「史」から~「君よ 生きて」先人たちが繋いだ命のバトン|新しい歴史教科書をつくる会

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「君よ 生きて」先人たちが繋いだ命のバトン


世界で最も豊かなこの日本にも、毎年約3万人の自殺者がいます。さらに日本では遺書を残さない死は〝不審死〟として扱われますが、その数15万人。そのうちの大多数が自ら命を絶たれている可能性が非常に高く、年間17、8万人ともなれば、先進国の自殺者の約10倍の数です。

私たちは自ら死を選ぶために生まれてきたわけではありません。いずれ死は訪れますが、いつか果てるその日までに、私たちは未来を担う子供たちに何を残せるのでしょうか。経済優先で突き進んできた戦後の日本。戦後の焼け野原からは全く想像もできないほど、この国は発展しました。しかし一方で物質的に満たされているものの、生きる意味を見つけられず苦悩する人々がいます。

命は、感動に触れてこそ輝きます。感動とは、もとは〝感即動〟という言葉です。心が感じれば、人は即動きたくなる。自分も何かお役に立ちたい、そんな思いは自然と生まれてくるものです。感動に触れることは、人生でもっとも重要なことの一つです。生きることの感動に触れる機会を、子供たちにもっともっと作っていきたいと思います。

戦後70年。「戦争は、遠い昔のこと。この国では戦争は起こらない。戦争は、どこか遠い国のお話。自分たちとは関係ない」。そんな思いが今の日本には渦巻いているように思います。戦争がないことが当たり前なのではなく、戦争が起きていないことに感謝すべきではないでしょうか。

自分を取り巻く全ては、決して当たり前ではありません。命を懸けて国と家族を守ってくださった方々がいたからこそ、戦火に怯えることなく眠れることを、消して忘れてはなりません。私たちは先人たちから未来へと繋ぐ、大切な〝命のバトン〟を託されているのですから。

劇場とは「あなたがあなたに還るところ」です。私は演劇を通じて、日本人に生きることの感動を呼び覚ましたい。戦後70年経った今、私たちは〝ある覚悟〟を持って未来のために今日を生きるべきではないでしょうか。



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平成28年11月1日更新



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望月 龍平(もちづき りゅうへい)
演出家・脚本家