各社の教科書を読む歴史編 日本文教出版|新しい歴史教科書をつくる会

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日本文教出版――最も日本共産党を称揚する教科書




中国語読み・韓国語読みで検索しなければならない教科書

東京書籍と同じく、対中韓隷属史観と共産主義思想の二つの特徴を最も代表する教科書が、日本文教出版である。対中韓隷属史観の特徴から見れば、日本文教出版は、「中国文明」表記、稲作朝鮮半島伝来説、韓国統治悪政論を展開し、朝鮮人徴用について「数十万」と記すとともに、虚構の「南京事件」を記している。更に驚くべきことに、中国語読み・韓国語読みのルビを振るだけではなく、中国語読み・韓国語読みで索引を引かなければ目的の頁にはたどり着けない教科書の作り方をしている。例えば、蒋介石が出てくる頁を探そうとして「し」の索引を見ても、「→チャンチェシー」と記されており、「ち」の索引を見なおさなければならないのである。何とも徹底した対中韓隷属史観である。


華夷秩序理論と共産主義思想の共存

この対中韓隷属史観は、基本的には華夷秩序理論によって支えられている。今回、日本文教出版は初めて体系的に華夷秩序体制の理論的説明を行った。すなわち、大コラム【歴史を掘り下げる 近代的な国際秩序への参加】を新設し、「『冊封』体制から『万国公法』体制へ」という小見出しの下、華夷秩序体制(日文は「冊封」体制、と称す)と万国公法体制を体系的に比較して論じた。この比較論の試みは評価できるものであるが、東京書籍と同じく、19世紀まで日本も冊封体制の中に入っていたかのような虚構を築いている。そればかりか、万国公法体制を差別的な体制として描きながら、華夷秩序体制の差別性を無視している。ともあれ、日本文教出版は、東京書籍以上に体系的な華夷秩序理論を築くことによって、対中韓隷属史観を展開しているのである。

対中韓隷属史観の背景には、共産主義思想も存在する。その思想は、国家論に明確に現れている。日本文教出版は、国家を定義して、「社会が支配する者と支配される者に分かれ、宗教的・政治的・軍事的に統合されたもの」と説明している。マルクス主義者による典型的な階級国家論である。また、その思想は、ロシア革命やスターリンについて良い評価を行う所に現れている。


日本共産党を民主化運動の先頭ランナーと位置付ける

しかし、最も驚かされるのは、日本共産党が教科書に4回も登場することである。通常、日本共産党は、成立時に教科書に出てくるだけである。他に出てくるとすれば、戦後の再建時に出てくる。日本文教出版の現行版もそうである。ところが、今回は、この二回以外に、治安維持法成立時、治安維持法の改訂時の二回、日本共産党を登場させているのである。しかも、再建時の共産党については、「民主化をめざす国民の運動」との小見出しの下、「総司令部による改革とともに、民主化をめざす国民の運動が進められました。日本共産党が再建され、日本社会党や日本自由党なども結成されました」と記している。民主化運動の真っ先に共産党再建が書かれているのである。東京書籍や教育出版の場合は社会党や自由党の結成の後に共産党の再建が書かれているから、日本文教出版がいかに共産党を重視しているかが知られよう。






平成27年7月23日更新