国会議員の先生方、ならびに「懇親の集い」でご祝辞等を賜った皆様は次の通りです。改めて心より御礼申し上げます。

<祝電>義家弘介衆議院議員、稲田朋美衆議院議員、山谷えり子参議院議員
<祝辞等>菅家一比古(一般社団法人美し国代表)、利光國夫(小田急電鉄株式会社元顧問)、西村眞悟(元衆議院議員)、茂木七左衛門(独立行政法人日本芸術文化振興会理事長)、宮脇淳子(東洋史家)、倉山満(憲政史家)、海上知明(日本経済大学教授)、鈴木信行(葛飾区議会議員)、堀内明日香(元タカラジェンヌ)、金子宗徳(明治の日推進協議会企画委員)、新良薫(山田宏公設第1秘書)、田沼隆志(元衆議院議員)、伊藤隆広(元山田宏秘書)、土屋敬之(元都議会議員)、濱田浩一郎(歴史学者)、服部剛(公立中学教諭)、松浦明博(帝京科学大学特命教授)、家村和幸(日本兵法研究会会長)、茂木弘道(史実を世界に発信する会会長代行)  <敬称略>



皇位継承に関する本部見解について

本年に入り、複数の支部より皇位継承に関連する質問が本部に出されたことを受け、理事会で数度の審議を重ねました。そして当該支部へ回答の上、本総会において以下の見解を発表しました。会員の皆様には何卒、ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

 本部としては、安倍総理の「男系継承が古来より今日まで維持されてきた」という認識を共有し、今後もそれが尊重され、継続されることを願います。ただし、本見解は会員個々人に対し同意を要求したり思想や活動を制限したりするものではありません。
 つくる会は教科書に書かれた自虐史観などの歴史問題について共通の認識を持つ人々が、「教科書改善」を課題として結集した組織です。その一点において志を共にし、今後も本部と支部と一致団結取り組んでいただきますよう切にお願いいたします。
                                   平成30年4月25日
                                   新しい歴史教科書をつくる会
                                         会長 高池勝彦



<国民へのアピール>

「男の子は男らしく、女の子は女らしく」。一昔前までは社会で当たり前に言われていたことですが、今ではこれは性差別を助長する発言のようです。また今年に入り、ある政令指定都市では、職員や教職員向けに「お父さん、お母さん、夫、妻」を使用しないという驚くべき指針を策定しました。これも差別に当たるといいます。一昨年には、在日外国人に対する「ヘイトスピーチ規制法」制定を巡っての混乱もありました。大方のテレビや新聞は表面のみを取り繕い、安易な「言葉狩り」に共鳴し、タブーを直視しません。事実や正しいこと、社会通念上当たり前のことを堂々と発言できない、この息苦しく異様な「言語空間」は、留まることを知らずに日本社会に広がりを見せています。

本当にこれでよいのでしょうか。

日本は古来より、日本民族固有の精神や価値観をベースにしながら、外からの文化・文明を吸収し、さらに独自のものとして発展させてきました。その結果、日本は歴史上、常に独立を維持し、近代においてもアジアの中で唯一、欧米列強と対等に渡り合えるだけの力を持つことができました。欧米はこの原動力たる「日本精神」を称賛し、また恐れました。大東亜戦争敗戦後に目覚ましい復興を成し得たこと、また今の豊かな暮らしがあるのも、日本民族固有の精神を当時の日本人自身が失わずにいたからに他なりません。

「多文化共生」「多様な価値観を受け入れる」などもとても耳触りのよい言葉です。しかし、これを無批判に受け入れたその延長線上にあるのが、冒頭のような現象ではないでしょうか。これは古来の日本の伝統文化や価値観の破壊に他ならず、ひいては日本国民の独自性を失わせ、国力の衰退に繋がることは明らかでしょう。

私どもの教科書改善運動は、「歴史の真実の追求」であり、「日本の伝統文化や価値観の伝承」です。教科書を通じて、日本そして世界が、平和で豊かになるよう、それに寄与する日本人を育てることが重要な使命です。しかしその一方で、「つくる会」運動に逆行するような動きが生じています。「学び舎」教科書の出現や、一部の歴史学者の主導による歴史用語削減案などにそれが見られます。これらの動きこそ日本人の精神を破壊に導くものに他なりません。私どもはこれらの勢力や、今の歪んだ「言語空間」などに臆することなく、今後もあるべき歴史教科書と公民教科書をつくり、世に強く訴えていきます。

来春には文科省検定が、そしてその翌年にはいよいよ採択戦が控えています。目下、歴史、公民の教科書制作が自由社、本部役員そして会員・支援者の皆様のお力添えのもとに進められています。

私どもは本日、平成最後となる「つくる会」定時社員総会を開催し、今回こそ、「つくる会」の『新しい歴史教科書』『新しい公民教科書』が多くの中学生の手に渡るよう、採択戦に向けて一丸となって取り組むことを確認しました。

皆様におかれては、私どもの教科書改善の使命について何卒ご理解いただき、なお一層の篤きご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。


平成三十年五月十二日     
                           一般社団法人新しい歴史教科書をつくる会
                                   平成三十年度定時社員総会

平成30年5月15日更新


<訃報>西部邁氏 逝去

当会の元理事で評論家の西部邁先生が、1月21日、逝去されました。

西部先生は保守の論客として雑誌・テレビなどで幅広く言論活動を展開され、国民世論における保守思想の啓蒙と定着に大きく貢献されました。

当会には発足時より参画いただき、初版の『新しい公民教科書』の代表執筆者として、会にとっても日本国にとっても財産と言える質の高い教科書を生みだしていただきました。

生前のご厚情に深く感謝するとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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平成30年1月22日更新

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