各社の教科書を読む 歴史編4|新しい歴史教科書をつくる会

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虚構の「南京事件」が消えた自由社教科書




「南京事件」(南京大虐殺)が教科書に初めて記述されたのは昭和50(1975)年のこと。2社が高校日本史教科書に記述したのが最初である。


「南京事件」が教科書に初めて登場してから40年。南京事件を全く書かない歴史教科書が“復活”した。

教科書改善の旗印の下、「新しい歴史教科書をつくる会」は過去4度、「南京事件はなかった」との立場で教科書検定に挑み、「なかった」との主張があることを記述してきたが、文科省は一貫して「南京事件はあった」との立場であり、検定段階で「あった」と読めるような記述への書きなおしを余儀なくされてきた。

今回、「つくる会」は従来の方針を転換し、自由社は南京事件について一切書かず、この度の文科省の検定に合格した。「南京事件」は学習指導要領で定められた記載が必須とされている事項ではないため、書いていないものを書けとは文科省も言うことができない。自由社が「南京事件」を書かなかったことで画期的な歴史教科書が誕生した。

自由社以外の7社は従来どおり「南京事件」を記述している。その7社も「南京大虐殺」、「国際法に反して」などの用語を用いて日本の加害をことさら強調して記す<清水書院・東京書籍・学び舎>と表現を若干穏当にした<育鵬社・教育出版・帝国書院・日本文教出版>に2分類できるが、いずれにしろ「犠牲者数はともかく事件はあった」との立場であることに差異はない。

代表的なものは下記のとおり。


東京書籍
(本文)<日本軍は、1937年末に首都の南京を占領し、その過程で、女性や子どもなど一般人の人々や捕虜を含む多数の中国人を殺害しました(南京事件)。>(側注)<この事件は「南京大虐殺」とも呼ばれます。被害者の数については、さまざまな調査や研究が行われていますが、いまだに確定していません。>

育鵬社
(本文)<日本軍は12月に首都南京を占領しましたが、>
(側注)<このとき、日本軍によって、中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)。この事件の犠牲者数などの実態については、さまざまな見解があり、今日でも論争が続いている。>

なお、自由社は、虚構の「南京事件」を書かない一方、実際にあった通州事件を書いた唯一の教科書でもある。その記述は次の通り。

<北京東方の通州には新日政権がつくられていたが、7月29日、日本の駐屯軍不在の間に、その政権の中国人部隊は、日本人居留区を襲い、日本人居留民385人のうち子供や女性を含む223人が惨殺された(通州事件)>

「従軍慰安婦」を一斉に記述した各社の中学校歴史教科書が検定合格したのが平成8年。以後、「つくる会」が「従軍慰安婦」を記述しない教科書を発行し、中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」は書かないことが今や当たり前となっている(今回の検定から「従軍慰安婦」を学び舎が復活させたが)。

今回、自由社が「南京事件」を書かなかったことで、次回よりこの動きが他社にも波及することを期待したい。



平成27年6月30日更新